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第四十九話 初心者ダンジョンの死の気配


 初心者用ダンジョンの地下二階。


 ここに俺達が下りた瞬間、この階では魔物による鬼ごっこが開催されてしまった。


 参加している魔物はこの階に存在するすべての魔物。鬼は俺で魔物は一匹残らず俺から全力で遠ざかっていく。


 ああ、死んだフリが出来る昆虫系の魔物や動物系の魔物の一部はセミファイナル状態で地面に寝転んでるけどね。


「やっぱりこうなるんですね」


「俺は見慣れた光景だから何も感じないけど、初めて見たら流石に異様かな?」


「凄いね……。魔物ってあんなに早く逃げるんだ」


「近くどころか、ある程度距離があっても昆虫系は死んだフリだぞ。向こうの木の下なんてすごい事になってる」


 一番多い木の下は足の踏み場もなさそうだ。巣とかあるとああなっちゃうよね。うん。


 他の冒険者に言わせたらボーナスタイムなんだろうけど。


 全力で逃げる魔物に踏み殺される昆虫系の魔物もいるし……。


「地下六階までは確実にこの状況ですね。無視して転移用ポーターに急ぎましょう」


「そうだね~。……いつもこうなの?」


「大体どのダンジョンでもこうですね。高難易度ダンジョンでも同じです」


 俺に言わせれば魔物の強さなんて既に誤差の範囲でしかない。


 オールステータスがカンストした時点ですべての魔物は平等に雑魚化したし、レベルもカンストした今となっては魔物と無駄に戦闘する意味も無いしね。


 ダンジョン攻略のために最低限戦わないといけない魔物とは戦うけど、それ以外の魔物と戦う気はすでにないぞ。


 無駄な虐殺はよくない。


「確かにこの状況だと下の階に下りるのは早いな」


「ダンジョン内を散歩してるのと変わりませんからね」


「戦わないといけないのは階層ボス系とか、最下層のボスくらいかな?」


「それくらいですね。後はダンジョン犯罪者位ですか」


 階層ボスはいる部屋に入らないと戦闘が始まらないし、向こうから仕掛けて来るのはホントにダンジョン犯罪者位だ。


 ただ、いろんなダンジョン犯罪者がいるけどトレインの野郎だけは俺に仕掛けて来る事はできない。なんといっても引き連れた魔物がその状態からでも逃げ出すからね。


 あいつにとっちゃ俺が天敵その物だろう。


「それじゃあまず六階の魔素溜(まそだまり)から処理しますか」


「そうだね~。この状況だと確かにすぐにつきそうだよ」


「もしかしてずっとこんな感じなのか?」


「今となっては逃げない魔物は超レアですね。普通に戦えるのは部屋に出て来るエンカウント型の魔物位です」


 あいつらでも下手をすると壁際に逃げるからね。


 それに俺が刀で一閃するか魔法で一撃な魔物との戦闘を戦いって呼ぶのもなんだかな~。


 多分俺が今までしたまともな戦いと言えば、レベル一の時のレッサーゴブリン戦だろうね。


 唯一俺がダメージ受けた戦いでもあるし……。


◇◇◇


 という訳でほとんど戦闘も無く辿り着いた地下六階。


 ほとんどってのは一応この上の階で地下六階に転送できる魔石対応型のポーターを守ってる魔物を倒したからだ。


 これで次からは最低でも地下五階まで一気に来れる。


「俺が居なかったらこれを使えた訳で、すぐにここに来れたんだろうけど……」


「最下層まで行く事を考えると、眩耀(げんよう)君と一緒の方が絶対に早いよ」


「そうだな。流石に眩耀(げんよう)が居なければこんなに早くここまで辿り着けない」


「魔物との戦闘がほとんどないって異常ですよね……」


 おかしい。


 いつの間にか蛍川(ほたるがわ)先輩達まで俺の事を名前呼びに変わってる。


 それに初心者用とはいえダンジョンの中層まで来ているのに、この気の緩み方は危険じゃないのか?


 遠距離からでも攻撃をして来る魔物すらいないけど……。


「こんなに楽で安全なダンジョンの攻略なんて初めてだよ~」


眩耀(げんよう)とダンジョンに潜るといつもこうですよ。視界に魔物がいる事すらほとんどないです」


「地下六階ですらこの有様だからな」


 初心者用ダンジョンだとこの辺りの魔物でも全力で逃げる。


 おかげですぐに問題の魔素溜(まそだまり)まで辿り着く事が出来た。


 さて、これをどうするかなんだけど。


「もう少し魔素を足して魔物を発生させた方が安全ですね。この魔素を散らした場合、また何処かで魔素溜(まそだまり)が出来る訳ですから」


「普通は散らすのが一般的な対象方なんだけどね~。このレベルの魔素溜(まそだまり)だと、かなり高レベルな魔物が出てきちゃうから」


「それだと精々問題を数ヶ月先送りにするだけですよ。倒してしまえば数年規模で安全ですし」


「退治出来ればな。今回は発生させた方が早いんだろうが」


 発生させても多分すぐに倒せるしね。


 どんな魔物が出て来るか分からないけど、これくらいの濃度の魔素溜(まそだまり)からはおそらく竜種までは出てこない。


 魔獣種くらいは出るかもしれないけど。


「それじゃあ魔石を投げ込むよ。準備は良いかな?」


「問題無い」


「準備万端です」


「……多分これが正解なんだろうけどさ」


 俺が魔素溜(まそだまり)の前に立ち、他のメンバーが遠くから魔素を増やす為に小さい魔石を投げ込んでいる。


 このまま何もしないで待っていても魔物が出現すると思うけど、こうして小さい魔石を投げ込んだ方が手っ取り早いんだよね。


 少し離れた場所から投げ込んでいるのは俺が攻撃をした時に巻き込まない配慮なんだけど、偶に割れなかった魔石は俺が足で踏んで砕いたりしていた。


 あ……、そろそろ出て来るな。


「来るぞ!! 物凄い殺気だ!!」


「この気配。初心者ダンジョンで出て来る魔物の発していい物じゃないよ。いったいどんな魔物が!!」


「出ます!! 確かあの魔物は、魔獣オルトロス!!」


「推定レベル百超えの魔獣じゃない……。なるほど、あんなのが出て来るからあれだけ濃い死の予感がしたのね」


 真っ黒い毛に覆われた双頭の犬、魔獣オルトロス。


 尻尾がヘビで、噛まれたりするとその毒が厄介らしい。


 状態異常というか毒は毒消しで治るんだけど、このレベルの毒は猛毒状態でもう一段階上の薬じゃないと治らないんだよね。


 毒消しの魔法が無くても、パーフェクト・ヒール使えば生命力込みで完全に治癒する事も可能だ。


「とりあえず倒しておきましたけど、別に問題ないですよね?」


「あのレベルの魔物をまるでゴブリンの様に斬り殺してる件について……」


「せめて見せ場くらいは作ってあげたかったかな?」


眩耀(げんよう)相手ですと仕方がないですよ。あ、レベルが上がりました!!」


 そりゃこのレベルの魔物を倒せば経験値もすさまじいし、レベルくらい上がるだろう。


 パーティメンバーでもステ振りとかは聞かないし、ステータスカードは見せないのが礼儀だ。


「とりあえず八階の魔素溜(まそだまり)も処理しよう。このレベルの魔物が出て来たら流石にマズイ」


「そうだね。私たちだけだったら相当苦戦してたかも」


「生徒会長のパーティだったら勝てるんですか?」


「ギリギリだな。私が全力でオルトロスを封殺して、姫華(ひめか)が攻撃し続ければ何とか。バフと回復も計算にいれているが……」


「八階の魔物次第だね。最悪日を跨いで攻略する形になりそう」


 レベルアップするから生命力とかは回復する。


 だけど使った回復薬とかは取りに戻らないといけないし、万全な体制で挑むんだったら十分な休息をとった後で戦う方がいい。


 ホントは強敵だしね。


「どんなステータスをしてたらあんな戦いになるんだ?」


「想像にお任せします」


「絶対人間離れしてるよね~。今更だけど」


「考えたら負けですよ」


 あのオルトロス。俺からどう逃げるかしか考えてなかったみたいだしな。


 魔物から俺がどう見れてるのか知らないけど、おそらく魔力とか生命力なんかをオーラか何かで感じるんだろうね。


 だから低レベル時の雑魚い人間の場合は舐めて襲って来る。


「このままサクッと八階まで行きますよ」


「了解。私たちの出番はなさそうだね」


「あったらすごいけど」


「……別に譲ってもいいんですけど」


 余計な時間をかけるより俺がサクッと倒した方が話が早いしな。


 最下層で何があるのかは知らないけど、間に合わなかったら嫌でしょ?




読んでいただきましてありがとうございます。

楽しんでいただければ幸いです。

誤字などの報告も受け付けていますので、よろしくお願いします。

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