拾いものアフター
「驚いたわ、実際ね。
まあ、私があれこれ言えることじゃないってのは分かるんだけれどもね。
でも、いい加減にしときなさいな。そう言わざるをえないわ。
もう、ほんと二郎って、馬鹿ね」
くすくすと苦笑する劉璋ちゃんである、
「この、ね。前々号の阿蘇阿蘇の怨将伝だけれども……。
まさかとは思うけれどもね。
常山の、黒山賊との小競り合いと言う名の蹂躙、その後の黒山賊の一応の従属宣言とか……。
二郎は関係ないわよね?」
えーと。ああ、あれね。あれだ。はねっかえりを教育するといういつもの黒山賊とのプロレス。そこに参加した面々が悪かった。
俺を護衛する蒲公英とか凪はいいのよ。わきまえてるからね。それがね。
たまたま里帰りしてた星と、空気とか一切読まない字伏とかがね。いや、実際二人がね。本気でね……。止めるわけにもいかんしね……。
あの張燕が涙目でガチで切れてたなあ……。知らんけど。
事後処理は稟ちゃんさんに丸投げしたからどうなったかまでは関知してないしなあ。
「いや、死屍累々とはこのことか、と思ったわ」
フヒヒ、サーセンw と逃げ……るわけにもいかない。
劉璋ちゃんの視線の冷たいことよ。嗚呼、寄る辺もなく道端で蹲っていた少女はいつのまにか漢朝の柱石という名の傑物になってしまっていた。
解せぬ。
ええい、それともこれが劉家の血の力だとでも言うのかよ!劉焉さんと遣り合うことがなくてよかったなー(コナミ感)。
とか内心で思っていたんだけれども。
「まあ、それはそれでいいわ」
ええ、いいの?
「正直ね、それどころじゃないのよね。
二郎に言っても仕方ないんだけど、ね。
ひどいものよ。実際。
皇族の地位とか、それに付随する政治力とかね。もう、害悪でしかないと思うのよ。
二郎にだから、言うのだけれども、ね。
もう、ね。漢朝。先代……以前に連なる親族は須らく害悪といっていいわ。よくもまあ、あれだけ無能を生産したものかと思うのよ。
いえ、意図してそうしたのかもしれないわね。弁君のことを思えばね……。
あれで何進が間引いたのかもしれないわね……。
そうね、皇族という立場が役に立たないというのは悪くない、わね。
ええ、悪くないわ。だって、その方が効率がいいもの!だから!むしろ外部からの思惑に踊らされて、なるもんですか!」
裂帛の気合いで、その真っ直ぐな視線を俺に向けてくる。
外部の筆頭な俺なのですがそれは如何に。
「え?二郎が?
……やる気があるならすぐにでも公職に復帰してほしいわね。真剣に。真剣な嘆願を出したいくらいに。
大将軍たる袁紹、虎視眈々と宮中に影響力を広げる曹操。日々薄まる陛下の威光。
正直、二郎が後ろ盾になってくれたら助かるのよ」
やだもー。目の色がガチで茶化せないじゃん。
「そっかー。大変そうだな。流石伏魔殿。協力は惜しまない……が……。
ちょいまち。その構図だと麗羽様とか華琳と俺が火花を散らしそうなんですがねえ」
麗羽様と華琳って、仲いいのに、遣り合うと、徹底的になるんだよなー。
「だから二郎がいるのじゃない」
「は?意味が分かりませんねぇ……」
この後、無茶苦茶劉璋ちゃんに説教食らった。解せぬ。




