第四話 無駄とは思いながらも、ボッチでソロなパーティメンバー勧誘
放課後。誰も声をかけてこない状況を覚悟してはいたけど、今教室で繰り広げられているパーティを組む話し合いに俺の居場所はなかった。
当然だとは思うけど、幼馴染の舞秦玲奈まで俺をパーティに誘ってこなかったのは少しびっくりだ。
玲奈とは三年前から割と疎遠になってたし、仕方が無いのかもしれないけど……。
クラス内でのパーティ編成はほぼ終わり、予想通りに俺はボッチでソロが確定しましたとさ。
元々三十人のクラスを四人パーティで分けると二人余るんだけど、四クラスで計算するとちょうどよくなる計算らしい。
俺は他のクラスのあぶれと組めって?
「流石に灰色は他のクラスでも無理だろ」
「授業でダンジョンに潜る時もあるらしいけど、その時は臨時パーティでも組んで貰えよ」
「普通に潜る分には上級生とかとパーティ組んでる奴もいるしな」
俺は幼馴染の玲奈に視線を向けたけど、玲奈は他の三色持ち二人と既にパーティを組んでいるようだ。というか、三色って事で無理やり組まされてる気はする。
パーティのリーダーは虎宮で、小谷野は二色持ちの紫なのにパーティメンバーに入れて貰ったみたいだな。というか、小谷野の奴が強引に潜り込んでるっぽいきがする。
レベル一時点の能力値なんてアスリートのトップレベルとか学力最高的な人間でなけりゃそこまで差は無いし、後は装備なんかの問題だ。
だから俺でも十分に戦える筈なんだけどね。
「おう、神崎~。お前どうせしばらくダンジョンにはいけねえだろ? とりあえず持ってるダンカを全部貸せや」
「牛頭か。わりぃが俺もまだ冒険者諦めてねぇんだ。流石に手ぶらじゃダンジョンに挑めないんでな」
「灰色くんがダンジョンに入っても無駄だろ~。ダンカは俺達が有効活用してやんよ」
牛頭とつるんでる能智と稲井の三人組か。
この三馬鹿は前からよく絡んできてたが、灰色だってわかって昼飯の時からこっちを狙ってやがったな。
貸す訳ねえだろ!! どうせこいつら返すつもりもないだろうし。
「そこの三単。仲よく赤単三人組のくせに灰色に絡むなよ」
「三単ってなんだよ!! 変なあだ名付けんじゃねぇよ!!」
俺がどうしたものと考えていたら助け船を出してくれたのは虎宮だった。
そういやコイツは正義感も強かったか。
ホント、余計な一言を口にしなけりゃいい奴なんだけどな。
「わかりやすくていいだろ? 灰色は最低と言われてるが黒白の二色持ちだぞ。基本的に単色持ちのお前らより格上なんだよ」
「俺たちは今日の放課後にダンジョンに潜るから、一日だけ格上なだけだろ!! あれだけ必要経験値に差がありゃ、すぐに差がつくぜ」
「明日、レベルをあげた俺達が現実ってやつを教えてやる」
「てめぇもだ虎宮。三色持ちだからって威張りやがって」
運が良けりゃレベル二の二色持ちよりレベル二の単色持ちの方が強い場合もある。
ステータスポイントはダイス色数に対して一つ分。つまり一色と二色だと毎回レベルアップ時にサイコロ一つ分の差があるんだけど、毎回六を出す異常な単色がいれば、それ以下の数値を出し続ける二色持ちもいるって事だ。
「流石にダイスの数が四倍違うとその差は歴然だ。俺がレベル四になる頃には、覆せないほどの差が出てるぞ」
「レベル一時点のステも虎宮の方が上っぽいしな。お前ら絶対に知力と賢力が虎宮の半分以下だろう?」
「「「ふっざけんな!!」」」
牛頭達三人が顔を真っ赤にして怒っているが、低いのは間違いないだろう。
こいつら揃ってアホだしな。
……そうだ。
「なあ、俺の魔力は三十四だが、お前ら幾つだよ?」
「あぁん? ……十五だな」
「俺は十二だ」
「俺も十二だな。なんだよ、魔力くらいレベルが上がりゃすぐに追い抜いてやんよ」
おいおい、知力、賢力、運の合計が十二とかなんの冗談だよ。
あいつら運も悪かったのか? それとも、その数値の半分が運とか言わないよな? 知力と賢力を足して六って中学生並の知能なんじゃね?
それに賢力は手先の器用さにも関係するんだぞ。こいつらアホな上にぶきっちょなのか?
「それ、俺は馬鹿ですって言ってるようなものだぞ」
「魔力に影響するのは知力。っていうか、なんで十二しかないの?」
「俺は知力だけで十二ある。まあ、そういう事だな」
牛頭の場合、最高でも十五。能智と稲井に至っては最高でも十二。
最低でも運や賢力が一はあるだろうから実際には最高でも十。……実際には四程度かな?
というか、虎宮の奴は前から頭がいいとは知ってたが、知力が十二もあったのか。
「嵌めやがったな!!」
「ぷぷっ、流石知力五」
「何で知ってるんだよ!!」
「うわっ、当たったよ。よく入学できたな」
当てたのは瀬賀だけど、こいつは昔から妙に勘がいい。まさかドンピシャで当てるとは思わなかったけど。
普通の公立高校に比べてだけど、私立深淵学院は入試が割と簡単だ。
どちらかと言えば魔素対応体質で冒険者適性の高い人間の方が受かりやすいって言われてるけど……。流石に知力五はどうよ。
「瀬賀!! おめぇも後でハエ面かかせてやるからな」
「ハエ面ってなんだよ……。吠え面だろう?」
「ハエ面なんて初めて聞いたぜ。何処の言葉だ?」
「ちょっとした言い間違えだよ!! 行くぞ!!」
牛頭は能智と稲井を引き連れて教室から出て行ったけど、流石にこの雰囲気でここに居る度胸はないみたいだな。
しかし、あいつらもこの後ダンジョンに行く気か?
この私立深淵学院の近くには七つのダンジョンがあるし、そのうち三つをこの学院が管理している。
この辺りで冒険者を育ててる学校なんてここくらいだから、他のダンジョンもこの学校の生徒や卒業生が独占してるようなものなんだけどな。
管理しているひとつは学校に一番近い場所にある実習用ダンジョン。此処には地下一階に魔法の試射場なんかがあって、授業なんかで利用してたりする。
ステータスカードを作るのは何故か少し離れた場所にある普通に地下十階まである初心者用ダンジョンなんだけどね。
そのほかに管理しているダンジョンがひとつあって、そここそが俺が狙ってる超人気の無い低レベル過疎ダンジョンだ。
安全にレベルを上げるんだったらここなんだろうけど、あまりに魔物が弱すぎて本気で人気が無いんだよな。ドロップアイテムもまずいって話だし……。
めんどくさいから現地で他の奴らと鉢合わせしなけりゃいいんだけど……。
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