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第五十三話 配信用に少し離れた鉱山ダンジョンに行ってみない?


 今日は五月一日の月曜日。


 隣の県にある割と有名な鉱山型ダンジョンに俺と桜輝(さくらぎ)さんが挑戦している。


 この鉱山型ダンジョンは通路の幅が大体平均的に五メートルで天井までの高さは四メートルくらいだろうか? 狭くも無いけど広くもない何処にでもある典型的な鉱山型ダンジョンだ。


 天井には光源であるヒカリゴケがびっしりと生え、所々に設置型の魔石灯まで用意されている。


 なんでもこの魔石灯はダンジョンから生えて来るらしくて、持って行く冒険者が居てもある程度時間が経てば再生するそうだ。持って行った魔石灯はすぐに使えなくなるそうだけどね。


 この鉱山型ダンジョンはダンジョン使用料を徴収されるダンジョンの一つで、ダンジョン利用料は一人当たり十万円となっている。


 桜輝(さくらぎ)さんは持ち合わせが無かったので今回は俺が立て替えておいた。


 こんな額くらい、ダンジョン内で小さめの魔宝石でも見つかればすぐに取り返せる額だしね。


 日本中にあるダンジョンにはここみたいにダンジョン使用料を取るダンジョンがいくつか存在する。


 国が税金を払わない冒険者冒険者対策として確実に儲かりそうなダンジョンに使用料を設定してるってのが一番の原因だけど、こうしてダンジョン使用料を払わせる事でダンジョン内の治安を維持できている面も否定はできない。


 事実、こうしてダンジョン使用料を取るダンジョンではダンジョン犯罪は起こりにくいし、ダンジョンを利用する冒険者の質もかなりいいと評判だ。


 すべてのダンジョンでこんな感じで使用料を取られると回復薬や装備で金を使う冒険者がやってられなくなるので、ダンジョン使用料が設定されているダンジョンはかなり吟味されて選ばれてるって話だね。


 これだけ払って何一つ宝石類を手に入れられず帰る冒険者もいるらしいけど、その辺りは運なんで仕方が無いよね。


「はい。という訳で今回は割と有名な鉱山型ダンジョンで~す。ダンジョン使用料が十万円もする場所ですが、名前くらいは聞いた事がある人は多いと思いますね」


「このダンジョンも蟲型の魔物が多くて女性は嫌うそうですが、それでもここに来るまで何人もすれ違うくらいには人の多いダンジョンです。鉱山型ダンジョンに出る敵の多くが虫型。そしてゴーレムタイプって言われていま~す」


「みんなの目当ては地下十三階より下にある魔宝石採掘場ですね~。あの場所には夢とロマンが詰まっていますので」


「確率は宝くじとか言われていますが、ここは魔宝石の原石が採れる鉱山型ダンジョンの一つですからね~。みんな幸運のつるはしくらいは持ってきているでしょう。普通のツルハシよりはかなりマシですし」


 幸運のつるはし。


 鍛冶スキルで作る時に魔石を使って運の数値に補正が入るように細工をしたつるはしの事。効果は眉唾程度だけど、無いよりは確実にマシ。


 実力のある冒険者は地下十三階より下にある魔宝石採掘場で採掘を頑張るんだけど、そこまで実力の無い冒険者は浅い階層で採掘をしている事も多いんだよね。その場合にはマジでないと馬鹿にならない差が出る。


 魔物を倒してレアドロップの魔宝石を狙うより、こういった鉱山型ダンジョンで直接採掘した方が確率ははるかにいいと言われてるだよね。そりゃ、掘ればでる場所で探すんだから話は早いだろうさ。


 俺みたいに毎回の様に魔宝石をドロップするのは本当に異常な事らしい。運が悪いと引退までひとつも魔宝石をドロップしなかったって話まで聞くしね。ドロップが悪いんだったら運のステ上げればいいのにね。


「鉱山型ダンジョンは基本的に狭いダンジョンなので、高威力の攻撃は当然禁止!! 火炎系の魔法はもちろん、水系の魔法も使用は控えるのが常識らしいです」


「出て来る魔物はそこまで強くありませんが、地下十三階あたりまで行けばロックゴーレムやアーマードセンチピード辺りがでてきますし、この魔物は意外に強敵ですね~」


 そう言いながら桜輝(さくらぎ)さんは小太刀を軽く振って見せた。


 このダンジョンでも当然魔物は逃げていくし、毎度のことながらほとんど戦闘なんてないんだけどね。



 ――――猫巫女さんかわいい



 ――――そう言いながら毎回ほぼ戦闘が無い件について



 ――――魔物との遭遇率がすっごく少ないんだよな。ライブで見てるのに編集を疑うレベルで



 ――――戦闘は菅笠侍が一瞬で終わらせるし、猫巫女さんの出番ってほぼ無いよね。かわいいからいいけど



 ――――むしろ菅笠侍がいらない



 毎度のことながら俺が映ると桜輝(さくらぎ)さんに変えろってコメントで埋め尽くされるな。桜輝(さくらぎ)さんはかなりスタイルもいいし……。


 そりゃ、俺が映ってもいい事なんてほぼ無いし、スタイルが良くて動きが可愛い桜輝(さくらぎ)さんの方が人気なのは理解してるさ。


 俺でもそうコメントするだろうし。


「とりあえずこの辺りを掘ってみたいと思います」


「え? まだ五階ですよ?」


「地下十三階まで行かないと何も出ないって事は無いんですよ。……ほら、こんなに大きなサファイヤの原石が……」


 なんとなく出そうな気がしたので掘ってみると、拳大のサファイヤの原石が転がり落ちて来た。


 純度はそこそこだけど、ちゃんと加工したらそこそこいい値になるだろう。




 ――――おかしい!! 仕込みじゃないの?



 ――――仕込んであったら流石に壁で分かる。え? なんでわかるの?



 ――――魔宝石探知機か!! 一パーティに一人欲しい!!



「コメントが凄い事になっていますね~。流石菅笠侍さん♪」


「なんとなく出そうな気がしたんですよね。盗賊系スキル持ちの人が罠を見つけたりするのと似た感覚でしょうか?」



 ――――なんとなく理解した。



 ――――確かにそれはあるかも



 なんとなく共感してくれる人はいるっぽい。


 遺跡ダンジョンで自然発生する落とし穴とか偽宝箱と同じ様な気配を感じるんだよね。


 効果がプラスかマイナスかだけで、こういった採掘品や罠の内包する魔素はそこまで変わらないって事なのかな?


「いまダンジョン情報に革命的な情報が流れましたよ」


「高レベルな盗賊スキル持ちが重宝されるかもね。罠の探知は重要だけど」


「遺跡型ダンジョンの部屋に仕掛けられた釣り天井とか焦るそうですしね。天井の高さなんて普通気にしませんし」


「腕のいい盗賊職は気が付くそうですよ。多分そういった人はこれも気が付いてたんじゃないかな?」


 むしろ新人盗賊職の為の支援といっても過言じゃない。


 この感覚が研ぎ澄まされると違和感に気が付きやすいんで、トレイン型のダンジョン犯罪には気が付きやすくなる。


 魔物の湧きが自然な物か、それとも人為的な物なのかを直感で理解できるからなんだけど……。


「いい物も取れましたし先に進みますか。もっといい魔宝石の原石が出るといいんですが」


「極稀にダイヤも出ますからね」


「一獲千金は冒険者の夢。ある程度以上大きいダイヤの原石が出れば引退する冒険者も珍しくないって……」


 宝石なんかの高額商品は売却時に税金で一割持っていかれるとはいえ、売値事態が馬鹿高いのでかなりの額が懐に入る。


 色を増やす魔石に変えるのに使う人間もいるけど、そもそも錬金術のスキルを持ってる人間がほとんどいないって話だしな……。


 ステータスの覚醒が最低条件で、あそこまでポイントを貯めるのはかなり運が高くないと難しい。


 初期ステータスがオール十の人が覚醒に必要なステータスボーナスポイントは二千七百四十八。運のステータスボーナスが無いと、四色持ちで六を出し続けても辿り着けない領域なんだよな……。


 最低でも一度レベルリセットをするしかない。





読んでいただきましてありがとうございます。

楽しんでいただければ幸いです。

誤字などの報告も受け付けていますので、よろしくお願いします。

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