表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
森の創造館の主は、今日も騎士を癒している  作者: 桜桃
第一章 癒しの時間をお届けします

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/10

第9話 僕とお客様

 モナ様を館の中へ案内すると、本棚を見て回り、眼鏡をきらりと光らせた。


「あなたは、確か本が大好きでしたね」


「は、はい」


「これで満足しているのかしら」


 モナ様が僕を見る。


 眼鏡の奥で光る深緑色の瞳が、僕を見定めるように鋭かった。


「え、えぇっと。満足はしていませんよ。もっと他に本が見たいです。ここに、もっと世界――本を、増やしたいです」


 ここにある本棚は、せいぜい二十ほど。

 まだまだ増やしたいし、本も置きたい。


 けれど、僕が今まで読んできた本の数は、病気だったこともあって少ない。

 それでも……さすがに二百冊くらいは読んだかな。


 本好きと言うには少ない数だ。


 体調の良い日にしか読めなかったのが、本当に悲しい。


「――わかりました。同じ本好きとして、協力いたしましょう」


「え? 協力、とは?」


 話についていけず問い返すと、モナ様は上を見て指をさした。


「なぜ、あそこの本棚は、他の本棚と違って間が空いているのでしょう」


「あ、えぇっと。僕が前世で読んでいた本にも限界があって、創造できなくなってきてしまったんです」


「創造?」


 ――そっか。


 モナ様は、この館がどんな風に作られているのか知らないんだ。

 多分、リヒトさんから軽くは聞いていると思うけれど。


 僕はモナ様に、かいつまんで話した。


 僕の前世のこと。

 そして、この館のこと。


 するとモナ様は顎に手を当て、しばらく考え込んだ。


「あ、あの?」


「――面白いわね」


「え?」


「あなた、本当に面白いわ。気に入った」


 真顔でそんなことを言われてしまった。


 気に入ってもらえたのは嬉しいけれど、どこにそんな要素があったのだろう。


 ……わからないけれど、楽しそうにしているみたいだから、いいか。


「ねぇ。創造で作っているのなら、あの本棚を埋めるには、あなたが新しい本を読まなければならないのよね?」


「は、はい」


「それなら、私の書斎に来なさい。ここにある本の倍以上は用意できるわよ」


「え、それは本当ですか!?」


 ――はっ!


 し、しまった。


 本という単語に思わず声を大きくしてしまった。


 ご令嬢に対してなんてことを……!


「す、すいません。驚かせてしまいましたよね……」


「いいえ。本が好きだということが今ので伝わったわ。時間があるとき、案内してあげる。今日はこの空間を楽しみたいの」


 モナ様は館の中を見回し、わずかに口角を上げた。


 嬉しい。

 そう言ってもらえて、本当に。


「はい。ぜひここでお休みください。すぐにお飲み物を準備します」


 戻ろうとすると――……


「待ってくれ」


 サグラモールさんに呼び止められた。


「モナ様に出すものは、俺が作る」


「え、で、でも、お客様にそのようなことは……」


 この館は、お客様に休んでもらう場所だ。

 ここでお客様に飲み物の準備をさせるなんて、できるわけがない。


「クリエント。サグラモールは、令嬢の護衛としてここに来ている。万が一モナ様に何かあれば、国を揺るがす事態になりかねない」


「リヒトさん……。何か、とは?」


「…………毒が混入される可能性もあるということだ」


 っ!! そ、そっか。


 僕は、ここにいる人たちからすれば赤の他人。


 そんな赤の他人が入れた飲み物を、簡単に令嬢に飲ませるわけにはいかないんだ。


「も、申し訳ありません、サグラモールさん! 僕、そこまで考えが及ばなくて……!」


 深く頭を下げて謝る。

 僕はまだまだだ。


 こんなこと、リヒトさんに言われる前に気づくべきだったのに。


「い、いや、そこまで謝らなくても……。俺に飲み物を作らせてくれるなら、それでいい」


「わかりました! ではこちらへ。まだ簡易的なキッチンしかないのですが、それでも大丈夫でしょうか?」


「あぁ、構わない」


 二階へ案内し、奥の部屋のキッチンを見せた。


「本当に簡易的ですみません。今後大きくする予定ではあるのですが……」


「いや、十分だ」


 ガスコンロとカップ、皿しかない小さなキッチン。


 サグラモールさんの体格だと、少し窮屈そうだ。


「……少しお待ちください」


「ん?」


 キッチンに手を添え、目を閉じる。


 体を巡る魔力を、両手へゆっくり流す。

 すると、手が淡く光り出した。


 その光が広がり、キッチンを包み込む。

 ガタガタと、キッチンが揺れ始めた。


「な、なんだ?」


「キッチンを少し大きくします」


 頭の中で、サグラモールさんの体格に合わせたキッチンを思い描く。


 それを形にするよう、魔力を操作する。

 キッチンが変形し、ゆっくりと大きくなった。


 数秒後、光が消える。


「ふぅ……。この形で大丈夫でしょうか?」


「お、おう。本当に、すごい魔法だな」


「僕もそう思います。本当に、クニーと、その主である召喚士様には感謝しかありません」


「クニー?」


 あ、そうか。

 まだクニーを紹介していなかった。


「クニーとは、僕を支えてくれる相棒であり、兎です」


「う、兎?」


「はい。クニー、今どこにいるの?」


 キッチンから顔を出して呼ぶと、トントンと足音が近づいてきた。

 数秒後、クニーが姿を見せる。


『どうした、主』


「今日来てくれたお客様に、クニーを紹介しようと思って」


 そう言いながらクニーを抱き上げ、サグラモールさんへ見せる。

 すると、サグラモールさんは驚き、その場で固まってしまった。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ