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正し屋本舗へおいでなさい  作者: ちゅるぎ
九死に一生を得る、迷子
16/83

洒落にならない遭遇1

 冬になるとおでんが食べたくなります。


ちなみにおでんの具ではこんにゃくが一番好きです。二番手は竹輪。

こんにゃくっていえば白いのより黒いのの方がレアっぽい気分になる。

.








 この日も変な夢を、みた。








 始まりは真っ暗で、ぽつーんと暗闇の中に私が立っていた。


 昨日もこんな感じの夢をみたからわかるんだけど、間違いなくこれは夢だ。うん、夢だ。

私の頭にあるのはこれが“夢”だという安心感。

目が覚めて真っ暗で……うぅ、もうやめとこう。昨日のはあれだよ、大分寝ぼけててお腹の虫が鳴らした音を誤変換したんだ!耳とか頭とかが!





「にしても、こんな服持ってた記憶ないんだけどなー……来てる服はズボンだし」 





 自分の足と来た覚えのない白いスカートがひらひらしている。

スカートなんてめったに履かないから、スカートの柄とか色くらいなら覚えてる。




「メルヘンな服着る夢を成人し終えて見るとは思わなかったなぁ」




じーっと白スカートを見ていると無性にふわふわスポンジのショートケーキが食べたくなった。

クリームは甘めがいい。

で、スポンジの間には生の苺をしっかり挟んで、一番上には大粒の真っ赤な苺を所望します!

仕上げに

アールグレイにミルクを少し入れて、一緒に食べられたら例え自殺の名所だろーが、オバケがいっぱいいる廃屋だろーが立派な当分補給の時間になる。間違いないね、うん。



 お腹がすいているらしい私の思考は、あっという間に甘いものに傾き始める。

時々、焼き鳥とかラーメンとか食べたいなーなんて思ったりもしたけど、サイドメニューです。

甘いものばっかりだと舌が甘いのに慣れちゃうからね!




 何も見えない闇の中で意味も無くニヤニヤしていた私は、ふと違和感を覚えた。



 周囲を見回してみるけど、真っ暗なままで変化はない。

自分の体(といっても目に見える範囲だけ)を確認してみたけれど、足が細くなったとか背が高くなったとかそーゆー変化もない。


そもそも、違和感っていっても、ただ何となく“あれ?”って思っただけで根拠はないし、私に何かがあったって訳でもない。


敢えて言うなら、ポンッって頭の上に電球が現れた感じ?

なぞなぞの最中とかでもないんだけど、本当に何か、パッと何かがピコンッてきたのだ。






「なんだったんだろ、さっきの感じ。特に変な感じはしないんだけどなぁ」






 変なの、とボヤきながら髪をごしゃごしゃーっと掻き回してみる。


髪の毛がボサボサになったけど、もとよりボサボサだったから気にはならない。

それから少し考えてみたものの結局というか当然というか、答えは出なかったので考えることを放棄した。



はーっとため息をついたところで、遠くの、でも頭の中に響くような声が聞こえてくる。

ノイズの入っていない、調整不良のラジオを聞いているみたいな感じ。


 声の感じからして男の人だってことはわかるんだけど、それ以外はわからない。


でも、暗くて重い。

墨化したホワイトソースみたいな、ドロドロしていて元の、本来のモノには戻らないような状態。

 反射的に、聴きたくないと思っていたらしく耳を塞ぐように手を当てていた。





<……て、……ば、…んだ…>





 聞くな、聴くなと念じても、それは頭の中に響いてくる。


耳を塞いでも駄目なのだと分かってしまって、仕方なく手を外した。

どうやっても聞こえてくるなら、諦めるしかないよねー。

 開き直ってしまえばこっちのものだ。怖いものなんてなーんにもない!






「さァ、どっからでもかかってこい!!」





< ど して 、 おれ  ば  り 、 こ な  め  あ  ん だ ?! >





「……すいませんごめんなさい撤回しますかかってこないでください後生ですから!!」







 前言撤回します!

言わなきゃよかった、言わなきゃよかった!猛烈に後悔をしながら思わず後ずさる。

でも、真っ暗だから下がっている感覚はあっても、下がっているのか進んでいるのかはわからない。

本気で勘弁して欲しいんですけど、心の中で盛大にボヤいた。







< どうして、俺ばかり、こんな目に合うんだ!? >





「へ……?」





< 俺は悪くない!俺は、俺は何にも悪くないのになんで、どうして……ッ!! >








 思わず、知らんがな、といいそうになったけど、でも、辛い時や苦しい時にこんな風に思ってしまうことがあるのは知ってる。


私だって、似たようなことを思ったことがあった。


どうして、なんで、私だけ?そんな風に考えるのは、周りが見えてな方からだって今なら言える。

 けど、その時の私はわからなかった。

自分の気持ちの整理が追いつかないまま、現実だとか問題だとか嫌なことばっかり積み重なって、上手く息を抜くことができない状態だったから……周りを見る余裕なんて、ある筈がない。


そもそも、そんな余裕があったらそーゆー自体に陥ってないよ。








「どうにもならないなら、どうにもならないなりの対応があると思うんだけど……」





< 俺は悪くない、俺は間違ってなんかない!!どうして、なんで俺だけ…ッ!! >






「ダメだ、聞いちゃいねーですね」






< 私の、なにが悪かったの >






「しかも、なんか増えてるんですけども」





< アイツのせいで、アイツさえ…アイツさえ居なければ…ッ!! >





「……なんか、大分、まずい雰囲気の夢、ですねー……」





ごくり、と思わず生唾を飲む。

夢なのにものすごく嫌~な危機感を覚えるんですけど…?


 反射的に引きつった口元と完全なるへっぴり腰で私の感じた危機感的なものが表現できてると思う。いや、無意識なんだけどね!!リアクション芸とかじゃないんですよ。



 いつの間にか真っ暗な闇の中に沢山の光が浮かび始めていた。


気付いた時は3つだった、小さな炎みたいな光は点々と、数が増えていく。

それらは私を取り囲むように数を増やし、どんどん大きなものへ変化している。

はじめは、蝋燭の炎位だったのに手の平大にまで成長し……色も毒々しい赤色に染まっていく。


色が変わること自体は、少し嫌だなとは思ったけど恐怖を抱くことはなかった。


ただ、赤くなっていくのに比例するみたいに、声がどんどん洒落にならない感じになってること以外は。


 始めに聞こえた男の声は支離滅裂になっていて、もはや言葉ですらない。

次いで悲しそうな女性の声は恨み辛みに代わって今にも良く心霊番組とかで見る怖い女の幽霊になりそうな雰囲気だ。髪が長くって、にたぁって笑うかゆらぁ~っと出てくる感じの怖い奴ね。

あれが声を出したらこんな感じだと思う。

そして、最後に聞こえた八つ当たり気味な男の人の声はもはや、言葉ではなくなっている。




(早く、目を覚まさないと…ッ!!これ、昨日の比じゃないよね…?!)




 冷や汗を大量にかきながら、必死に考えた。

夢の中で冷や汗をかく羽目になるとはおもわなかった!!とかなんとか思いつつ、一心不乱に起きろ起きろとまだ寝ているらしい自分を叩き起す勢いで念じるけど起きる気配は全くない。

どんだけ眠ってるんだ私!暢気のんきにぐーすか寝てる場合じゃないでしょ!!本人(夢だけど意識がはっきりしてるから本体?)が起きろって言ってるんだからちゃんと起きて!




 うがーっとしゃがみこんで真っ黒な地面(一応立ってるし地面でいいとおもう)をベシベシ叩きながら半泣きで泣き叫んだ。









もう恥も外聞もあるかーーー!!!とりあえず起きてーーーー!!








.

そういえば、昔、夢の中で怖い夢を見ても自力で強制終了がかけられました。

…今はもう、そんな器用な真似はできません。


 ここまで読んでくださってありがとうございました!

結局ストックは出来なかった……明日頑張ります…orz


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