ごめんな…
「生きてるよぉ、元気だし、今日丁度目覚めたんだ。君達は仲が良いねぇ、記憶を取り戻したのも今日だし」
さも面白そうにニヤニヤと見つめてくる神無月に嫌気が指しながらも…
「ヒナを無事に返して、ノアに会わせる取引の条件って、なんですか?」
冷静さを取り戻しながらも、質問をする。
「簡単な事だよ?君もノアと同じようになってくれるなら、取引成立さ」
「同じ…?」
「まぁ、要するに、実験対象だね!」
「あんたやっぱり、ノアを…!!!」
「取引不成立なら、ヒナちゃんをやっちゃうよ?」
「………!!!!!卑劣な…!あんた、人間じゃないのかよ!ヒナみたいな小さい子を実験対象にするとか、頭おかしいだろ!!!」
「結果的に見たら、幸せになれると思うよ?結果良ければ全てよしって言うじゃないかっ」
「……………」
「10分あげよう、それ以上は、わたしが待てない。」
(…どうする?…答えは1つしかない、そんなの分かってる、俺はどうなってもいい、だが…1人残されたヒナは、どうなる…?記憶が消えたって、ヒナが一人ぼっちになる事は避けられない…どうしたら、どうしたら解決する…!)
「……んー…あー…わたしは人間の感情を読み取るのは苦手なんだけどさ、レイ君、君が考えてる事はいつも1つだよね、この場合、残されたヒナちゃんが心配って事だよね?違う?」
「ヒナを、無事に帰して、そして記憶を奪うんだろ?俺はそれでもいい、だけど、ヒナが一人ぼっちになる運命は変わらない…」
「んーんー、そうだよねぇ、大丈夫!ヒナちゃんの事はちゃんとみまもってあげるから!ヒナちゃんの気持ちに寄り添うよぉ」
「そう、か…あんたの事は信用出来ないし、嫌いだけど、ヒナを無事に帰す約束だけは守ってくれそうだな…」
「うんうん、ちゃんと守ってあげるよぉ」
「分かった、取引成立だ。」
(ノア、ごめん、お前はちゃんと忠告してくれてたのにな…もし次生きて会えたら、またピーマン食ってやるよ)
(ヒナ、守ってあげられなくて、ごめんな、悪いお兄ちゃんで、ごめんな…)