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森の創造館の主は、今日も騎士を癒している  作者: 桜桃
第一章 癒しの時間をお届けします

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第5話 僕と料理

 創造館には、今日も人が来ない。


「クニー、今日は何をしようか」


 僕はひとまず掃除を終え、人がいつ来てもいいように準備を済ませていた。

 ここからはもう自由時間。来客がない限り、本を読んで一日が終わる。


 それも幸せだけれど、やっぱり誰かと話している方が楽しい。


『本を読むのではないのか?』


「それもいいとは思っているんだけど、たまには違うことをしてもいいかなって。でも、やりたいことが特にないんだよね」


『なるほど。たまには違うことを、か』


「うん。でも、結局何をすればいいのか、わからないんだ」


 病室で寝てばかりだった僕。

 せっかく体を動かせるようになったのに、やることがない。


 運動……とか?

 でも、どこで? どうやって?


 うーん。本の中だと、ジムに通っていることが多いけど、館に人が来た時に不在だったら、来客者に失礼だよね。


 せっかくここまで来てくれたのに、悲しい思いはさせたくない。


『ふむ。それなら、料理をしてみるのはどうだ?』


「料理? でも、ご飯は想像で作れるよ?」


『そうだが、それをあえて食材の状態で出すのだ。そして自分の手で作り、食べる。意外と楽しいかもしれないぞ』


 料理、か。

 自分がやるという考えはなかった。


「――うん、いいかも」


 もしかしたら、料理でリヒトさんが喜んでくれるかもしれないし。

 料理本も今まで見てきた。本も本棚にあるし、そこからよさそうなものを見つけて作ってみよう。


「それなら、まずキッチンを作らないといけないね。あと、道具も」


『そうだな。二階の奥に部屋を追加してみてはどうだろうか。仕切りは扉ではなく、のれんなどにして』


「料理を運ぶとき、扉だと開けられない可能性があるもんね。それはいいかも」


 なんだか楽しくなってきた。

 よしっ。まずは紙と定規、ペンを創造で作り出し、椅子に座る。


「まずは、しっかり形を考えないとね」


『今日はそれだけで終わりそうだな。この創造館を作り出したときも、半年はかかっていたからな』


「うるさいよ。楽しくなっちゃうんだから仕方ないじゃないか」


 考えることはもともと大好きで、時間を忘れて考え込んでしまうのが癖だった。


 だからなのか、病院でもご飯の時間や検診、消灯の時間さえ忘れて、本を読んだり考え事をしていた。


 それをよく怒られていたのも、今となってはいい思い出だ。


 あはは……。


 ペンを走らせていると、クニーが僕の膝の上に乗ってきた。


「あれ、どうしたの?」


『我も一緒に考えようかと思ってな。ダメか?』


 僕を見上げてくるクニーの頭を撫で、うなずいた。


「いいよ。ここは僕だけの館じゃないんだ。君と僕の館なんだよ。一緒に考えよう」


『ふむ。うれしいことを言ってくれるな』


「当たり前のことしか言ってないよ」


 館の今の間取りを紙に書き、どこにキッチンを追加できるか考える。


 追加するにしても、どんな形にするのか。

 L字キッチンにするか、こぢんまりとした形にするか。


 冷蔵庫の場所や電子レンジの置き場。

 キッチンを作るなら、炊飯器も欲しい。

 出来立てのご飯を食べてみたい。


 そんなことを考えていると、扉が開いたことを知らせる鈴が鳴った。


「あっ、お客様だ」


『お出迎えだな』


 膝からクニーが降りる。

 僕も椅子から立ち上がり、階段を下りた。


「――あっ、リヒトさん。こんにちは」


 来てくれたのは、騎士のリヒトさんだった。

 今日もかっこいい。


「もしかして、二階で何かしていたか?」


 僕が上から降りてきたから、何かを中断させてしまったと心配してくれているのかな。


「少し、部屋を追加しようとクニーと一緒に考えていました」


「部屋を? まさか本棚の置き場がなくなってきたのか? でも、以前は、本棚を埋める本がないと言っていなかったか?」


 リヒトさんは以前、僕が本棚を埋めたいと相談したことを覚えてくれていた。


 本当に、この人は優しい。

 僕の言葉をちゃんと覚えていてくれる。


「いえ、本棚の追加ではありません。キッチンを作ろうと思って」


「キッチン? なぜだ? 料理なら創造で作れるのではないのか?」


「確かに作れます。なので今までは創造で作っていました。でも、自分の手で作るのもありかなと思ったんです。趣味も増えますし」


 そう言うと、リヒトさんは目をぱちくりさせた。


 何か変なことを言っただろうか?


「――そうか。料理は得意なのか?」


「作ったことはないのですが、本の中の料理を創造で作り出していたので、何とかなるかなと!」


 この時の僕は、本当に料理をなめていたと思う。

 リヒトさんが神妙な顔をしていたのも、今ならわかる。


 ・

 ・

 ・


「なんでぇぇぇぇぇぇえええ!!」


「ま、まだ始めたばかりだから。最初はこんなものだ」


 今、簡易的なキッチンを作り出し、料理をしていた。


 本格的にキッチンを作る前に、一度料理を経験してみたらどうだとリヒトさんが言ってくれたからだ。


「な、なめていました。本の中では、登場人物たちが簡単そうに作っているから、誰でもできるのかなと……」


 今、皿の上に置かれているのは、得体の知れない焦げた何か。


 いや、何かというより……。


「………………黄色い卵が、まさかここまで焦げるとは……」


「う、うぅ。卵焼きがダークマターに……」


 リヒトさん、あまり眺めないでください。

 あの……恥ずかしいです。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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