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大地の宝石  作者: 森宮 スミレ
〜第二章 磨かれる原石〜
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遊戯 2

 従姉であるカレン・ボワモルティエからの手紙に、始めこそ瞳を輝かせていたセリアだが、書かれた内容を読んでいく内に、頬が徐々に引き攣っていく。それを見ていたイアンは、どうしたのか、とその顔を覗き込んだ。

「なんて書いてあるんだ?」

「……今度、ボワモルティエ家で開かれる夜会に、また参加して欲しいみたいで」

「それはまた急だな」

 セリアがそういった場を苦手としているのは誰でも知っている。けれど、それが従姉の頼みでは断れないということも。恐らく今回も以前のように、気乗りしないままそれでも行くのだろう。

 まあ頑張れ、と言いながら、イアンはポンッと栗毛の頭を撫でてやった。しかし、セリアはイアンの言葉に非常にバツの悪そうな顔を返した。そのことにイアンも僅かばかり嫌な予感を覚える。

「どうした?」

「それが、皆も連れて来いって……」

「………………」

 非常に申し訳なさそうな表情で言われたセリアの言葉を理解するまでに、イアンは数秒を要した。予感はしていても、まさかと思っていた分、余計に時間が掛かる。けれど、脳がその意味を処理すると同時に、思い切り顔を渋らせた。






「外出届けを?」

「はい。お願いします」

「私に……ですか?」

「うっ。その、クルーセル先生が見つからないので」

 セリアが言った瞬間、ハンスの眉間には明らかに青筋が立った。ひっ、と短く悲鳴を上げたセリアに構うことなく、ハンスはその周りの空気を徐々に邪悪なものにしていく。

「ええ、そうですね。彼の仕事は全て私に回ってくるんですよ。そうでしょうとも。本来仕事をしている筈の人間が、安全地帯で身を隠しているのですから。その責務が全て私に圧しかかってくることを知っていながらね」

 文句を呟き続けるハンスは、もう完全に怒りが頂点に達しているようだ。担任であるクルーセルが、何時もの如く安全地帯(校長室)で寛いでいるので、ハンスに外出許可の申請を頼んだのだが、どうやらこれは失敗だったらしい。とセリアは後悔するが、既に遅い。

 目の前では、昨晩も押し付けられた仕事を片付けていた為だろうか、疲れ切った顔に、更に青筋を浮かべたハンスが、未だにブツブツと不満を洩らしている。それが向けられている人物はここには居ないのだが、とは思ってもセリアは口を出せないでいた。

 なおも文句のようなものを述べていたハンスだが、どうやら己の仕事を思い出したようで、セリアから本当に渋々といった様子で外出届けを受け取る。生真面目で責任感が強いばかりに、こうしてクルーセルの仕事を押し付けられても、それらをきちんと引き受けてしまうのだ。だからこそ、クルーセルも安心してサボれるのだが。

「しかし、よく彼等と外出が重なりますね」

「はっ!? えっと、それはランスロット様達のことですか?」

「他に誰か居ますか?」

 嫌味っぽく言われた言葉に、セリアもうっ、と怯む。どうやら、相当虫の居所が悪い時に、彼の逆鱗に触れてしまったらしい。なぜ自分がこんな目に遭わなければならないのだ。ただ従姉の夜会に参加するための外出許可を貰いに来ただけなのに。と内心で不満を漏らしても、それを外に出す勇気は、今のセリアにはない。

「交友関係は自由ですが、くれぐれも、学園の外で問題を起こさないように」

 特に候補生達が行動を共にすると、厄介ごとに首を突っ込む可能性が格段に増えるのだ。ただでさえ、彼等は自分達教師の手に余る行為を繰り返しているというのに。この上更に自分の仕事を増やされては適わない。とハンスはがっくりと肩を落としている。

「いいですね」

「は、はい。気をつけます」

 確認するようにジロリと睨まれ、セリアは反射的に頷いた。実のところ、ハンスがそこまで危惧する理由に心当たりがある分、非常に気まずい。



 散々嫌味やら愚痴やらを聞かされたが、取りあえず外出許可は貰えそうだ、とセリアは一安心し、ツカツカと足早に去っていくハンスの後姿が見えなくなるまで眺めていた。

 すると、背後に気配を感じたので咄嗟に振り向く。そして、そこに立っていた人物に、驚いて目を見開いた。

「ヨーク先生」

「荒れていますね。あの方も」

 そう言って、ハンスが消えていった廊下を眺めるヨークは、手に幾つかの書類を持っている。横までゆっくりと歩いてくると、そのまま苦笑してみせたので、セリアは首を傾げた。そんなセリアに、ヨークは何時もの調子でのんびりと答える。

「私も、クルーセル先生の代わりに彼にお願いしようと思ったのですが、やめた方が良いようですね」

「は、はぁ……」

 ヨークの言葉に、セリアもしんみりと頷いた。確かに、それは勧められない。今の状態のハンスに、これ以上クルーセルの仕事を任せようものなら、それこそカールをも超える魔王が誕生しそうだ。相手がヨークであれば、そこまで激しく怒りを露にはしないかもしれないが。

「仕方ありません。クルーセル先生が戻られることを祈るしかないですね。それはそうとセリアさん。マリオス候補生クラスには慣れましたか?」

「へっ!? あ、はい」

 突然の話題に、セリアは一瞬返答に遅れてしまう。けれど、ヨークはそのことを気にする様子もなく、セリアの答えに頬を緩ませた。

「そうですか。安心しました。セリアさんなら大丈夫だとは思いますが、候補生クラスはやはり他とは違うので」

「ありがとうございます。今の私があるのはヨーク先生のお陰です」

 あの時、ヨークの言葉が無ければ、自分は本当に家に戻っていただろう。それこそ、候補生になる機会が与えられた事に気付くこともなく。ヨークには感謝しても足りない程だ。勿論、候補生達や校長に対しても同じ気持ちだが。

 そうしてセリアはもう一度礼を述べながら頭を下げた。

「いいえ。セリアさんの努力の結果ですよ。これから大変かもしれませんが、頑張って下さい」

「はい。ありがとうございました」

 そう言って、ハンスとは反対の方向に、これまたハンスとは対照的にのんびりと歩きながらヨークは消えていった。そこでセリアは、あっと思い出す。そういえば、カレンに候補生達は全員参加することを伝えるのを忘れていた。夜会までにはまだ数日あるが、早めに手紙を送らねば。

 そう思い、セリアはパタパタと駆け足でその場を離れて行った。






 思惑通り、従妹の友人が今度の夜会に参加する旨を伝える手紙を眺めながら、先ほどから楽しそうに口を吊り上げている婚約者に、ギルベルトが小さく尋ねる。

「また、何か企んでいるのかい?」

「フフフ。そう見えて?」

 頬を緩めたまま振り向くカレンに、ギルベルトはやれやれ、と肩を落とした。

 カレンがこの様に楽しそうにしている時は、悪戯が成功したか、誰かをからかう準備を進めている時なのだから。今も、どのようにしてセリアとその友人が焦る様を見ようかと、色々と想像を巡らせているのだろう。ギルベルトは、数日後にはこの屋敷に訪れるだろう少女達に、胸の内でそっと同情した。

「それで、今度は何が起こるんだい?」

 同情はするものの、やはりギルベルトにもカレンと似た所があるようだ。僅かな興味をくすぐられ、ソファにゆったりと腰掛ける美しい令嬢の後ろに静かに歩み寄る。

「そうね。どうすれば一番面白いものが見られるかしら」

「……あまりお遊びが過ぎると、セリアも流石に困るんじゃなかい?」

 とはいっても、カレンが実際今回目をつけているのはその友人であって、セリア自身でないことはギルベルトも承知している。だからといって、セリアが全く被害を被らない訳ではないだろうが。それに、たとえそうなったとしても、カレンはそれが楽しいのだから。

 招待状を受け取って困惑してるだろう、マリオス候補生達を気の毒に思いながらも、ギルベルトもそれを止めようとはしない。むしろ、一緒になって楽しんでいる傾向すらある。

 カレンもそれを理解しているのか、よき理解者に改めて視線を向ける。

 口の端を上品に吊り上げ、先ほどよりも笑みを一層深めれば、まさしく誰もが羨う、麗しの淑女レディーそこに居た。







 ついにその日が来てしまい、候補生達はボワモルティエ侯爵家へ赴いていた。それぞれの元へ届いた招待状を手に、候補生達はゆったりとした歩調で、侯爵が誇る城へと入って行く。

 しかし、学園からずっと一緒だった筈のセリアの姿は見当たらない。というのも、到着して直ぐに麗しの従姉様に何処かへ連行されて行ってまったのだ。そのセリアは、当然の様にカレンの部屋にがっちりと囚われていた。

「セリア。さあ、どれがいい?」

「だから姉様。ドレスなら自分のを……」

「ダメよ」

 セリアが最後まで言い切る前に、笑顔で却下されてしまった。その事に、セリアはもう一度がっくりと肩を落とす。部屋中に広げられたドレスの山を見詰めるのも、もう疲れてしまった。

「この間は白だったけど、今日は何色がいいかしら?」

 目の前で次々と掲げられる衣装だが、セリアにとっては最早布切れにしか見えない。そんなセリアを完全に無視し、カレンは楽しそうにせっせとドレス選びに勤しんでいる。

「ほら、セリアも選んで。あまりお友達を待たせてしまっては彼等も退屈してしまうわよ」

「そこまででもない、と思うんだけど……」

 彼等が社交の場で、ただ待っているだけに終わるなどあり得ない。今頃、華やかなご令嬢達の相手を立派に努めているのではないだろうか。というより、周りが彼等を放って置くことはしないだろう。

「それに、貴方が行かないと何も始まらないのだし」

 楽しそうなカレンの言葉に、セリアは違和感を感じ首を傾げた。

 何も始まらないとはどういう意味だろうか。それが、今夜の夜会の主催側の人間であるカレンならばともかく、自分とはまったく関係がないように思うのだが。と疑問に思っても、それに答えてくれそうな者はここには居ない。

 セリアが困惑したまま思考を巡らせている間も、カレンはニコニコと従妹を着せ替えにかかっていた。





 暫くの間は大人しく従姉の言葉に従っていたセリアだが、今の状況には耐えられないものがあるようで、懸命に抵抗していた。

「いやだ!!」

「どうして?」

 白々しく首を傾げてみせる従姉に、セリアは拒否の姿勢を貫く。何が悲しくて、以前見せられた派手な桃色の道化師の衣装の様なドレスを着せられなければならないのだ。

 反抗はしないものの、協力的ではない態度を取っていたセリアの前に、カレンが楽しそうに桃色のそれを掲げてみせたのだ。

「だってセリアったら、ちっとも選んでくれないんですもの」

 まるで自分が悪いかの様に言われた事に釈然としないセリアだが、その事には敢えて触れない。それよりも、無理やり自分にそれを被せようとするカレンに、必死に抵抗する。

「お願いだから。もう少し大人しめのを」

「そう? きっと似合うのに」

 してやったり、と口の端を吊り上げる従姉に、セリアも段々と頭が痛くなってくる。面白がられていることなど百も承知だが、だからといって躱し方を自分は心得ていない。むしろ、逆らおうとすれば更に状況が悪化しているような気さえする。こういった事に関しては、やはり経験と年期が違う分、こちらが圧倒的に不利だ。もうこうなっては、カレンの望むようにするしかないのだ。

「さて。そろそろ行かないとね。セリア、今日はこれにしましょう」

 そう言ってカレンは、部屋の奥から薄い青色のドレスを持って現れた。部屋の奥にひっそりと、けれど準備が整っていたかのように置かれ、迷う事なくそれを取った従姉の姿にセリアも疑問を抱く。

「まさか姉様……」

「あら。バレてしまったからしら? セリアが来るのに、ちゃんと用意をしていない筈がないでしょう」

 当然だろう、とばかりにドレスを差し出すカレンに、セリアはついに項垂れた。

 つまり、初めから自分が着せられるものは決まっていたのだ。にも関わらず、長い間、自分に取っては苦行も同然な、着せ替え人形の様な状態を強いられていたのか。 

 理解すると同時にどっと疲労が押し寄せるが、カレンは悪びれた様子も見せず、ニコニコと上品に微笑んでいる。

「ほらほらセリア。早く着替えて来て。髪も直したいし、お化粧もしなくちゃ」

 もう勘弁してくれ、とセリアが心中で幾ら叫ぼうと、カレンがそれを気に留める日は、永久に来ないだろう。






「あっ! セリア。こっちだよ」

 侯爵家の夜会と言っても、今夜の客はかなり少ないようだ。その所為か、今候補生たちの周りに人垣は出来ていない。それでも、光輝く彼等はやはり注目を集めていた。そんな彼等が、ホールに入って来た一人の地味な少女を明るく呼び止めたのだから、何事だ、と視線はそちらへ向く。

 それに気付いているのかいないのか、それとも気にしている余裕が無いのか、セリアはトボトボと非常に遅い歩調で彼等の元へ歩いて行った。

「セリア。どうかしたのか?」

 項垂れたまま現れたセリアに、ランは眉を潜めながら言葉を掛ける。それにセリアは、ボソリと一言で返した。

「疲れた……」

「…………」

 色気も素っ気も無い。折角、普段とは違いそれなりに粧し込んでいるのだから、もう少し楽しそうにしてもいいだろうに。だが、セリアはそんな雰囲気を全く見せず、それがまるで苦痛だとでも言わんばかりの勢いでぐったりとしている。まあ、その原因に心当たりが無いわけでもないので、何も言わないが。

「あら、皆様。セリアの姿はお気に召さかったかしら?」

 フフフ、と不適に笑いながら現れたカレンに、候補生達は全員肩を揺らす勢いで驚いた。が、そこは意地で、顔にも態度にも出さない。礼儀正しい一礼と共に、今宵の主催者でもあるカレンの手に柔らかく口付ける。

「どうも、レディー・カレン。今宵はお招き戴き、ありがとうございます」

「こちらこそ。いらして下さって嬉しいわ。それよりも、ランスロット様。今夜のセリアの姿はどうかしら?」

 カレンは、ずいっとセリアの肩を押してランの前に突き出す。突然の事にセリアは驚いて反射的に逃げようとするが、がっちりと肩を押さえつけられ、思う様に動けない。というより、無理に振りほどいたら、また何か言われそうで怖い。

「…………」

 唐突に話を降られたランも一瞬怯むが、ジッと目の前に立たされたセリアに目を向ける。薄い青色のドレスに、後ろで一纏めにされた長い栗毛。化粧の所為だろうか、その頬は普段と違い、若干赤みを帯びている。

 久しぶりに見る想い人の着飾った姿に、ランは彫刻のような端整な顔に微笑みを浮かべた。

「このように素敵な女性に出会えた事を、神に感謝したい程です」

「は、はぁ……ありがとう」

 そっと手を取られながら言われた当のセリアは、言葉に込められた意味を半分も理解しちゃいない。その内心では、褒められた事を喜ぶでもなく、そんな小っ恥ずかしい台詞を、そこまで自然に言えるとは流石だな、などと感心までしていた。

 別に何を期待していた訳ではないし、思ったままを口にしただけなのだが。けれど、全く反応を見せないセリアに、ランも僅かに複雑な顔をする。


 ランの言葉に、まるで自分が褒められたかの様にカレンが嬉しそうに頬を緩めた所で、軽やかな音楽がホールに響き始めた。それに釣られる様に、何組かの男女が手を取り合い、ホールの中央辺りでダンスを楽しみ始める。

 いよいよ、夜会という感じになってきた。

 すると、まるでそのタイミングを見計らったかの様に、別の声が掛けられる。

「久しぶりですね。マリオス候補生様方」

 ひょっこりと現れ頭を下げたギルベルトに、候補生達も会釈した。するとギルベルトは、今度はセリアに目を向け、優しげにその瞳を細める。

「またカレンに弄り回されたみたいだね。疲れたって顔に書いてあるよ」

「えっ!?」

 まさか、そんなに顔に出ていたか!? とセリアは顔を青くする。その様子にギルベルトは噴出した。

「折角なんだし、もう少し楽しそうにしたらどうだい?」

「それよりギル。姉様、また何か企んでるんじゃ……」

 横で候補生達を楽しそうにからかっているカレンに聞かれぬよう、こっそりセリアはギルに聞いてみた。その途端、同情にも似た視線を向けられたのでセリアは肩を落とす。ギルがこういった顔をむけるのは、大体が姉の悪戯の標的に対してだ。つまり、また姉は何かをやらかす積もりらしい。

「まあ、大したことではないから心配しなくていいよ」

 それだけ言うと、ギルベルトは横に立つ婚約者の肩を抱き寄せた。どうやら、ここへ来た本来の目的はそれらしい。その顔は先程までと違い、恋人を見詰める男の顔だ。

「失礼ですが、そろそろ彼女を譲ってもらえますか?」

 そう言う婚約者に、カレンもそれまでとは一転して、うっとりと熱の籠った瞳を向ける。そして、そっと肩を抱き寄せる婚約者に身を持たれた。

「ちゃんと迎えに来てくれたのね。嬉しいわ」

「君が居る場所なら、僕は何処へでも行くよ。ところで、僕の手を取ってくれるかい?」

「フフフ。それは貴方次第だわ」

 愛を囁きながらゆっくりとホールの中央へ移動する二人の瞳には、もう他の誰も映っていないようだ。その様子を、セリアは呆然と見送っていた。人前でも留まる事をしない熱愛ぶりには、毎回のことながら目のやり場に困る。まあ、幸せそうな従姉の姿を見るのは、嬉しいことには変わりないのだが。

 そんな風にステップに勤しむ男女達にセリアが視線を向けていると、目の前にスッと手を差し出された。驚いて顔を上げれば、その先では琥珀の瞳がジッと自分を捉えている。

「セリア殿。自分も、一曲お相手願えますか?」

「へっ? わ、私!?」

 驚いて周囲を見回すが、近くに他のご令嬢は見当たらない。遠くから羨望の眼差しを向けるお嬢様方なら居るが。それに、今ザウルは確かに自分の名を呼んだ。

 非常に困惑したセリアだが、ザウルは差し出した手を下げる様子を見せずに、ジッと静かに返答を待っている。琥珀の瞳が放つ静かな空気に、セリアも漸く落ち着きを取り戻した。

 それに、相手がザウルでは断る理由も無いな。とセリアはゆっくりとその手を取る。

「お願いします」

 にっこりと微笑んだセリアの手を、ザウルはしっかりと握りホールの中央へ導いて行った。



姉様が、まさかあんなこと言い出すなんて。それは、昔は私も好きな遊びだったけれど。でも、幾ら何でも、なにか違う気がする。だからって、逆らうことも出来ないのは分かってるんだけど。


とにかく、早く適当な場所を見付けないと。

……でも……何処に……



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