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ニュー・三美姫が斬る

 さて、趙雲、程立、郭嘉という超一流人材の登用に成功してしまった二郎です。

 いやー、こういうことってあるんですねえ。びっくりですよ。

 いや、びっくりですよ(震え声)。

 何なの?俺、明日には死んでしまうのん?死んでたまるかという決意表明を心の中で三回繰り返して上を向く。そう、上を向いて歩くのだよ。くそう。


「おう兄ちゃん!なにぼーっとしてやがんでい」

「うお!宝譿か。いや、中華屈指の人材が三人も目の前に居ればそりゃ忘我もするって」


 いやまったく。

 人生分からんもんであるからね、揺り戻しは怖いよね。


「おやおや、二郎さんは中々にお口が上手ですね~」

「だがまあ風よ、かの怨将軍にそこまで言われて悪い気はしないのだろう?」

「それは、そうです~。純朴な風は二郎さんの口先三寸に翻弄されてしまったのですね~」


 よよ、と泣き真似をするのが堂に入っている。楽しそうですね。いや、口元が緩んでるの、見えてるぞ。


「はいはい、星も風もその辺にしておきなさい。

 二郎殿。我らをどうされるおつもりで?」


 キリ、と凛々しい稟ちゃんにときめくわあ。

 いや、ほら、俺ってばキツめの美人さんがどストライクだし。


「えーと、そうね。

 稟ちゃんさんはまあ、その家格と声望があるから袁家本家に推挙しようと思う。

 ま、能力に疑いはないし、暫く実務をこなせば周りも納得するだろうさ。

 俺の義兄弟の沮授の補佐をしてやってくれ」

「承知しました」


 表情を毛ほども変えずに応える稟ちゃんの頼もしいことよ。


「いずれは袁家の軍務を任せるつもりだからよろしくね」

「承知しました」


 結構な権限だと思うんだけど今度も平然と受け止めている。

 ま、稟ちゃんの能力なら当然ってか。

 うわ、マジで頼もしいわ。これには沮授もにっこりである。多分。だってあいつにかかる負荷ってえらいことになってるからな。


「星はそうだな。とりあえず俺の直参ってことで。一筆書くし。

 紀家で雷薄って奴を訪ねてくれ。紀家の副将だからさ。

 んで軍務に慣れてほしい。

 ま、星の実力なら力で納得させられるさ。

 俺が帰るまでにどこまでいけるかは星の器量次第かな?」

「ほう、これは一介の風来坊に破格の待遇。

 これはそのご期待に身が縮む思いですな」


 ……欠片も恐縮してないよね絶対。俺にでも分かるよそれは。

 むしろ当然だろって感じの態度だよね。いいけど。頼もしいけど。


「星は俺個人として召し抱える。

 俸給は俺が袁家からいただいている禄の半分な」

「は?なんですと?」


 お、星が驚くとこ見れるとはね。レア表情ゲット!てなものである。


「星はこの中華に名を轟かせてもらわんと困るからな。その、はじめの一歩だ」

「む、二郎殿がそう言うのであれば否はありませぬが……」


 ふふ、趙雲をプロデュース!その一歩である。

 どういうことか分かった人もネタバレは自粛してくれると嬉しい。あれか、とニヤニヤとしてほしい。

※ヒント:治部と左近


「さて風だけど」

「ちょっとよろしいですか~」

「ん?」


 俺の言葉を遮ってくる風である。もちろん聞くとも。俺は理解ある上司だからな。進言あれば聞くともさ。だって俺より間違いなく頭いい人が言うことだぜ。そりゃあ、聞くよ。


「二郎さんはこの後、襄平に向かうのですよね?」

「そだよ?久しぶりだしな、白蓮とも」

「では、風は二郎さんに同行するのですよ~」


 なんですと?なんで?


「風は袁家でも紀家でもなく、二郎さんにお仕えすることを選んだのですよ。

 ですからお供するのは当然かと~」

「えっと……そうなのかな?」

「そうなのです~」


 押し切られた感。でもまあ、心強いというのは確かである。

 ほら、俺ってば軍師ポジに誰もいなかったから!


「できたら袁家か紀家の政務的なものを、と思ってたんだけどな」

「くふ、風は二郎さんのお傍に在りたいと思ったのですよ」

「えっ」


 そんなん美少女に言われたらどきどきするやん。

 思わず凝視した、風の表情は悪戯いたずらっぽい笑みで。


「こ、この悪女!くそう。

 軍師とはこうまで人の心を翻弄もてあそぶするものなのかよ」

「くふふ、二郎さんは実に純情なのですね~。

 これはしっかりと見守る必要もありそうですね~」


 ほっとけ!ぷんぷんだよ!おこだよ!


「そ、そんな……若い男女が旅の空で自然に縮まる距離……。

 襲いかかる苦難を知略と武勇で潜り抜け、いつしか二人は……」


 ぷぴ。

 おー。凄い

 茜色の大車輪やー。

 いや、むしろ朱色か。


「はいはーい、稟ちゃん。とんとんしましょうねー。とんとーん」


 あんだけ派手に、度々血を吹いてどうして稟ちゃんは貧血とかにならんのだろうか。

 こうね、不可思議なことって世の中にあるよね。


 そんなこんなでレッツゴー襄平with風、である。

 やったね、道連れが増えるよ!


 とかなんとかお気楽に、旧知の仲の白蓮に会いに行く俺なのでした。

 まあ、軽い挨拶のみですませよう、とこのときは思っていたのである。

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