風に吹かれて
「さて、行くとしようか」
キリ、と引き締めた俺なのだが。
「はいはい。行くとしましょかねー」
ゆるい声に凪も蒲公英も苦笑やむなしである。
「でもさ。ほんとにいいの?風ってばさ、朝廷での出世とか思いのままだったのにさ」
具体的に言うと、麗羽様と劉璋ちゃんと某はおーが風の身柄を争っていました。
納得の三つ巴である。うむ。
「くふふ。風は二郎さんのお抱え軍師ですからね~。
二郎さんのお供をする。何もおかしなことはないですよ~」
「いやいやいやいや。
あれだ、日輪を支えるとかほら、色々言ってたじゃんか!」
ほんと、俺の気まぐれに付き合う必要なんてないのだ。
ないのである。
「くふふ。風はこれで一流ですから~」
「答えになってねえし!」
「くふ。ほんと二郎さんは鈍いですね~。
だからこそ、ほっとけないのですよ~」
おいおい。ちょっと待てってば。
「凪ちゃんや蒲公英さんを引き連れていればまあ、身の安全は大丈夫でしょう。
でもですね。色々とした政治的あれこれ。
考えるつもり、ないでしょ?」
ぐぬぬ。
「と、督郵の地位があるから……」
大体の役人なんて腐敗してるかららな!
「そですね。督郵。しかも漢朝全域に及ぶというその特権。それはとっても便利なものです」
だろ?
「逆にそれは伝家の宝刀。一度それを抜くと、です。二郎さんの肩書に加え、袁家の威光が光るのですよ。七光り以上に」
「いいじゃんそれで。不正、汚職。慈悲はない」
「ほんと、二郎さんは危なっかしいですねえ……。
不正を糾す。腐敗を切る。それはいいのです。ですが、それをやってしまうとその背後の諸侯との政争になってしまいます~」
むむむ。
「くふふ。
平地に乱を、後には焦土。というのは二郎さんの好みではないでしょ?
あれこれ悩んだりするのは風たちでいいと思うのです」
「――民が実際に暴れるよりは、内々の政争。それが望ましいってことか」
「そです」
くふふ、と笑う風。見れば、軽やかに目元を綻ばせている。
「風は二郎さんの軍師ですから」
にこり、と笑って手を重ねてくる風の献策。
それは、もっとシビアなそれも可能だろうに。
「風、ありがとうな」
「いえいえ。それはそれとして、中華漫遊。風もおともしますので~」
「ああ、風がいるならば安心というのは、本当さ。
実はありがたいとうのも本音さ」
にやり、と笑う俺を風は軽やかな笑みで包み込む。
つまり、風は俺のメイン軍師ってことである。
ずっとね。ほんと。頼りにしてるます。
メイン軍師は、実は弐週目




