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森の創造館の主は、今日も騎士を癒している  作者: 桜桃
第一章 癒しの時間をお届けします

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第3話 僕と騎士の友人

 リヒトさんは少しだけ本を読み、一時間ほどで帰っていった。


 もう数か月、通い続けてくれている常連さんだ。

 仕事の合間に来ているのだと言っていた。


 どうしてそんなに来てくれるのかと聞いたことがある。


『たまには自分の時間が欲しくてな』


 そう、答えてくれた。


「自分の時間、かぁ~」


 自分の時間は大事だ。

 誰にも邪魔されず、好きなことを楽しめる時間。


 騎士というのは、主を守る仕事。

 命を懸けて戦い、剣を振るい、前戦を駆ける。


 僕は小説の中でしか知らない世界だけど、リヒトさんにとっては現実。

 実際に戦い、駆ける。


 どんな景色が広がっているのだろう。

 どんな視界で、どんな重さを背負っているのだろう。


 リヒトさんが見ている世界は、一体どんな世界なのだろう。


「見てみたいなぁ……」


 今日おすすめした本を胸に抱きしめた、その時。

 また視線を感じた。


 横を見ると――クニーがじっと僕を見ている。


「ど、どうしたの? クニー」


『主は、あの騎士がお気に入りのようですね』


 お気に入り?

 ……違う気がする。


 その言葉では、しっくりこない。


 もっと、別の。


「んー、なんだろう」


 どうしてこんなに気になるのだろう。

 考えても、答えは出ない。


 ・

 ・

 ・


 クリエントの創造館を後にし、リヒトは馬に乗って森を進んでいた。


 青空の下、ゆったりとした(ひづめ)の音が響く。


 周囲は緑に囲まれている。

 名前は、アマダの森。


 自然が広がり、動物も生きている。

 陽光が差し込み、道を照らしてくれる。


 そんな森を走ると、徐々に陽光が強くなる。

 周りに立ち並ぶ木が数を減らす。


「……本屋、見つけておかねばな」


 館での会話が頭をよぎる。


 街で勧められる本屋はあるだろうか。

 どこがよいだろうか。


 そんなことを考えながら森を抜け、街へ入る。


 人の往来が増え始めた頃。


「リヒト!!」


「ん? あぁ、サグラモールか」


 馬から降りようとしたところへ駆け寄ってきたのは、黒を基調とした騎士。


 茶色の猫っ毛を揺らし、少年のような笑みを浮かべる男。

 名前は、サグラモール・クラウド。


 クラウド家に仕える騎士で、自称リヒトのライバル。

 だがリヒトにとっては、気の置けない同僚だ。


「今日も例の館か?」


「あぁ」


「へぇ。俺も今度行ってみるかな。お前がそこまで通うってことは、相当いい所なんだろ?」


 リヒトは馬から降り、彼の前に立つ。


「時間があれば行ってみるといい。主も、いい人だ」


「そうか。じゃあ、都合つけてみるわ」


「それと、一つ聞いてもいいか?」


 真剣な眼差しに、サグラモールは目を丸くする。


「なんだ?」


「お前は、本をよく読むか?」


「いや、あんまりだな」


「では、本屋に詳しい知人は?」


「本屋に? ……いると言えばいるが。どうした、急に」


 今まで聞かれたことのない話題だったため、サグラモールは首を傾げた。


「館の主に街を案内する約束をしてしまった。だが、勧められる本屋を知らん」


「後先考えろよ……」


「反省はしている。後悔はしていない」


「おい」


 顎に手を当て考え込むリヒトを見て、サグラモールも思案する。


「なら、うちの姫に聞いてみるか」


「クラウド家の姫君か。確かに、本を読んでいる印象がある」


「印象通りの人だぞ。いつなら空いてる?」


 予定をすり合わせ、後日の約束を決める。

 今日はそれだけを話し、それぞれの持ち場へ戻ることになった。


 別れた後、リヒトは城へ向かう。


 その途中、耳に入ったのは、街の女たちの噂話。


「ねぇ、知ってる? ヴァオラ家がこの街を偵察してるらしいわよ」


「え、あのヴァオラ家が? 何のために?」


「さぁ……また戦争を起こす気じゃないかって」


「やめてほしいわねぇ……」


 噂話に信憑性は薄い。


 リヒトは立ち止まらず、そのまま歩を進める。


 だが、胸の奥に、わずかな引っかかりが残った。


 ――念のため、姫に伝えておくか。

 そう決め、城へと向かっていった。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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