ある日
「んー…」
どうしたものか?
「ん~……」
これって誰得?
「…………」
「ぁ…遅刻するっ!」
これで遅刻したら遅刻の言い訳はずかしくていえないよー。
「とりあえず学校行こう…」
あたしは急いで家を出た。あ!もちろん鏡の前での最終チェックはしましたよ?一応女の子だし。
まだ時間的には少し余裕あるからあたしは早歩きで学校に向かう。
近所のおばさんが家の前を掃除していた。おばさんはこちらに気づいてなかったけど、一応挨拶ておこう。後で何か言われても嫌だしね。
「おはようございまーす」
するとこっちを見たおばさんがあたしを見て「あら?」といった顔で爆弾発言をしました。
「おはよう。あら?綾ちゃん神様になったの?」
「え?」
なんで?あたししか知らないはずなのになんで?今神様って言ったよね?
「なんで知ってるんですか?」
あたしはびっくりして通り過ぎそうなところを慌てて止まっておばさんに聞き返したよ。だってさあたしだって今朝起きて初めて気づいたというか分かってしまった事だから。
「なんでかしらね?綾ちゃんの事見たら神様だってわかっちゃったみたい」
ええっ?さっき鏡見たけどいつもの平凡なあたしだったよ!?
「ええ、まぁ…でも何の神様なのかまだ分からないんですよ。あたしも今朝なったばかりなので」
「そうかいそうかい。でもご利益あるんだろう?」
おばさんはそう言ってパンパンと手を叩いてあたしにお辞儀した。
うわー!やーめーてー!はずかしいからっ!まじで!あたしはただの高校生ですよっ!…ただ神様なだけのっ!
「そ、それじゃあいってきまーっす!」
その場が辛くなってあたしは走って逃げた。っじゃなくて走って学校に向かった。
学校に向かう途中ちらほらとあたしに向かってお辞儀(お祈りしてる人)が居たような気がしたけどそれは見えなかったことにしよう。うん!
それは突然だった。朝目覚ましが鳴って手を伸ばして止めて、あー朝かぁ…眠い…と思いながら体を起こした時だ。自分の異変に気付いた。異変なんて言ったけど見た目や中身が変わったわけではない。ただ唐突にあたし神様になってる…って感じただけ。いや…魂に刻まれてるというか理由とか状況とか言葉じゃ説明できないの。でも神様になってるってことだけはわかった。だから誰かに気づかれることもないだろうし、あたしだけの秘密ってことでしばらく流しとこって思ってたのに…いきなり気づかれた…なんで?そもそもあたしってば何の神様なんだろ?
学校終わったら家の隣のお稲荷さんでも行ってみるかな?神様居るかもしれないし…。
とりあえず、それくらいしか解決方法?浮かばないし…。
ぁ…そーいえば自己紹介まだでした。うっかりうっかり。あたしの名前は【夏森綾乃】15歳高校1年生。生物学的に女である。ん?名前が渋いって?まあまあ実は趣味も相当渋いからー名前に負けず劣らずー。趣味は園芸と短歌。好きな物はもふもふした物。可愛い物。お花。嫌いな物は虫。得意な事は無し。苦手なこといっぱい。花の女子高生なのに枯れてるってよく言われます。えへ
そうこうしている内に学校が見えてきました。相変わらずお祈りされてるけど…あたしには見えない見えない見えませんよっと。校門に近づくとあるものを発見。そしてロックオン。朝からあたしの獲物がいましたよー。獲物を見つけた。あたしはソレに向かって名前を呼びながら走って近づく。
「ちぃぃいいいいいい~かぁあああああああああ~!」
「え?え?え~?」
ターゲットはきょろきょろしながら声の方向を探している。愛い奴め。ふふふ。
「おはよーっと!」
「え?きゃぁっ!」
あたしはターゲットの後ろからふぁさっっと思いっきりスカートをめくった。
「ほほぉ…千夏さんの今日のパンツは水色と…」
千夏は事を理解したのか涙目でぽかぽかあたしを叩いてくる。いたくないけどねー。
「うー…なんなんですか!なんなんですか!もおー綾ちゃんのばかー!」
「ゃ…いつもの挨拶でしょー?ね?」
悪びれる様子もなく返事するあたし。もーほんとかわいいんだよねーこの子。この子の名前は【平川千夏】一番の友達ってか親友?腐れ縁?
「挨拶は普通にしてくださいっ!」
「えー?あたしより千夏のが胸大きいのがいけないんだもん」
理由になってない理由で答える。でも気にしてるんだよ?ほんとに。
「理由になってませーーーーん!!ってあれ?」
千夏が何かに気づいたらしい。やっとか…さすが天然…千夏様には敵いませんね。
「綾ちゃん。…なんか神々しいよ?神様みたい」
「みたいじゃなくてほんとに神様になっちゃったの」
あたしがそう答えると千夏様はやっぱりすごい。
「へー。ん~…?ねーねー?神様ってさ自分にもご利益あるのかな~?そこのところどーなんですかぁ~?綾ちゃん~?」
なんて言いやがりました。神様になったあたしに驚くこともなく。
天然って怖い。