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第四十八話 いつから潜るか、初心者用ダンジョン


 色々あったけど一応武器に関してはすんごく感謝して貰えた。


 攻撃力とか防御力に一万も補正値が入る武器や防具なんて俺以外に打てないからね。


「こんな武器を手にする日が来るなんて……。流石にレイド級は苦戦するだろうけど、ギガントミノタウルスクラスだったらひと薙ぎだよ」


「私の魔道展開式ショートランスや盾も素晴らしい。重騎士としてこれ以上にない装備だ」


「私の魔法に補正が入る杖もね。でも、こんな物をポンポンと誰かにあげちゃダメなんだから」


 流石に俺が武器を打つのはよっぽど信頼できる奴かパーティ仲間だけさ。


 こんな強力な武器が市場にあふれるとよからぬことに使う輩もいるだろうし、やっぱり武器類は信頼できる人にしか渡したくない。


 性格面で言いたい事はいろいろあるけど、桜輝(さくらぎ)さんたちは十分に信用できるからね。


 虎宮(とらみや)の奴が五色まで上がったらお祝いに武器を打ってやってもいと思ってるぞ。あいつは信用できるからな。


「それは十分わかってるって。生徒会で組んでるパーティ用に最初に渡したネックレスだけ渡しておくね」


「信用されてるからってわかるけど、これもかなり危険なアイテムだからね」


「即死無効が大きすぎる。死霊系の魔物対策で最も気を使う部分だからな」


 それ以外に目的は無いからね。


 炎無効は以前トカゲ退治の時にメキドつかってたし、あると多分重宝するからだけどさ。無効系の魔法も割と魔力を使うし。


 俺が居なかったら流石に魔力も無限じゃないだろうから。


「それじゃあ、この後はいつ初心者用ダンジョンを攻略するかって事だよね?」


「ん~、それなんだけどね。今日この後このまま攻略しない?」


「え? 攻略目的でダンジョンに潜るには時間が少し遅くないですか?」


 普通は朝五時集合とからしい。


 運動部の朝練かって時間だよな~。あまり朝早いと寝不足でコンディション落ちそうだけどさ。


 とはいえ、普通に攻略するんだったらその位の時間から潜らないと、最低でも途中ダンジョン内でキャンプをする羽目になる。


 下層行きの転移ポーターが使えりゃ別だけどね。


姫華(ひめか) がそんな事を言い出すのは珍しいな。……例のアレか?」


「そうなの。なんていうかさ~、今日潜らないと後悔しそうっていうか。何か大切なものが指をすり抜けて零れ落ちちゃいそうな、そんな気がするの」


「なんとなく言ってる事は分かりますよ。俺もそれが何なのか分かる気がしますし」


「ホント~? 生徒会長に合わせてるだけじゃないの?」


「分かるさ。多分このダンジョンで不幸が起こる。それに濃い魔素の気配も感じるし……。ダンジョンで誰かが命を落とす事は珍しくないけど、ここはうちの学校が管理してるダンジョンだからね」


 死の気配。


 いや、現時点ではまだ死の予感としか感じられないこの感覚。


 今日このダンジョンでかなり濃い死の匂いを漂わせている場所。それは全部で三ヶ所ある。


 一番濃いのは最下層だけど、後は六階と八階かな?


「六階と八階の気配は多分魔素溜(まそだまり)だと思う。最下層はなんだかそれとは別物だけどさ」


「っ!! 本当にあなたも感じてたんだ~」


「凄いな。姫華(ひめか)の気を引こうとして調子を合わせて嘘をついている奴らばかりだったが、本当に感じている冒険者がいるなんてな」


 まあ、姫華(ひめか)さんが何も言い出さなかったら、俺が後で潜ろうと思ってたくらいだしね。もちろん一人で。


 多分クラス姫騎士のスキルというか能力なんだろうけど、俺のクラスであるヒーローも同じ力があるみたいなのさ。


 このダンジョンに入らない限り感じないけど、これだけ濃いとね……。


 先日の高難易度ダンジョンでもおんなじ気配を感じてたし、あのまま放置してたら姫華(ひめか)さんたちはあの日あそこで確実に死んでたんだろう。


「虫の知らせじゃないけど、割とよくある感覚だね。全員の死を止められる訳じゃないけどさ」


「そうね……。貴方は今日死ぬから潜るのを辞めなさいなんて冒険者に言ったら、逆上して攻撃してきてもおかしくは無いわ」


「私が言われた場合、確実に相手が喧嘩を売ってきてると思うだろうしな。冒険者をしている以上いつも死と隣り合わせとはいえ、そんな事を他人に心配される謂れはないからな」


 高レベルの冒険者程プライドが高いからね。


 もし今日ここで死ぬと分かっていても、それを指摘されるのは苦痛以外の何物でもない。


 実力不足ですよって言われてるのと同義だしね。


「それじゃあ、魔素溜(まそだまり)は潰すとして問題は最下層ですね」


「急いでそこまでいかないとね。間に合えばいいんだけど」


「厳しい感じはしますね。どのくらいかかるか次第ですし」


「……降りるだけだったら直ぐな気がするな~」


 桜輝(さくらぎ)さんは何度か一緒にダンジョンに潜ってるから俺と一緒だとダンジョン内がどうなるのか知っている。


 だからその点に関しては何の心配もしてないみたいだね。


「たぶんそうだろうけど、間に合うかどうかは運だと思うよ」


「どういうこと?」


眩耀(げんよう)と一緒にダンジョンに潜ったらわかりますよ」


「そうだろうね。とりあえずそれぞれダンジョン用の装備に着替えてこの部屋に集合って事で」


「わかったわ。すぐに準備するから」


 装備に一番時間が掛かるのは重騎士の蛍川(ほたるがわ)先輩だろうね。


 一番早いのは俺だろうけど。


 だって配信用って事で菅笠侍に変装する訳じゃないから、この格好とほとんど変わらないからね。


 変わるっていえば、ダンジョン用の靴に履き替える位だし。





読んでいただきましてありがとうございます。

楽しんでいただければ幸いです。

誤字などの報告も受け付けていますので、よろしくお願いします。

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