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森の創造館の主は、今日も騎士を癒している  作者: 桜桃
第一章 癒しの時間をお届けします

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第10話 僕と約束

 驚いているサグラモールさんは、クニーを指差しながら口をパクパクさせている。


「ま、まさか……こいつ、モンスター?」


 ──ゲシッ!


「クニー!? なんで蹴ったの!?」


 いきなりクニーがサグラモールさんの顔を蹴った。

 慌ててクニーを抱き上げるが、鼻息が荒い。


「す、すいません! 本当にすいません! まさか蹴り飛ばすなんて……。普段はこんなことしないのに……」


 やばい。騎士様を怒らせてしまったかもしれない。


 もうここには来ないと、こんな暴力的な場所には来るものかと、思われてしまったかもしれない。


「クニーも謝って!」


『我は何も悪くない』


「蹴っ飛ばしたのは悪いことだよ!」


 僕たちの声が聞こえたのか、モナ様とリヒトさんがキッチンへやってきた。


「何があった?」


「どうしたのかしら?」


「え、えぇっと……。く、クニーが……その……サグラモールさんを……」


 サグラモールさんは直撃を受けたのか、まだしゃがみ込んで顔を押さえている。

 誤魔化すことはできないし、誤魔化してはいけない。


「すいません。クニーを紹介しようとしたら、なぜかサグラモールさんの顔を蹴ってしまって……。本当に申し訳ありません!」


 腰を折り、二人にも謝罪する。

 何か言われる覚悟をしていたが、返ってきた言葉は予想外だった。


「また、サグラモールが何かしたんだろう」


「まったく。サグラモール、私の騎士として情けないわ。何をしたのかは分からないけれど、謝りなさい」


 え、え?


 僕を怒るのではなく、逆にサグラモールさんに呆れている?


「あ、あの……」


「クリエントは気にしなくていい。おそらく、サグラモールが余計なことを言ったのだろう」


 余計なこと……?

 …………あっ、もしかして。


「クニー、もしかして、サグラモールさんがモンスターって言ったのが気に入らなかったの?」


 そう聞くと、クニーはさらに鼻息を荒くした。


 多分、当たりだ。


 喋るうさぎって、普通に考えれば変だもんね。

 モンスターと言われても仕方ない気がするけど……。


 苦笑いしていると、リヒトさんが肩を落とした。


「やっぱりか。今回はサグラモールが悪い」


「で、ですが、蹴ってしまったこちらにも非があるので……」


「先に怒らせるようなことを言ったのはあいつだ。クリエントは何も悪くない」


 まだ納得はできないけど、これ以上言うのも迷惑な気がする。

 サグラモールさんはようやく復活したようだが、モナ様に何か言われている。


 心の中で謝っておこう。


「まだ飲み物の準備はできていないみたいだな」


「あっ。す、すぐに準備します!」


「いや、、もうそろそろ時間が……。今日はここまでにしようと思う」


 え、そんな……。

 僕、何もおもてなしができなかった。

 せっかくリヒトさんが来てくれたのに……。


 それに、ご令嬢まで来てくれたのに、僕は何をしていたんだ。


 落ち込んでいると、リヒトさんが僕の頭を撫でた。


「また来る。その時に、飲ませてくれ」


「は、はい……。よろしくお願いします」


「こちらこそです」


 仕方ないよね。

 次に来てくれた時には、すぐおもてなしできるよう準備しておこう。


 そう決意していると、モナ様が隣に来た。


「今度、タイミングを見て私の城にいらっしゃい。もちろん、リヒトも一緒に」


「え、モナ様のお城ということは、クラウド家ですか!?」


 思わず大きな声を出してしまった。


 モナ様は落ち着いて頷く。


「私もですか?」


「リヒトがいた方が安心すると思うわ。でも、一度はサグラモールに話を通してちょうだい」


「わかりました」


 リヒトさんが礼をして了承する。

 そしてこちらを見て微笑んだ。


「クラウド家の書斎は以前見たが、本当にすごいぞ。クリエントもきっと興奮すると思う」


 そ、そんなに?


「それはすごく気になります!」


「また予定を合わせて行こう」


「はい!」


 本当に嬉しい。

 早く行きたい。


 でも焦ってはいけない。


 気持ちを落ち着かせるため深呼吸をした――その時。


 ふと、視線を感じた。


 どこから?


 周りを見ていると、リヒトさんが声をかけた。


「どうした?」


「――い、いえ」


 リヒトさんたちは気づいていない。

 ということは、気のせい?

 その可能性もある。


 でも……胸騒ぎがする。

 ここで引き下がってはいけない気がする。


「――リヒトさん。さっきの話なんですが」


「さっきの話? 書斎に行こうという話か?」


「はい」


 頷くと、リヒトさんは首をかしげた。


「どうしましたか?」


「あの……約束、してもいいですか?」


「約束?」


「はい。必ずクラウド家の書斎に一緒に来てくれるという約束です! だ、ダメでしょうか?」


 自分で言っていて思う。

 約束なんて、子供みたいだ。


 でも、今はこれしか思いつかない。


 リヒトさんを見上げると、数回瞬きをした後、クスッと笑った。


「よくわからんが……約束、いいな」


「っ! ありがとうございます!」


 断られてもおかしくなかったのに。


 安心していると、モナ様が近づいてきた。


「では、指切りげんまんをするのはどうでしょう」


「指切りげんまん?」


「知らないかしら?」


「いや、知ってはいるのですが……」


 僕は知っているけど、リヒトさんは分からないらしい。


 モナ様は自分の小指を絡めて見せた。


「このように小指と小指を絡めるの。そして“指切りげんまん”と歌う。最後に“指切った”と言いながら指を離す。約束の儀式よ」


「モナ様、その知識はどちらから?」


 サグラモールさんが近づき聞いた。


「本で読んだの。一度見てみたかったのよ。さあ、早く」


 真顔で急かされる。


 リヒトさんが小指を差し出した。


「これでいいのか?」


「――はい」


 僕も小指を立てる。

 そして、リヒトさんの小指に絡めた。


 ――ゆーびきーりげんまん。


 約束は、本当に果たされるのか。


 ――嘘ついたら。


 いや、きっと大丈夫。


 ――針千本のーます。


 この約束は、きっと果たされる。


 ――ゆびきった。


 なのに、なんで。


 胸騒ぎが消えてくれないんだろう。



ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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