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森の創造館の主は、今日も騎士を癒している  作者: 桜桃
第一章 癒しの時間をお届けします

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第8話 僕と騎士と令嬢と

 モナを何とか説得し、約束は数日後になった。


 その約束の日、モナは外出用のドレスに着替えていた。


 城にいた時は、すべて黒のレースが多いドレスだった。

 今回も全身を黒でまとっていることには変わりない。


 だが、フリルがさらに増え、厚底のヒール付きの靴。

 顔には黒縁メガネではなくサングラス。


 レース付きの黒い傘を手に持ち、外でリヒトを待っていた。


「お待たせいたしました」


「まったくだわ。遅すぎるのよ」


「そうですね。騎士として申し訳ありません」


 リヒトはモナの言い方に怒りを覚えることもなく、冷静に腰を折って謝る。


「では、行くわよ。サグラモール、早く馬車を出してちょうだい」


「了解しましたよ~」


 馬車に乗る前に、サグラモールがリヒトに近づいた。


「まだ約束の時間の三十分前なのに、あんな言い方されて悪いな」


「問題ない。一時間の余裕を持てなかったこちらの失態だ」


「だが、そちらの令嬢は聞き分けてくれたのか? 確か、リヒトしか世話役をさせないんだろう? 大丈夫なのか?」


 オルレアン家の令嬢、エレナ・オルレアン。


 話では、令嬢としての仕事もしっかりこなし、時間にも厳しい人物だとサグラモールは聞いていた。


 だからこそ今回の件で、リヒトの令嬢が嫌がるのではないかと懸念していたのだ。


「説得には時間がかかったが、今度一日いっぱい遊ぶということで許してもらえた」


「そ、そうか……。そんな可愛いお願いされたら、断れないよな。普通にうらやましい」


 サグラモールの言葉が聞こえたのかどうか。

 ちょうどその時、モナの声が飛んできた。


「サグラモール、遅い」


 ビシッと背筋が伸びる。


「た、ただいま行きますよー」


 サグラモールはモナを馬車へ案内する。

 続いてリヒトを中へ入れようと手を差し出したが──……


「待て。俺が馬に乗る。お前がモナ様と一緒に乗れ」


 リヒトがそう言った。


「だ、だが、一応リヒトは今回、付き添い……」


 そこまで言って、サグラモールは少し悩む。


 リヒトは無口。

 モナも無口。


 二人きりにしても会話が続かないかもしれない。重い空気が自分にも届く可能性がある。


 数秒考えた後──……


「任せた」


 そう言って馬車の中へ入った。

 リヒトは御者席に座り、手綱を握る。


「ハッ!」


 馬を走らせ、慣れた道使い、創造館へと向かった。


 ※


「ふんふーん」


『今日はご機嫌だな、主よ。そんなにリヒトの令嬢が来るのが待ち遠しいのか?』


 掃除をしながら鼻歌を歌っていると、クニーに突っ込まれてしまった。


「リヒトさんの令嬢というわけではないみたいだよ。なんでも、リヒトさんの友人の令嬢らしい。本が大好きで、ここにも興味を持ってくれたんだって」


 昨日、リヒトさんは少しだけ今日のことを話してくれた。


 サグラモールさんという騎士が仕えている令嬢。


 名前はモナ・クラウド様。


 少々癖があり、言葉がきついらしい。

 それは少し緊張する。


 けれど、どんなお客様にも癒しを届けるのが僕の目標だ。


 そんなところで怖気づいてはいられない。


 今回は初めてのお客様が二人も来てくれる。

 気をしっかり引き締めないと。


「よし!!」


『気合十分だな、主よ』


「うん!」


 掃除を終え、出迎えの準備が整ったところで、ちょうど外から蹄の音が聞こえてきた。


「あっ、来た!」


 自然と笑顔になってしまう。


 ドアに走ろうとした時、後ろからため息が聞こえた気がしたが、気にせずドアを開けた。


「リヒトさん!」


「ん? あぁ、また来た」


 リヒトさんの笑みに、僕の心臓がドクンと跳ねた。


 頬が熱くなるのを感じながら駆け寄る。


「今日も来てくださり、ありがとうございます」


「こちらこそ、連日すまないな。気を使わせているだろう」


「いえ! そんなことありません! むしろ毎日来てくださって感謝しています! 遠慮せず毎日来てください!」


 笑顔で言い切ると、なぜか頭を撫でられた。


 リヒトさんの手、大きい。


 外を馬で走ってきたからか、少し冷たい。

 でも、なぜか温かい。


「おいおい、俺たちのこと忘れてないか?」


 聞き覚えのない声が馬車の方から聞こえた。


 見ると、見覚えのない騎士が呆れたようにこちらを見ている。


「こ、こんにちは!」


「はいはい、こんにちは。初めましてだな。ここがリヒトの大好きな創造館ねぇ〜」


 そう言いながら騎士は、馬車へ手を伸ばす。


 そこから現れたのは、本の世界から出てきたような美しい女性だった。


 艶のある黒髪。

 フリルのドレスがよく似合う。


 サングラスは可愛さだけでなく、かっこよさまで引き立てている。


「――初めまして」


「は、初めまして!」


 降りた瞬間、僕の方へ歩いてくる。


 サングラスを外すと、深緑色の瞳が見えた。

 すぐに黒縁メガネをかけ、傘を隣の騎士へ渡す。


「あなたが、本好きのこの館の主人かしら」


「は、はい! 創造館の主人を務めておりますクリエントです! 改めまして初めまして、ご令嬢。最大限のおもてなしをさせていただきます」


 令嬢と話すのは緊張する。

 けれど、ここで怖気づいてはいけない。


 いつも通り。

 いつも通り。


「そんなに固くならなくて大丈夫よ。ここでは令嬢ではなく、モナとして来ているの」


「は、はぁ」


「中に入っていいかしら。疲れるわ」


「はっ! すすす、すいません! どうぞ中へ!」


 僕のバカ!


 おもてなしすると言いながら、立たせたままじゃないか!


「モナ様、あまりわがままを言わないでください」


「わがままじゃないわ。当然のことを言っただけよ」


 騎士を見上げ、モナが言い切る。


「やれやれ。悪いな、クリエントだったか。俺はサグラモール。呼び捨てで構わないぞ」


 モナは腕を組み、視線で「早く」と訴えてくる。


「では、皆さまこちらへ。癒しの空間をお楽しみください」

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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