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最凶不遇と呼ばれる灰色カードのステータスカード持ち冒険者が真のヒーローに至るまで~  作者: 朝倉牧師
第一章 冒険者始めました!! ステータスカード発行編
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第七話 レッサーゴブリンとの初戦闘


 あの奇妙なウサギと別れて既に一時間。


 その間に割と広かった森を抜け、見通しのいい荒れ地に場所を移した。流石にここだったら魔物を見つけやすいだろう。


「って、視界の限り魔物の姿がねぇんだけどっ!! これだけ叫んでも魔物が寄ってもこねぇ!!」


 ※ダンジョン内のシャウトは魔物を呼びよせるため、通常はあまり歓迎されません。っていうか、ここ以外でやったら周りにいる冒険者にボコられても文句は言えない。


 故意にシャウトする迷惑系配信者もいるって話だけどさ。あれも一種のダンジョン犯罪だよな。


 ダンジョン犯罪ってのはダンジョン内で行われる様々な犯罪行為で、魔物を引き連れて他人に擦り付けるトレイン行為とかがとくに有名だ。


 あまり法整備が進んでないから割と野放しで、報復で相手を殺すなんて事も割と起こってたりする。


 このダンジョンだと引き連れて来るにも魔物自体がほぼいないけどさ。


 魔物の数が少ないって聞いていたけど、まさかここまでとは……。


 ダンジョンヨモギの束はすでに十ある。一束で百は纏めてるから、最低でも一万ダンカの収入はある筈だけどさ。


「経験値はいまだにゼロ。うちの寮に門限は無いけど、十時以降に戻ると風呂とかは入れないんだよな……」


 放課後すぐにここに来たからまだ夕方の五時前。帰る時間とかも考えたら風呂を入る為に残された時間は後二時間程度か。


 このダンジョンは地下三階まであるし、降りてみるって選択もある。他のダンジョンだったら間違いなく自殺行為だけど、このダンジョンの場合は地下三階にいるのもレッサーゴブリンだしね。


 もう一つのダンジョンだと二階で出るゴブリンを狩るのに、ボス部屋に行かないといけないからここが人気ないんだよね。効率が悪すぎる。


「でも、ここまでレッサーゴブリンがいないのはおかしい。まさかさっきのウサギが倒してるのか?」


 考えられるとしたらそれくらいかな。


 レッサーゴブリンも共食いするらしいし、仲間で殺し合ってる可能性はあるけどさ。


 ここまで手付かずの森とかがあるんだ、いちおうダンジョン内には魔物がある程度食えるだけの食糧も発生するって話だし……。


 こんな浅い階層だと食料の湧きが少ないから魔物の数が少ないって話は聞くよな。此処がそのパターンなのか?


「そういや、食い物も見かけないしな。森にもなかったし、この荒れ地にも当然見かけない」


 果実が生る木も見かけなかったし、あのウサギ以外のダンジョン動物も見なかった。


 この広い地下二階の何処かに、レッサーゴブリンが群がってる場所があるのか?


 そしてその周りに食糧が群生してる……。可能性はあるか。


「普通どんなダンジョンでもここまで安全な場所は多くないんだけどさ」


 飯を食ったり休憩をするにも神経を使うとか言われてるからな。


 このダンジョン、見張りが居たら昼寝が出来そうだよ……。


「ン……。あれ、レッサーゴブリンか!!」


 第一レッサーゴブリン発見!!


 ていうか、あのレッサーゴブリン、手に棒切れすら持って無いんだけど。


 ああ、ここには敵がほとんどいないから、あのレッサーゴブリンも気が抜けてんのか?


「しまった!! こっちに気が付いた。……ん? 俺と目が合ったレッサーゴブリンが右手で目を擦って……。首をかしげて、慌ててそのあたりで棒を探し始めた!!」


 お~い!! そこまでしないといけない位ここって誰も来ないのか?


 おそっ!! 弱いと聞いてたけど、全力で走ってくるレッサーゴブリンが遅すぎる。


「確か石を投げたら死ぬとか言われてたよな? 試しに石ぶつけてみるか?」


 ちょうどいい感じの石が足元にあるしな。


 狙いを定めて……。


「うりゃ!!」


 お、当たったよ!! あ、その場で倒れて、溶けるように消えた!!


「よわっ!! え~、魔物との戦闘って、もっとこうこの剣で斬りあってみたいな感じじゃないの?」


 ステータスカードを確認したら、次のレベルまで百九十九になってる。アレでも倒したら経験値ははいるのか……。


 レッサーゴブリンを倒した場所には小さな魔石が残された。そういえばここのドロップって、これだけだって言ってたな。


「もしかして、経験値二百って割と楽勝? 問題はエンカウント率だけ?」


 こんな経験値効率だとレベルが上がるまでに数ヶ月かかりそうだ。


 真面目に冒険者考える奴は、確かにここには来ないわな。


「三階に行って、同じ感じだったらもう一つのダンジョンに行くか?」


 向こうは人で溢れてるだろうし、ソロで活動するのは厳しそうだけどさ。


 このダンジョンにいるのは基本的にレッサーゴブリンだけで、三階のボス部屋にいるのがゴブリンだったか?


 魔物の危険度は二階と変わらない。問題は数だけだ。


 あっちの森に一階へのポーターがあったから、位置的に考えて三階は向こうかな?


 大体反対側にあるんだよな。


 いい運動にはなるけど、面倒な事この上無い。


◇◇◇


 三階に続くポーターの周辺の存在する小さな森。


 今までみかけないと思っていたら、流石にここにはレッサーゴブリンが溢れていた。それはもう、これでもかってくらいに集まっている。


 っていうか、この階にいるレッサーゴブリンってこの周りに集まってるのか?


 高レベルな冒険者だったら喜びそうな状況だけど、流石にレベル一の俺にこの数はキツイ。


「十五匹程度の群れが最低でも四つ。戦闘を仕掛けてなくてよかったぜ」


 どこかで戦闘を始めたら、他の群れも寄って来るだろうしな。


 各個撃破したいところだけど、この周辺で戦闘するのは無理っぽいな。


 四人パーティだったら対応できる数だけど、流石にソロでこの数は無理ゲーだ。


 レベルが上がれば魔法で何とでもなるけど、レベル一の時はみんな弱いんだよな。


「向こうにも小さな森があるし、向こうを探してみるか」


 ここに居る群れは後で倒す。


 レッサーゴブリン相手だったら、多分レベル二になれば勝てるだろ。



読んでいただきましてありがとうございます。

楽しんでいただければ幸いです。

誤字などの報告も受け付けていますので、よろしくお願いします。

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