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無自覚攻撃

「めっちゃ雨降ってんな〜」

とある日、黒崎はそんなことをぼさっと呟いた。

「あんたのことだからどうせ傘持ってきてないんじゃないかしら?」

それを聞いた霧島が黒崎にいたずらっぽく聞いた。

「ん、残念だが俺は常に折り畳み傘持ってるからその心配はない」

意外とマメである黒崎は、カバンに常に折り畳み傘を入れてあるため傘を忘れるなどという心配をする必要はなかった。

「意外ね、でも私もこの中に折り畳み傘が、、、、」

「傘が?」

「傘が、、、、、」

霧島はカバンを探したあと無言でカバンの中を見つめていた。

「もしかして、忘れた?」

「そ、そんな事ないわよ!玄関の傘立てにきっとあるわよ!」

「さすがに登校する時使ってもないのに傘立てには置かないんじゃないかなあ」

「そんな、、、」

霧島は膝から崩れ落ちた。

「しょうがないから帰り俺の傘入ってく?」

「そ、そんなこと出来るわけないでしょ!!」

「いたっ」

相合傘に誘われた霧島は恥ずかしさから黒崎の足を軽く蹴った。

「濡れて帰るよりかはいいと思うけどなあ」

「、、、、、」


「結局入るんじゃん素直じゃねえなあ」

ザーザーと雨が降る帰り道、2人は1つの傘に入って帰っていた。

「しょうがないでしょ!それしか手段がなかったんだから!」

霧島は結局黒崎の傘に入ることとなった。

「お前もうちょい寄らねえと肩濡れてんじゃねえの?」

「い、いいのよ、、!」

黒崎は頑なに寄ろうとしない霧島の肩を見た。

「やっぱ濡れてんじゃん、もっと寄れよ」

「ひゃっ、!」

黒崎を霧島の肩を掴んで黒崎の方へと寄せた。

「な、なにすんのよ!」

「いやこんなんで風邪引かれても困るんだよ」

「ち、近いわよ!!」

霧島は逃げるように走って傘の外へ飛び出した。折り畳み傘なので傘が小さく、入りきろうとするとかなり近づかなければならなかった。

「わ、わかったからとりあえず入れって!」

黒崎は慌てて霧島を傘の中に入れた。

「ったく、、びしょ濡れじゃねえか」

「ご、ごめんなさい、、」

「ほら、俺の上着貸してやるから」

「い、いいわよそこまでしなくても!」

「んじゃあ近づくしかないが?」

「わ、わかったわよ、、」

そうして黒崎が着ている上着を霧島に着せた。

(あったかい、、)

先程まで黒崎が着ていた上着を、霧島は覆い被さるように着て温もりを感じていた。

「お、おい、、」

「ん、なに?」

「い、いやなんでもない、、」

自分の上着を抱きしめるように着る霧島に黒崎は少し動揺していた。

(こいつ、、近づかれるのは無理なのになんでそれは大丈夫なんだよ、、)

おそらく温かさのせいで気づいていないのだろう。黒崎から見てみれば彼氏の服をウッキウキで着ている彼女にしか見えなかった。

(こんなとこ誰かに見られたらやべえぞ、、)

傍から見ればこんなのカップルにしか見えない。クラスメイトの誰かに見られたら絶対に噂になるだろう。

「そ、それ着たまま帰っていいから濡れてたら乾かすか洗濯して返してくれ、、」

「いいわよ別に帰る時に返すわよ」

「いや、、いいから持って帰ってくれ」

なんだかよく分からないが、女の子がこれだけ着たものをそのまま返してもらったらなんかダメな気がするので、ここは意地でも持って帰ってもらうことにした。

「よく分からないけど、そこまで言うならお言葉に甘えさせてもらうわね」

霧島は更に襟半分くらいまで顔を沈めた。

「これあったかいわね」

「お前、、自覚ねえのか、、?」

「?」

無自覚に服の中でモゴモゴ喋る霧島を前に、その場から退散したいほどいたたまれなくなった黒崎である。

「ま、まあ別にいいならいいんだ、、」

「?」

結局最後まで黒崎が何を言いたいのか分からなかった霧島であった。


家に着いた霧島は黒崎と別れ自分の家へと入った。

「結構濡れちゃったわね、、」

多少暴れ回ったため自業自得だが結構濡れてしまった。

「この上着も洗濯しないと、、」

上着も少しだが濡れてしまっていたのでこれも洗濯しなければならない。

「玲奈お姉ちゃん?それ誰の上着?」

「ただいま莉奈」

リビングに入ると妹の霧島莉奈がいた。

「これは、えっと、、友達のよ」

「めっちゃ男物じゃん!!もしかして彼氏!?」

「え!?い、いや違うわよ!?」

「ほんとに?そんなガチガチに着てるのに?」

「え、、?」

霧島は自分がどんな格好をしているか改めて見てみた。顔の鼻あたりまでチャックを閉めて少し大きめの袖は腕と手を埋めつくしていて、まるで包み込まれているようだった。

「、、、、、!?!?」

霧島は今ようやく自分がどんな状態かを把握した。

「ち、違うのよこれは!その、、暖かかったから!」

「あの堅物なお姉ちゃんにもとうとう彼氏かあ」

「ちょっと!ほんとに違うわよ!?」

「最近ウキウキで学校行ってるなあって思ったらそういうことだったのね」

「ウキウキ!?私そんな顔に出て、、いやだから違うわよ!?」

「いや男の人の服をそんな着方しといて彼氏じゃないは無理があると思うよ」

「だからほんとに違うのよ!!」

いくら言っても全然理解されて貰えない霧島玲奈であった。












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