001号
カチャカチャ…
金属同士がぶつかる音がする…
ツンとした薬品の匂い、その中に仄かに香る鉄の匂い…
僕は、これを知っている…
あぁ、僕は何をしていたんだっけ…
体が、動かない…
だるい、動きたくない…
まるで、身体中の血液が抜かれたかのような脱力感…
………眠い…
もう少し、寝ても良いだろうか…
カチャカチャ…
…あぁ…煩いな、静かに…してくれないかな…
僕はうっすらと瞼を上げる
明るい光が隙間から入ってくる
僕はずっしりと重さを感じる腕を上げ、目を押さえる
ふと、視界が暗くなる
誰かの影が顔の前まできていた
「おや、目覚めたのかい?」
その人物は疲れたような顔に年中寝不足かのようなクマを染みつけて、元々がその顔だったかのような気怠げな顔で、ニヤリと笑った
「せ…んせ…い…?」
先生のところに居るという事は、僕は風邪でも引いたのだろうか?
それにしても…
先生の背後に見える、手術台から見るような電気…
腕には、点滴もついている…
「術後だからな、まだ眠っていた方がいい」
先生は僕の身体を舐め回すように見ながら、恍惚の表情で目線を合わせた
「じゅつ…ご……?」
「さぁ、眠るがいい、わたしの愛子。君は001号だ」
そこで、僕の、意識は途切れた…