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正し屋本舗へおいでなさい  作者: ちゅるぎ
九死に一生を得る、迷子
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洒落にならない発見2

牡蠣が食べたい。ものすごく、ものすごーく、牡蠣が食べたい。


 牡蠣の酒蒸しと牡蠣フライが食べたい。でも、生は食べられない…



 でも、殻つきの牡蠣は高い…お金、ない。ぐすん。

.











 がっくりと、私は綺麗な落ち葉の上に崩れ落ちた。







 時間は丁度4時を回ったところ。

遠くの方からカラスが騒ぎ立てる声が聞こえてくるけれど、それも長くは続かなかった。

耳を澄ませると川の音が聞こえてくるから、川からそう遠く離れていないのは間違いないんだけど…明らかに今までとは違うものが目の前にそびえ立っている。






「なんでこんな所に鳥居があるんだろ?神社っぽいのがあるわけでもないし、お寺っぽいのも見当たらない…よね」






 周りの景色は、鳥居がある所為か、木が生えていない。


住宅街にある最低限の遊具しかない公園のような広さがある。

砂場と滑り台、後はブランコ位なら設置できそうだなーなんて思いながら周囲を見回して、鳥居の奥に灰色の何かが見えた。


 所々、色が剥がれた朱色の鳥居の奥にあったのは、苔が生えた犬の石像。

狛犬と呼ばれるものだと気づいたのは、少ししてからだ。

苔に覆われているせいで全体の形はわかったんだけど、表情が全くわからない。

何となく座ってるのがわかるシルエットと、耳の具合とかで犬だろうと見当をつけただけだから本当はお稲荷さんかもしれないけど。






「今日はもうここでいいや……疲れた」






 脳裏をよぎるのはここにたどり着くまでに見た数々の、死体。


 死体っていっても殆どが骨になってたけど、中にはまだその、新しいものなんかもあったりしてガリガリとMP的なものを削ってくれた。

腐敗臭っぽいのがなかったのが不幸中の幸いなんだけど、正直、かなり喜べない。



 流石、自殺の名所として有名なだけはあるよねー、なんて言いながら薄ら笑いが浮かんだ。










「でも、明日の朝、魚がいっぱい掛かってれば立ち直れるかもしれない」







 楽しいこと、楽しいこと!とそこまで考えた結果、そこにたどり着いた。

見ちゃったものはもう忘れるか、気にしないことにするしかない。

ただでさえ、不気味で薄暗い森にいるんだから気持ちだけでも、前向きにいかないと!


…本音?本音は、自分も木の枝に宙ぶらりんになったり、包丁でぐっさりで人生を終えたくないんだ。

まだ甘いものも死ぬほど食べてないのに死んでたまるか!





「チュン、今日はこのワンコさんの横で寝ようね。狛犬って確か神社とかにいる守り神的な偉い生き物だった筈だから、黒っぽいのとかもどうにかしてくれるかもしれないよ」



「…ちゅん、ちちちち」



「……なんか、鳴き方にばりえーしょんがでてきたね、チュン」



「ちゅんちゅんっ」





 相変わらず可愛らしい鳴き声だけど、チュンがなんとなく呆れてるのはさっきから伝わってきてる。

そりゃ、頭の上でチュンチュン言われ続けたら、はんなりとは分かってくるものですよ。

嬉しいような、切ないような…。



 宣言通り、狛犬らしき石像のすぐ横を寝床と決めたら後は昨日のように枝を集めることから始めた。

枝拾いのついでに川から水を鍋に汲み、集めた枝で火を焚き火をする。

周りに木はないから山火事になるなんてことはないと思う。





「元々、森が暗いせいであっという間に真っ暗になるね」



「ちゅん」






 焚き火が安定した時点で、もう当たりは闇に包まれ始めていた。


黙り込むと静寂が当たりを覆って、時々聞こえてくる音は焚き火の爆ぜる音だけ。

パチパチという音は枝に含まれていたらしい水分が蒸発する音だと昔何かのテレビでみたっけなー、なんて思いながら川の水を沸かして作ったお茶を飲む。


夕食のカロリーメイトはついさっき食べ終わったから、疲労回復のためにぐっすり寝れば一日が終わる。



 狛犬の横に寝袋を敷いて、ごろんと横になった。

芝生のような草が生えている御陰で、ふかふかのベッドとまではいかないまでも快適に眠れそうだ。

くあぁ、と欠伸をしてから寝袋のすぐ横にちょこんと座っているチュンの頭を撫でてやる。

気持ちいいのかグリグリと自分から頭をこすりつける仕草は何度見ても癒やしだ。




「そういえば、包帯取るの忘れてた。おいで、包帯とるよ」



「チチチチチッ!!」



「そんな抵抗しなくても……もしかして包帯とりたくないの?」



「ちゅんっ!」



「……図ったようなタイミングで鳴くね、おまえは。まあ、いいや。明日の朝には包帯とるからね?」



「……ちゅん」





 少し遅れて返事らしき鳴き声を返した野生の雀はピョンピョン小さく跳ねながら私の顔のすぐ横で眠る体制を取り始めた。

…本当に、野生、だよね?なんか、目覚めた時から野性っぽさを微塵も感じてないんですけど。


 私よりも先に寝始めた臆病であるはずの野生雀を観察してみたけど、答えは出そうにないので諦めて寝ることにした。

一日中歩きっぱなしだったことや、精神的なダメージが自覚している以上にあったみたいであっという間に眠りに落ちた。











 だから、疲れや睡眠欲によって注意力が普段以上に鈍くなっていた私は、頭上から熱心に視線を注がれていたことにも全く気付かなかった。

ついでにいうなら、眠っていたはずのチュンがパチリと目を開いてじっとその視線の主を観察し始めたことにも気づかない。





だって、ほら、寝たあとだったしこれで気づくほうがどうかしてるとおもうんだよね!













.






 み、みじかい!!(汗

最近リアルが忙しくて1日~2日うpはかなり難しい感じになってます。

ストックとかないからなぁ…orz


次は普通通りの長さでかけることを祈っています。がんばります、はい

んでもって…やっぱり登場人物が人間1人と雀1羽って厳しいです(爆



ここまで読んでくださってリがとうございました!

そして、アクセスしてくださってありがとうございます!!

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