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森の創造館の主は、今日も騎士を癒している  作者: 桜桃
癒しの場所を守り続けます

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第25話 僕と覚悟

 最近、僕は何者かに襲われている。

 それが、今回の事件に関係しているのであれば――。


「現状が少しでも分かったなら、すぐにここから逃げるぞ」


「わ、わかりました!」


 聖水を握り、扉を開けて外へ――


 ――バタンッ!!


「っ……え? どうしたんですか、リヒトさん」


「……少し遅かったみたいだ。クニーさん、この館に結界は張ってありますか?」


 クニーが答えようとした、その瞬間。


 ――ガンッ!!!


『っ!? 扉が……強い力で叩かれておる!』


 ガンッ、ガンッと鈍い衝撃音が館内に響く。

 体の芯まで震えるような、嫌な音。


「クリエント、他に出入口は?」


 咄嗟に答えられるはずの質問。

 それなのに、恐怖と困惑で思い出せない。


「え、えっと……あっ、裏手に非常用の扉を作っています! そこからなら……!」


「案内を」


 急いで裏へ向かう。


 扉を叩く音が、徐々に遠のいていく。


 さすがに裏までは――


 廊下の先に、非常口の扉が見えた。


「あそこです!」


 ドアノブを掴もうとした瞬間、大きな手が重なる。


「私が開ける。何が起こるかわからんからな」


 後ろへ引き下げられる。


「クニーさんをお願い」


 足元を見ると、クニーが床に手をつき、息を切らしていた。


 ……気づけなかった。ごめん、クニー。


「ごめん、クニー」


『まったく……無茶をする』


 それは僕のセリフでもあるんだけど……。

 クニーの頭を撫でていると、リヒトさんが気配を探っていた。


 扉に耳を当て、目を閉じて集中する。

 そして、そっとドアノブを握る。


「開けるぞ」


 頷きを確認し、扉が開かれた。


「っ、風が……!」


 冷たい風が吹き込む。

 空は曇り、空気が重い。


「雲行きが怪しいな。急ぐぞ」


「はい!」


 森へ駆け出す。


 馬は正面に置いたままだ。


 こんな急かされた状態では、馬を作り出すことはできない。

 走るしかないみたい。


 冷たい風が吹き荒れ、木々が揺れる。

 薄暗い。


 嫌な予感が消えない。


 どこまで追ってくるのか。

 どこへ逃げれば、この嫌な予感は消えるのか。


 遠ざかっていく。


 僕の、癒しを与える館が。


 この行動は正しいのか。

 不安だ。すごく。


 もう、あそこへ帰れないんじゃないかと思うくらいに怖い。


「はぁ、はぁ……」


「大丈夫か?」


「だ、大丈夫……」


 体力が追いつかない。

 でも止まれない。


 止まれば――死。


 必死に走る。

 リヒトさんに置いていかれないように。


 でも、今までこんなに走ったことがなかったからか、足が鉛のように重くなってきた。


 喉の奥に鉄の味がする。


 肺が痛い。


 汗が止まらない。


 でも走る。


 死にたくなければ――……。


「失礼する」


「え、わっ!?」


 突然、体が浮いた。


 リヒトさんが僕とクニーを同時に抱え、走り出す。


 速い。

 景色が流れていく。


「すご……」


「感動している場合ではないぞ。気配が近い」


「え……」


 後ろを振り返る。


 何も見えない。

 でも、リヒトさんの表情は険しい。


 最悪の事態が迫っているのが伝わる。


 僕にできることは?

 ここで、僕は守られてばかりではだめだ。


 僕も、何かしなければ――……。


「……リヒトさん」


「なんだ?」


「僕、囮になりますか?」


 腕の中で、空気が凍ったのを感じた。


「何を言っているんだ?」


「相手は僕を狙っているんですよね? なら僕が残れば――」


「却下だ」


 即答だった。


「私は伝えた。あなたを守ると。それが役目だ」


「でも……」


「向かうのはオルレアン家。腕利きの騎士が揃っている。そこまで耐えれば、もう大丈夫だ」


 オルレアン家。

 この国最強と名高い騎士団。


 でも――……。


「僕のせいで、皆を危険に――」


「安心してくれ」


「……え?」


「あなたは優しい。自分のせいで他人を危険に晒したくないんだろう?」


 図星だった。

 頷くしかない。


「だが、オルレアン家は弱くない」


 リヒトの瞳が強く光る。

 そこに迷いはない。


 信頼。


 仲間への絶対の信頼があった。


 ……なら。


 僕も信じたい。

 リヒトさんが信じる人たちを。


 その時。


「――来る!」


「っ!」


 後方に、小さな人影。

 確実に、こちらへ向かっている。


「あれが――ヴァロワ家の皇子、ケント・ヴァロワです!」

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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