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第八十六話 どこを攻略するか~、夏休みのダンジョン攻略


 私立深淵学院ではゴールデンウィーク期間と同じ様に夏休み中に何処のダンジョンでどの位実績を上げたか報告する義務があるんだよね。


 その代わりに普通の宿題は一切出ないし、夏休みの期間は長いから割とお気楽にダンジョン攻略しても実績不足って事はまずない。大体、冒険者をしててひと月もダンジョンに潜らないなんてありえないからさ。


 俺達の問題としてはどのダンジョンを攻略するかって事なんだけど、近場にある実入りの良いダンジョンは割と攻略済みなんだよな。


 鉱山型ダンジョンも牧場型ダンジョンも攻略済みだし、今更高難易度ダンジョンの再攻略なんて面白味もない。再攻略でも特に実績に変わりは無いけど、面白味には欠けるよね。


 それと、今度から菅笠侍のダンジョン配信コーナーに聖女姿の玲奈(れいな)が加わる事になった。


 俺がパーティに誘ったってのも大きいんだけど、虎宮(とらみや)夫妻のバカップルぶりに耐えられなくなったってのが一番の理由らしい。


虎宮(とらみや)君ってさ、ほんとに無自覚に唯奈(ゆいな)ちゃんにべったりだから……」


小谷野(おやの)がいた時はどうだったの? 一応バランスは取れてたでしょ?」


「あ~、小谷野(おやの)君はいい寄って来るのが迷惑っていうか、距離の掴み方が下手でいきなりいろいろして来ようとしてたから……。とりあえずステータス差で押し返してたけどさ」


 小谷野(おやの)は二色で玲奈(れいな)は三色だ。


 元々おじさんに鍛えられてた玲奈(れいな)は初期ステータスも高いだろうし、小谷野(おやの)の奴じゃ話にならないだろうな。あいつは運も悪いし。


「やっぽり小谷野(おやの)は評判悪いよね。うちのクラスでもパーティを組みたいって人がいない位だし」


「そこまでなのか……」


「あ、逆に眩耀(げんよう)はすっごい人気だよ。本当の実力とかこんな武器を打てるって知られてないのにさ」


「一部の人は、(げん)ちゃんが菅笠侍の正体なんじゃないかって疑ってますけどね。出現場所とか時期とから考えて、おんなじくらいの実力を持つ人なんていないでしょ?」


 流石に同時期に俺に近い実力を持つ冒険者が二人も出たりしないよな。


 でも、俺の方の力は割と隠してこれたし、今更バレても魔族側が手出ししてこれないだろう? 配信を始めた時には割と完成形だったとはいえ、菅笠侍の配信はいろんな面で役にたってくれたよ。


 今は菅笠侍の真似をする冒険者が増えてて、菅笠が売り切れてる時があるってのがお笑いだよな。


 ただ、支援ヒールをする偽物は本当に少ないらしい。ダンジョン内で無駄に使う魔力なんて一ですら惜しいって陽花里(ひかり)さんが言ってたしね。


「パーフェクト・ヒールを披露したしね。回復魔法だったらその上に二つあるけどさ」


「パーフェクト・ヒール以上の回復魔法があるんですか?」


「どっちも使えるのは俺だけだと思うけどね。パーフェクト・ヒールでどうにもならない時用って感じかな? あまりない事態だけど」


 パーフェクト・ヒールも超強力な回復魔法だ。


 ただ、普通の冒険者が使うには消費魔力がデカすぎるのが難点なんだよな~。


「四肢欠損とかも治しちゃいますからね。奇跡の再生も凄いですけど、流石にパーフェクト・ヒールにはかないません」


「奇跡の再生も凄い回復魔法だけどね。そういえば、二人は金スキルって」


「まだ増やせてないですね」


「流石にまだ無理だよ。運良く手に入れても色が増えるかどうかはかなり分の悪い賭けだし」


 高純度の魔宝石で一割、錬金術で加工した増色の魔石で五割って言われてる位だしね。


 特に金と銀は成功率が悪いって評判だ。錬金術で加工した増色の魔石でも失敗する事があるからだろうけど、多分調べたら最低でも五割くらいの確率で成功してると思うよ。


「そこで二人にプレゼント。これだけど」


「……これをポンと差し出すから常識云々って毎回言われてるんだよ?」


「これ、高純度のイエローダイヤモンドだよね? いくら(げん)ちゃん相手でもそう簡単に受け取れないよ」


 そりゃそうだけどさ、それひとつ十億くらいするしね。


 ただ、以前鉱山型ダンジョンで手に入れた原石を加工したもので原価はタダだし、俺が錬金術で魔宝石化させてるから成功率は十割なんだよな。あの時の話し合いで桜輝(さくらぎ)さんが受け取らなかったから、俺が加工する事にした。


 あの原石がデカかったから、なんと半分に割ってふたつ作る事に成功したんだよね。高レベルな錬金術のおかげだよ。


「以前鉱山型ダンジョンで掘ったのがあっただろ?」


「もしかしてあれを加工したの? あれ? それだったらもう少し大きくない?」


「ギリギリ二個作れるサイズだったんだ。大き目の魔宝石の原石だと割と聞く話でしょ?」


「純度を保ったまま割るのは相当に魔力を必要とするって話ですよね? 眩耀(げんよう)だったら出来るんだろうけどさ」


 イエローダイヤモンドの原石の分割に要求される魔力は約一万。


 それを下回ると原石内の魔力が拡散して魔宝石としての価値はなくなるみたいなんだよね。


 というか、本気で魔力の要求数がおかしい。


 万の魔力なんて普通にレベリングしてたら絶対に辿り着かない数値だぞ。


「という訳で、この魔宝石の原価はタダだし、今後の事を考えて可能な限り信頼できる人の色数を増やしておきたいんだ」


「もしかして、生徒会長とかの色も増やそうとか考えてます?」


「金を増やす魔宝石は後五つあるからね。自力で増やせない時には力になろうと思ってるよ」


「ホント、眩耀(げんよう)の将来が心配。金銭感覚もそうだけど」


「あれだけ異常にドロップするからなのかな?」


 元々運が高かったけど、レアドロップ率は異常だからな。


 やっぱりあれか? ラッキーラビットの祝福があるからなのか?


 そういえばあの飴玉もかなり溜まってた気がするな。


「えっと、二人のレベルって聞いてもいい?」


「私は四十五」


「あ、偶然だね。私も四十五だよ」


「四十を超えると上がりにくくなるしな。二人ともまだ覚醒してないよね?」


「してないよ。三色だとどう頑張ってもレベルリセット前に覚醒するのは不可能だし」


「私は今四色だけどまだだね。やっぱりさ、運の要素が大きいよね」


 四色持ちでも最悪八なんて事があるからね。


 ステータスボーナスがサイコロの出目なんて本気でどうかしてる。 


 この世界の理を作り上げた神様にも相応の考えがあったの事なんだろうけどさ。


「ちょうどいいからこの飴もあげるよ」


「……絶対にただの飴じゃないよね? これは何?」


「鑑定結果は普通の飴だったね。……あまり味は無いけど効果は凄いよ」


「せっかくだから……。(げん)ちゃん、ラッキーダイスって何? って、レベル五個上がるまでダイスの目が六固定!!」


「なにこのチート飴!! こんな物が存在してもいいの?」


 流石は幸運の使者ラッキーラビット。


 毎日大量の野菜や果物を食べさせただけあるよ。


 牧場型ダンジョンのダンジョン野菜も食べさせてるけど、なんとなく普通の野菜や果物も好んでるっぽい。


 だから色々とバランスよく食糧庫に送り込んでるんだけど、その日の気分で色々と食べてるみたいだね。


 お礼のメールは賑やかだし、喜んでくれてるのは十分伝わってくる。あんなにお礼を送ってくれなくてもいいのに。


「こんな物をどこで手に入れたんですか?」


「ウサギのお礼」


「まさか、幻のラッキーラビットです? 本当に実在したんですね~」


 日本語でお礼まで送ってくるなかなか面白いウサギだけど、幻って言われるほどの存在なのか。


 ダンジョン探索一日目に偶然出会って、あれ以来の付き合いだけどさ。


 たまに特殊インベントリの機能で野菜とか食べる姿を見たら超癒されるけど。


 ああ、特殊インベントリ内に配信サービスがあるんだよね、なぜあのウサギが野菜をひたすら食べてる動画の……。


「金色が増えたらダイスの数は倍になるし、その飴の効果もデカいでしょ?」


「……これは借りておきます。絶対に返しますからね」


(げん)ちゃん。私も借りておくよ」


 絶対に成功する増色の魔宝石なんて知り合いにしか渡せないしな。


 おそらくだけど、虎宮(とらみや)の奴は簡単に受け取ってくれる気はする。


 あいつは力を持つって事の意味を正しく理解しているし、それを正しく使う事の出来る男だ。その為に目の前にあるチャンスは絶対に掴むし、感謝はするけど遠慮はしない感じだ。


 ひとこと多いのがホントに玉に瑕なんだよな。


「これでついに五色持ちだよ」


「え~!! 凄い!! わたしはこれでやっと四色なのに」


「あ~、緑を増やせる組み合わせかどうかは割と運だしね」


 とはいえ実際には勇者とか一部のクラスを割り当てられてる人は、あまり色数を増やせない組み合わせにされてる気がする。


 赤が邪魔なんだよ!! 圧倒的に不遇な色は赤で決まりだと思う。


 赤も必要で強力な魔法があるんだけど、赤があると確実に緑が増やせないからね。


「状況次第で六色も可能だけど、最初から四色持ちじゃないと駄目だしね」


「この辺りで四色持ちって、生徒会長?」


「そうか、姫華(ひめか)先輩は姫騎士だから四色持ちだよな。あれ? でも、この学院でステイタスカード発行時に四色持ちって過去に一人しかいないって……」


「事前登録組には結構いるって話ですね。一人だけってのは、カードを発行した生徒ですから」


 納得。


 名家で事前登録組の方がそりゃ四色持ちの可能性は高いよな。


 色数が増える様に子供のころから色々と修行してるんだろうし、逆にわずか一人でも普通の家から四色持ちが出た事が異常だ。


 俺は七色持ちだったけど、その事実は知られてないしな。


「あ、クラスが(かんなぎ)に変わった。ホントにクラスチェンジって起こるんだね」


「クラスチェンジおめでとう。聖女限定だっけ?」


「そう聞いてるね。(げん)ちゃんと同じパーティで活躍できるように、これから頑張るよ」


「うぅ~、旗色悪いけど負けないんだからね」


 記憶を封じられてなかったらここまでこじれなかったと思うけど、仮に玲奈(れいな)と付き合っていたとしても桜輝(さくらぎ)さんは関係なく今と変わらない行動に出てる気もする。


 ちょっとヤンデレ入ってるだけでいい人なんだけど、だらか他にいい人を見つけて欲しいんだよね。


 俺も冒険者としては桜輝(さくらぎ)さんって十分に信用できるからいろいろ渡してるし、パーティを組んでる訳だけどさ。


 桜輝(さくらぎ)さんは大怪我をした一件で他の奴らの本性見ちゃったから、俺以外の男性を信用してないってのが痛いんだよね。


 その前に組んでた二人が桜輝(さくらぎ)さんたちを置き去りにして逃げてるってのも原因だけど……。流石に仲間を囮にして自分たちだけ逃げるとか冒険者としてないわ。


「後は夏休み中に攻略する予定のダンジョンだけど、配信とは別に二ヶ所くらい考えてる」


「遠征になりそう?」


「一度俺が現地入りして、テレポートで行けるようにするから大丈夫。出来る限り日帰りで済むように考えてるよ」


眩耀(げんよう)がいるとそこも凄いよね」


「銀スキル持ちは珍しいから、テレポートを使える人自体が少ないよね。あると便利なスキルなんだけど」


 金と銀。増やせるんだったらどっちを選ぶかって事になると圧倒的に金なんだよね。


 銀もあるとすっごい助かるスキルが多いし、レベル十まで上げるとレベリングが楽になるんだけどさ……。


「行くとなるとバーベキュー大会後?」


「バーベキュー大会前に一回くらい潜りたいかなって思ってる。何かいいものが手に入るダンジョンがあればいいけど」


「北海道とか九州にあるダンジョン?」


「北海道の蜂蜜?」


「大当たり!! あと、九州のダンジョンは色々と特殊な金属をドロップするって噂だね。レアすぎてあまり表には出てこないけどさ」


 特殊な金属と言えば魔銀や神白金が知られてるけど、それ以外にも希少で精錬不可能な金属があるって噂も聞く。


 ただ、やっぱり神白金以上に魔力を要求されるらしくて、普通の鍛冶師だとナイフを打つ事すらできないって聞いたな。


「一応その二ヶ所を調べておくよ。近くにテレポートしやすい場所があればばいいんだけど」


「そこも問題なんだ」


「俺一人だと上空にテレポートしてそのまま空を飛べばいいけど、普通はそうはいかないからね」


 人通りが少なくて安全な場所ってのは意外に難しい。


 テレポート前にテレポート先に結界を展開するからホラー映画的な展開にはならないけどさ、それでも出来る限り面倒事が無い場所がいいしね。


 しかし、市場に出てこない特殊な金属か……。


 海外でも特殊な謎金属っていえばオリハルコンとか聞くし、日本でもそれ系の金属が出るの?


 あれ、ドワーフが現れた国に入手情報が多い気がするんだよね。


「それでは、その辺りの調整をお願いします」


「九州のダンジョンは使用料がかからないんでしたっけ?」


「そうなんだよね。レア金属が手に入る筈なのにね……」


 そこがまず怪しいんだよな。


 あのダンジョンはきな臭い噂も多いし、それも今回候補に入れた理由ではあるんだよね。


 玲奈(れいな)達は俺が命を懸けても守る。


 行方不明になってる舞莉愛(まりあ)さんの情報が手に入ればいいんだけど……。




読んでいただきましてありがとうございます。

楽しんでいただければ幸いです。

誤字などの報告も受け付けていますので、よろしくお願いします。

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