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片思いシンドローム   作者: KAGE。
3/3

第3話 「声と先生の春」

今から話すことは片思い相談室の金井先生のお話です。7年前、彼はその1年前に5期生として、月島学校に入学した。その時の学校は校風が少し違っていたが、校外恋愛は禁止されていた。みんなは学校の誰がいいかとか、そんな会話が金井の耳に刺した。

(ふん。良い女なんて高校を越えないと現れないぜバカどもが。)

そんな事を思いながら、日々を過ごしていた。

んで、そうして幾らか日々は過ぎて、夏休みの夏期講習二年生の時。彼の隣に天使が現れた。

最初は全く気付かなかった。ふと周りを見回して初めて気付いた。金井はドキッとしたが、彼の持論を見たときに。彼は思い返した。しかし、その夜、彼女の事を想い出してしまった。そこから自分と格闘すること夏期講習最終日、自分の気持ちに気付いた。


「どうした、金井。勉強以外で俺に相談とは。天変地異の前ぶれか?」

「いや。自分は高校では恋しないと決めたのに恋してしまった。情けない。」

「だからといって、俺に相談されても困る。」

月島学校に最初の先生鶫誠司という別名友達先生に金井は悩みを聞いて貰った。

「先生は2年6組の黒崎声香さんを知っていますか。」

「ああ、声帯を小学生の時に失ったという女の子だろ。」

「あいつの事が…最近気になって…。」

「そうか。お前も隅に置けないな。しかし、アイツは止めとけ。」

「なんでですか?」

「彼女とどうやって意志疎通をするんだ?」

「うっ。携帯が有ります。」

「そっか。頑張れよ。」

そう言って去っていった。


しかし、携帯でメールしても。返って来る確率もあまりないし。兎にも角にも携帯の普及していない御時世。そして、メアドをゲットできなければ意味もない。かくして、金井慶は恋に落ちました。


さてさて、金井はとりあえず彼女と話して仲良くなりたい。という気持ちでどう接するかを考えて見る。とりあえず、すいませんと一言言ってこう言った。

「ここ、教えてくれませんか?」

すると筆談でこうかかれた。

「その手には乗らない。」

バレていました。なんとまあ見た目とは違う人でしょう。きっとツンデレ何でしょう!

「いやあ、そんな気は無いよ。ほら、声香さんは頭良いし。」

『あなた、確か2年3組よね?』

文が会話を挟んだ、書く速さが凄い。表情一つ変えません。

『私の事でも好きになったの?』

「うっ…」

なんて鋭いんだ!ますます金井は好きになった。

『私に惚れる人がいるのは驚きだけど。』

「すいません。」

『しゃべらないで文で楽しまない?』

そう言われると、紙とペンを用意した。

『私を楽しませる文を作ったら会話相手になって良いわ』

「分かった」

ここから一言もしゃべらないで、会話となります。紛らわしいので黒崎声香を『』金井慶を「」で表していきます。では文通?を始めよう。しゃべっていません。


『まずは名前を教えて下さい。』

「金井慶です。」

『私のほうは言わなくて良いよね。』

「大丈夫です。」

『まずは、とりあえず血液型を教えて』

「えっと、Aがたです」

『残念私はB型です、さようなら。』

「待ってください!そんなのって無いよ。」

『冗談よ、どうして私を好きになったの?』

「難しいですね。」

『運命?』

「いや、何か違うなぁ…。」

『ふーん、恋は突然ってやつ?』

「それは確かだな。」

『なる程ね。恋愛経験は?』

「無いよ。初めてだ。」

『初恋が私なんて、残念な人ね。』

「そんな事ないさ。ちなみに声香さんは。」

『私は、まだ付き合ってないわ。』

「告白は」

『一人だけいだけど、どうなんでしょうね?』

「本当ですか。」

『私が嘘をつくとでも?』

「はぁ、」


こんな感じで文通を楽しんだ。なんだかんだ彼女も楽しそうだったから金井はホッとした。『また楽しませてね』という文を見たときは嬉しかったみたいです。

次の日もまた次の日も文通をしていった。そして金井は次のステップを考えていた。


それは(金)の昼休み中、金井は声香をご飯に誘った。声香は喋れないからあんまり楽しくないかもよと言った。金井はそれでもいいと言った。見てるだけでも食が進むタイプだろう。そうして二人で一言も喋らずにご飯を食べた。

「すいません、わざわざ食事に付き合って貰って。」

『だいぶ書くの早くなったんじゃない?』

「まだまだですよ、あのもしよろしければ、アドレス聞いて良いかな?」

『お上手ね。まだそこまでは早いわ。』

「そうですか(⌒〜⌒)」

『顔文字とは、やりますね。』

「文字だけじゃ、わからないと思いまして。」

『馬鹿にすんな(-_-#)』

「さーせん。」


という無言の会話を楽しんだ後。その日はお開きになった。


その日の帰り道に声香はヤンキーに絡まれた、声の出せない声香は全力で逃げ出したがヤンキーの一人がナイフを取り出したため。やむを得ず着いて行く事になった。財布を盗られて酷い事をさせられた。

次の日、声香が学校を休んだため。金井は暇だなあと思い。本を読んでいた。その時、とうりすがりの女生徒が会話を聞いた。

「ねぇ、聞いた?昨日の夜、声香ちゃんが襲われたみたいだよ。」

「マジ?」

「喋れない女の子を狙う何て、キモイよね〜」

そんな事聞いたら金井も黙ってはいなかった。さっそく、友達先生から情報を聞いてゆこう。

「まだ確定ではないけど、確かに昨夜。見たって人はいくらかいる。だが、確証が得られないからなぁ。」

「とにも角煮も。知ってる事は教えて下さい。」

「お前も変わったなぁ…。分かった!できる限り調べて見る。」

「ありがとうございます。」


翌日には、声香は復帰していた。金井はいつもどおり話しかけようとしたら。舌打ちされたので、諦めた。そんな日の昼休み。珍しく声香が会話をしようとやってきた。


『一昨日はいろいろ遭ったわ。ほんと。』

「大丈夫だったんですか?」

『そんなわけあるかい!だいじょばないわ!』

「…すいません。」

『全く。あんたと話してると。何かホッとするけど、鈍感ね。』

「気付けなくてごめんなさい。」

『もう良いよ。ねぇ?メアドを交換しない?』

「良いんですか?」

『たまにメールするよ。』

「ありがとうございます。」


そんな会話をした後、彼は嬉しそうに、戻って行った。そして声香はそれを見ながら思った。

『初めての異性からのメアド交換だったから。緊張した。』

そっと胸をなで下ろし、声香は座席に戻った。彼女には友達が少しいる。だけども異性の友達は彼女にとって初めてだった。ちなみに彼女の友達に中学生の西明礼子がいたのは秘密です。

その後も声香と慶は良く文で笑い、文で泣いて、文で喧嘩もした。そして三年生の夏。進路予定の時。

『もう、進路なんだね。早いもんだよね。』

「そうだな。俺達が出会って一年かな。」

『どこの大学に行くの?』

「そうだな。教育大学かな。そっちはどうなんだい?」

『私はどうしよう。弁護士になりたいな。』

「じゃあ法科大学に行くの?」

『多分ね。』

「そうか。……なぁ、手術とかしないのか?」

『しないよ。手術の費用が500万円程度で成功率は30%ぐらいが妥当だって。』

「そうですか。(・〜・)」

『そんなんなら文だけで会話した方が良いじゃないと思ったからね。』

「なる程ね。紙の方が安いからね。」

そんな無言の会話をしながら。昼休みを過ごした。


さてさて、遂に金井は声香と一緒に帰る事になりました。高ぶる金井です、声香は見た目分からないぐらいの高揚していました。しかし、声香は喋れないので、音の無い帰宅となりました。それでも二人は楽しそうでした。

『今日は護衛ありがとう。』

「いえ、これぐらい普通ですよ。」

こんな事をメールで話した。そして足早に金井は来た道を戻って行った。

戻り道、怪しい男がいた。スルーしようと目を合わせないように歩いた。しかし、怪しい男はこう言った

「そこの旦那。あいつと付き合っているのか?」

これを無視すればろくな事がないと思い仕方がなく答えた。

「とりあえず、名前を教えてくれ。」

「俺は赤井淳だ。黒崎声香と昔、付き合っていた。」

金井はちょっと眉が動いたが、ちょっと溜め息をついて言った。

「なんだ?そんな男が俺に何のようだ?」

「いや、静かに聞いて欲しい事があるんだ。」

「…」

「俺があいつと付き合っていた頃はあいつの事なんか考えもしなかった。喋らない事に腹を立てて怒った事もあった。」

「…」

「だからって彼女が喋るはずがないから、更に俺はイライラしていった。そして約3ヶ月で別れたんだ。馬鹿だろう。」

「お前の言いたい事は何だ?早く帰りたい。」

「頼む!」

赤井淳はひざを突いた。

「あいつの事を、あいつの事を幸せにしてくれ!」

金井はギョッとした。

「分かった。顔をあげてくれ。」

「頼む!」

とにかく赤井を起き上がらせた、

「俺は、あいつを幸せにできなかった。」

「…だからって。」

「今思えば、俺はバカだった。」

そう言って赤井は立ち上がった。

「だから、あいつを幸せにしてほしんだ。」

「…なるほどな。お前の気持ちは良く分かった。」

そう言って、金井は歩き出した。少し歩いて振り向いた。


「俺はあいつを幸せにしてみせるさ!」


「あれから幾らか時が経ったけども僕らは変わったのかな?」

『何か。昔からあなたは変わらないよね。生徒のために必死に頑張っている。昔、私の為に早く字をかくれんしゅうをしていたよね。』

「ふっ、7年前の話だよ。」

金井慶と黒崎声香は大学卒業後に結婚した。それが一年前の話。声香はいまだに喋れないけど、金井は高校教諭として、声香は弁護士になろうとして、試験に落ちた。彼女はまた挑戦するために、猛勉強をしている。

『私は何だか守られてばっかりで。本当に駄目だよね私って。』

「そんな事無いよ。俺はお前と入れて本当に幸せに感じるし、僕だって同じ、料理や家事をしてくれて本当にありがとう。」

『…私、あなたが近くにいてくれて良かった。だって、ううん、難でもない。』

そう言って彼女は部屋に戻って行った。


金井は久しぶりに赤井淳に偶然出会った。赤井は来年、情報の教師になれる事になっている。

「おれさ。彼女出来たんだ。」

「マジか!どんな子だ?」

「普通の女だけども、何か感じたんだよね。幸せにできるんじゃないかって。そう思ったんだよ。」

「ふーん、」

「そっちはどうだ?子供はまだか?」

「そんな暇無いよ。今、二人でいるのが一番幸せなんだ。」

「そうか。」

「なあなあ、お前の彼女、何て名前なんだ?」

「それは…」


『えぇ!彼氏作ったの?マジ!』

「そうなのよ。」

金井声香はその日、久しぶりに友達と無言女子会をしていた。その時の会話である。

『どうゆうひと?』

「多分、あなたの知ってる人ね。もう忘れたかもしれない。」

『そうか。れいちゃんにも春がやってきたんだね。』

「いやあ、そんな事無いですよ。」

れいちゃんと呼ばれた彼女は恥ずかしそうにほを赤らめた。

『で?名前は、』

「えっと…」


翌日、片思い相談室にて。西明先生と金井先生が話しています

「金井先生の奥さんと昨日話しました。やっぱり人って変わるもんですよね。」

「西明先生は何言ってるんですか?変わってませんよ。」

「いいや、変わりました。」

「そんな事言ったら西明先生も変わってきたんじゃない。」

「どうゆうことですか?」

「…いいや、何でも無いですよ。」

「意地悪ですね。」

「元からだよ。」

そこに校長先生がやってきた。

「どうしました?真面目に仲良く話しこんで。楽しそうだね?」

「校長先生。金井先生が意地悪してくるんですよ。」

「誤解ですよ。」

「全く、あんまり喧嘩しないでください。もうすぐ生徒がやってきますよ。仕事も頑張って下さい。なんなら、私が頑張っちゃうよ。」

「「全く、校長先生は。」」

そう溜め息混じりでデスクワークに戻って行った。

「失礼します。」

また、悩める生徒が今日も片思い相談室にやってくる。



西明先生はその後、結婚する事になる。彼女が結婚するのは。もうお分かりですよね?運命ってこうも絡み合うと怖いものだ。


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