別視点 「焦燥+克服=密」 後編
後編です。
ホラー的描写はたしかなかったと思います。
…うん、なかったと思います。
ただ、シモ的要素がうっすら紛れ込んでます。
前編にもうっすらありましたが…。
前編より後編が長いのは区切り方を間違ったせいです、申し訳ない。致し方もない。
葵ちゃんからの条件は三つ。
一.誰にも見つからないこと。
二.誰にも外へ出たことや許可を貰ったこと等を口外しないこと。
三.夜と朝の点呼には必ず戻ってくること。
他にも言いたいことはあったんだろうけど、その三つを約束してくれればいいとオレ達を送り出してくれて、懐中電灯が一個じゃ心もとないだろうともう一つ貸してくれた。
懐中電灯を隠し持って生徒会長の部屋に向かう途中、同級生や先輩から声をかけられたがどれも優を心配している言葉ばっかりでなんだか嬉しくなった。
少し上昇したテンションのまま、オレらのドアとは違う高そうな扉の前に立つ。
緊張しているせいで手が震えている。
持ち上げた手が取っ手に触れる前に一度止まったものの、覚悟を据えて手をかけた。
抵抗もなく開いた扉の向こうには短い渡り廊下があり奥には木で出来た重厚な扉。
「うっへぇ…なんだよ、この渡り廊下」
「そーいや、靖十郎はあの扉の前から奥には来たことなかったか?」
「いや、ちらっと見たことはあるけどよ…実際入ってみると空気が違うっていうか」
扉の前からはいつも、冷え冷えとした空気が漂っていた。
足が竦むくらいに強烈な冷気。
キンと冷えた氷水を頭からかけられた瞬間に走る悪寒に似た震えを彷彿とさせた鋭い冷たさは人を拒むように鎮座していて、先へ進めなかった。
(でも、最近は少しマシだよな。扉さえ越えたらなんか、CMとかで映ってそうな綺麗な森の中にいるみたいだし。清々しくてホッとする)
自分の部屋より居心地よく感じる。
優が戻ってきて、生徒会長の気配が薄かったらいくらでも遊びに来るのになぁ…そんなことを思っている間に二枚目の扉をくぐっていた。
会議室というよりも何処かの事務所みたいな雰囲気の部屋に出る。
ここが噂に聞く『第二生徒会室』と呼ばれる場所だろう。
壁には一面本や辞書、辞典などの他にまとめられた学校に関する書類が整理整頓されて並んでいるし、右のスペースには教師が来てもいいようにソファとテーブルも置いてある。
その反対側―――…左に位置する空間は完全に仕事場だ。
「マジで生徒会室って感じなんだな…すっげ」
呆然と扉を背にして固まるオレを置いて封魔がズンズンと仕事場と称したスペースのひときわ大きな仕事机で何かに目を通す生徒会長に近づいていく。
「禪、ちょいと聞きてぇんだけどよ。お前、優がどこにいるのか知んねぇ?」
一直線に仕事中にしか見えない生徒会チョーに近づいて、馴れ馴れしく話しかける悪友に思わず口元がひきつった。
もっとこう、ワンクッション置くとかしろよ!と突っ込みそうになるのをグッと堪える。
邪魔をされたと思ったのか、書類から顔を上げた生徒会長の表情は険しかった。
表情は抜け落ちたままで相変わらずの無表情だ。
でも、ピンと張り詰めたような空気は緊張…いや、焦ってるっていうか…なんだ?
わかるようでわからない、思い当たりそうで思い当たらない。
そんな独特の後味の悪さにしかめっ面をしているとあまり聴くことのない平坦で冷たい声が生徒会長の口から発せられた。
「まだ、戻ってきてないのか」
「!ってことは、優の居場所知ってるのか?!」
「…清水。君もいたのか」
「い、いたさ!で、どうなんだよ?アイツ、晩飯にも来てなかったんだ」
「夕食にも顔を出してない…?」
僅かに、ほんの少しだけ眉を動かしたかと思うと普段通りの無表情に戻る。
直ぐに何かを考え込むように腕を組んで俯いてるけどな。
何を考えているのかはさっぱりわからない。
ただ、知っているなら早く教えてくれたっていいんじゃないか?とかこんな時間まで帰ってこなくて不思議に思わなかったのかよ、とか文句が出そうになったのを根性で堪えた。
たっぷり三十秒以上沈黙していた生徒会チョーはため息を吐いたあと、立ち上がる。
そして真っ直ぐにオレと封魔を見据えてはっきりと告げた。
「優は僕が探す。お前たちは部屋に戻れ。心当たりはある」
「べ、別にオレらが探してもいいだろ!場所を教えてくれればオレらが行くし、生徒会チョー様が規律破んなよ!」
「緊急事態だ」
一言で会話を切り捨て、廊下とは反対側の部屋へ消えた。
そして、数珠のようなものと経典をもって部屋から出てくる。
不思議なことに、反対の手にはペットボトル。
オレらは思わず顔を見合わせて…突っ込むべきか否か真剣に悩んだ。
妙な顔をしているオレらに生徒会チ長は相変わらずの無表情のまま抑揚のない声で一言
「何をしている。早く出て行け」
「いや、何をしてるってのはオレらのセリフだし!なんだよそれ!優を探すのにそんなもん必要なのかよ?懐中電灯とか携帯とか持てよ!わっけわかん」
思わず言葉が止まる。
理由は、生徒会長の周りに浮かんだいくつかの淡い光。
それらは意志を持つようにふわふわ漂って、たった一つを残してフッと消えた。
「――――……え?」
なんだそれ、と口にしそうになったところで訝しげな封魔の声が隣から聞こえた。
それに思わず息を飲む。
蛍のような淡い光と生徒会長、そして封魔を何度か確認するように視線を向ける。
オレにしか見えてない?
そんな言葉が思わずこぼれ落ちそうになって、慌ててそれを飲み込んだ。
「見えてるようだな。これを持っておけ」
「っわ?!見えてるって、おま……お守り?」
放り投げられたのは濃い藍色の御守りだった。
見た目は普通に神社とか寺で売ってるのと変わらないように見える。
でも、持った感じからすると“本物”だろう。
最近は中身のない御守りも結構あるんだよな。
なんで生徒会長が御守りを持っていて、オレに投げてよこしたのかはわからないが最近の状況を考えても持っておくに越したことはないだろう。
礼を言おうと口を開きかけたオレに向けられたのは相変わらず抑揚のない声。
「ないよりはいい。いくぞ」
「おーい。俺にゃねぇのかよ」
「お前に護符の類は不要だ。無駄になる」
御守りの説明するわけでもなく生徒会長はさっきまで使用していた仕事机に向かってオレ達の脇をすりぬけ、おもむろに窓を開けた。
確かに封魔や生徒会長みたいにデカイやつだって通り抜けられるくらい大きな窓ではある。
向こう側は雑木林だし、他の寮や部屋からは見えない完全なる死角になってるから見つかる可能性はかなり低いだろう。
(ってか、まさか窓から出るとは…しかも“あの”生徒会チョーも同伴で)
普段からここ使って出入りしてるってことはないよな?
思わず全く迷う素振りも見せずに進む生徒会長の背中を半目で眺めていると、封魔も似たようなことを考えたらしい。
普段から使ってないよな?と普段通りの、からかいを盛大に含めた封魔の問いかけに禪は何の反応も見せずに黙々と闇の中を進んでいく。
藪の中を進みながら外に行くことを考えてジーパンを履いてきてよかったと心底思った。
暑いのも嫌だけど、虫に刺されて痒い思いをするくらいなら数時間の暑さをとる。
「んで、優はどこにいんだ?心当たりあんだろ」
「体育館横にある旧部室だ」
「旧部室って…あのプレハブ棟?あんなトコになんの用事があるんだ?使わなくなったものとか放り込んでおく為に残してあるとかって先輩から聞いたことあるけど」
グラウンドの隅にある古いサビの浮いたプレハブは昔運動部の部室だったらしい。
使い勝手が悪いってことと老朽化が進んだってことで使われなくなった。
壊すのにも費用がかかるらしく、今は使わないものを押し込む場所になっているとか。
「(人目につかない場所に好き好んでいくタイプじゃないだろうし)も、もしかして…人目につかない場所に呼び出された…?」
「げ!それならマジで洒落になんねェ…つーか、もうかなり時間経ってるし色んな意味でドロドロになっ…」
「ば…っ!!馬鹿!そーゆー不吉なことを言うんじゃねぇよ!!せめて妄想でも希望でも寸止めくらいまでにしとけっ」
「詳しい話は優に聞け。無駄話をしていると見つかる可能性が低くなる。せめてグラウンドに出るまで黙ってろ」
「…は、はい」
「チッ!折角盛り上がってきたっつーのに」
教師に怒鳴られるよりもオレにはこっちのほうが効果的かもしれない。
オレの母さんが静かに切々と間違いを指摘するタイプなんだよな。しかも笑顔で。
父さんは…あんま怒ったところみたことない。
何かしら、母さんにうまいこと使われて快適に生きてる気がする。
ちょっとした現実逃避をしながら真っ暗な道を進む。
足元を照らすものがないせいで歩きにくくて仕方がない。
雑木林独特の土を踏みしめる感覚が妙に不安と恐怖を煽る。
何処か湿った土の空気と夏に相応しくない冷たく重たい空気。
校舎に近づくにつれて強くなっていくのに浮遊霊の類は全くといっていいほど見かけない、歪な土地。
進めば進むほど嫌な汗が背中ににじむ。
前を歩く生徒会長や封魔にはバレてないとは思うけど凄く嫌なんだ。
夜ってだけでも遭遇率が高いのに、人が何人も死んでる学校に好きこのんで近づくかってんだ。
(にしても、よく考えてみると優ってホントに変だよな)
編入してきた時期から優は怪談を集めて回ったり学校の地図を自分で書いてたり。
他にもやたらと動物に好かれてて、あ、雀っぽいのと戯れてたこともあったか。
見た目も気にしないようにはしているものの…かなり男っぽくない。
(ま。面白いからいいけど)
根本からズレてるくせに変に真面目で時々言動や行動がやけに男らしい、変な友達。
あっという間に人の懐に入り込んでるような不思議な雰囲気が気に入ったのかもしれない。
「大分離れたか。ここなら懐中電灯をつけても寮から見えることはない」
「おっまえ、よくあの真っ暗の林ん中から直でグラウンドに出られるよな。その眼鏡特別性なワケ?暗視カメラとかついちゃってんじゃね?」
「行くぞ」
「うっわ。スルースキルぱねぇな」
歩く速度を止めることも声に感情がこもることもなく淡々と流される冗談。
青筋を浮かべて喰ってかかる封魔に一切怯まないどころか、気にもかけていない風に黙々とグラウンドの隅で放置されたままのプレハブへ。
月明かりがないので、持っている懐中電灯で遠くを照らす。
暗闇の中、ごく限られた範囲が光に照らされて浮かび上がった。
プレハブ全体が見えるであろう場所でオレたちは足を止めて、懐中電灯でこれから入ることになるであろう空間を照らす。
始めに照らし出したのは錆の浮いたプレハブの壁面。
月が出ていないことや山の中に立っていることもあって、懐中電灯で照らし出されているところ以外は真っ暗だ。
水気を含んだ生ぬるい風が頬を撫で、湿った土の臭いがまとわりつく。
思わず辺りを見回すオレを見たらしい封魔が口を開いた。
「おい。なんか…聞こえんぞ。靖十郎じゃねぇよな」
「オレには何もしてないって」
返事をしつつ、耳を澄ませてみる。
微かな風の音と虫の鳴き声、そして自分の呼吸する音と心音。
それでも集中して耳を澄ませていると――――…人の、声のようなものが聞こえた。
声は前方の…恐らくプレハブの中から。
ごくり、と思わず生唾を飲む。
思わず封魔をみると封魔もオレと同じような顔で振り返っていた。
ドッドッドと力強い心音が体中に広がっていく。
懐中電灯で照らされた光が小刻みに揺れているのを視界に入れて初めて、手が小さく震えていることに気づいた。
「っ…な?!ま、待てって!!追いかけるぞ、封魔!」
同じように耳を澄ませていたらしい禪が突然走り出した。
真っ直ぐに、迷うことなく進んでいく生徒会長の背中を追って走る。
近づいていくにつれて声が大きく、明瞭になってきた。
それが“助け”を求める声であると理解した瞬間に迷いがなくなり大地を蹴る力が強くなる。
暗闇の中を走って、脇目もふらず、先程までに真横に感じていた恐怖すら忘れて進む。
少し上がった息を整える時間も惜しかった。
僅かに開いている錆びたドアノブに手をかけて思い切り開くと埃が舞ったようで思わず咳き込む。
「っ…ちょ、ちょっとここ開けてー!一番奥のロッカーの中に閉じ込められちゃったんだよー!うぅ。今度こそ助かったぁぁあ」
懐中電灯で照らされたプレハブの中ではキラキラと埃が光を反射して、こんな状況でなければ結構綺麗なもんだなぁ、と思ったかもしれない。
雑然と置かれたダンボールは誰かが動かしたようで、綺麗に左右に分けられていて男2人くらいなら並んで通れる通路が作られている。
多分、ロッカーの中にいるであろう優が動かしたんだろう。
腕で口と鼻を覆いながら足元と周囲を懐中電灯で照らす。
古い建物独特の臭いがするけれどそれ以外はたいした異変はない。
「もしかして、優?」
「…その声…靖十郎?!ちょ、なにしてんのさ、こんな夜に外に出てっ」
「何ってお前を探しに来たんだよ!飯になっても帰ってこねーし、誰もお前がどこにいるか見てないって言うし」
「ふ、封魔もいるんだ…二人も一気にいなくなったら舎監の先生に怒られない?大丈夫?」
ロッカーから聞こえる呑気な声で肩の力が抜けた。
埃だらけの荷物を避けながらロッカーへ近づく。
ロッカーの取っ手に手をかけて…ふとこの中にいるのは本当に優だよな?という疑問が湧き上がった。
オレの友達で、編入してきたばっかなのにあっという間に馴染んだ小柄な同級生。
一瞬息を詰めたオレを急かすように背後で封魔が怪訝そうな声をあげる。
「おい、何してんだ?とっとと開けて寮に戻んぞ」
「…悪ぃ。ちょっとぼーっとしてた。優!開けるからもたれかかってんなら自分でしっかり立っておけよ!」
「大丈夫。身動き取れないから」
それは大丈夫なのか?と聞き返しそうになる返事を聞いて、思いっきりロッカーの取っ手を開こうと力を入れる。
錆びているのか簡単にはあかなかったが思いっきり力を込めると大きな音と取っ手が外れるような音がして思いっきりロッカーが開いた。
薄っぺらい金属の扉は変形してもう、閉まりそうにない。
やっちまった、とボヤくオレの前で懐中電灯に照らされる優の姿…――――
「…っ!?」
狭いロッカーの中に押し込められていた友人の姿を見てオレも封魔も、生徒会長までもが息を飲む。
目に付いたのは赤紫色の紐だった。
優の体をグルグルと締め上げるように紐が巻きつけられ、首には体を縛っているのと同じ色の紐がかかっている。
まるで、首を吊る為に自分の首をその輪の中に入れたようにも見えた。
腕や足は見えないし顔に傷もなかったが体中に痣や暴行の後があってもおかしくないくらいに、異常で異様な光景だった。
「――――……誰に、やられた」
何も言えずに口を噤むオレとは逆に封魔が低く、唸るような声で言葉を発した。
キレる直前独特の声と足がすくんでしまうような怒気に振り返れば、射殺すような目で優の首に巻かれた紐を睨みつけている。
優は自分が睨まれてるように感じたのか居心地悪そうに体を仰け反らせてたものの発言と自分の状況を思い出したらしい。
「別に誰って訳じゃないよ。少しふらついてロッカーに閉じ込められちゃってさ…もがいてたら紐が絡まったんだ」
「そんなわきゃねーだろ!最悪体に巻き付いてんのは見逃すとしても、その首のは誰が見たって…っ」
「いいんだよ。大丈夫。次は気をつければいいだけだし…油断してた俺も悪いんだ」
ヘラヘラ笑った優にちょっとムッとして視線を戻すといつの間にか体中に巻きついていた紐が消えていた。
驚いて紐が消えたことを伝えると頭日が昇っていた封魔や封魔を必死になだめていた優もようやく気付いたらしい。
「きえ、た?嘘だろ…さっきまで間違いなく…っ」
ロッカーの中を調べようと身を乗り出すオレを止めたのは…やけに真剣な顔をした優だった。
優は、オレと封魔の腕を引いてスタスタと何もなかったように早足でプレハブの外へ連れ出そうと歩いていく。
暗いロッカーの中にいたせいで目がなれているのかモノにぶつかる気配も迷いもない足取りだった。
ぎゅ、っと男にしては小さな手が俺の指を握って先へ、先へと導いていく。
(なんでこんなに急いで…いや、焦ってるんだ?確かに閉じ込められてた場所に長居はしたくないだろうけど)
疑問を抱きながら大人しく手を引かれてプレハブ棟を出る。
封魔も生徒会長も何も話さないまま、真っ暗なグラウンドの真ん中付近で優が足を止めた。
キョロキョロと周囲を見回した後に深く息を吐く。
「ごめん…迷惑かけて。戻ろう」
「お前のこと、みんな心配してたんだぞ?オレ達だって心配したし、葵ちゃんだって…っ」
「え、葵先生?あー…うん、そっか。ごめん。あの中に色んなものがごっちゃになって置いてあるって聞いて、簡単に直せそうなものがあったら学校の備品として使うのはどうかとおもって…許可も貰ったんだけど、ちょっとドジっちゃってさ。ホント、ごめん」
バツが悪そうに曖昧に微笑む優の顔を見て思わず不満を飲み込んだ。
時々。
本当に、時々。
優はよく申し訳なさそうな、困ったような顔をする。
ほんの少し大人っぽいその顔を見せる時にはオレ達の間にしっかり“線引き”をしているようにも見える。
ここから先へは踏み入ってくれるな、とオレも持っている人には拒絶されるのが怖くて話せない。
「―――…別にいーけど。ほら、じゃあさっさと戻ってシャワー浴び直すか。オレら、埃まみれだし」
「だな。でもシャワー室はもう使えねぇから…禪。お前んとこのシャワー使わせろ。いいな?」
にやり、と笑った封魔を見ることなく生徒会長はすたすたと歩いていく。
オレ達は慌てて後を追い、なんとかシャワーを浴びる権利をもぎ取ったのだ。
寮に戻ったオレらは部屋にタオルやシャンプーなんかを取りに行って、シャワーを浴びたあと葵ちゃんと寮生に「優は部屋で爆睡してて飯を喰いのがした」と報告する。
寮生は笑って「優ならやりかねん」と笑い飛ばし、葵ちゃんは一瞬訝しげな顔をしたものの納得したのか多くを聞かずに「点呼に間に合ってよかった」と深い安堵の息を吐いていた。
部屋でおばちゃんに作ってもらった弁当を渡し、軽い雑談をしたもののロッカーの中で閉じ込められていた件については誰も口にしなかった。
優は勿論、封魔や生徒会長も。
―――――…触れてしまえば、暴いてしまえば…何かが終わってしまうと薄々感づいていたからかもしれない
別視点はここで終了です。
次は…大人しく本編に戻りたい。
そしてさくっと終わらせたい。
ここまで読んでくださってありがとうございました!
誤字脱字変換ミス怪文書には十分注意しているつもりですが、怪しげな文体を見つけましたらお教えくださいませ。