表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最凶不遇と呼ばれる灰色カードのステータスカード持ち冒険者が真のヒーローに至るまで~  作者: 朝倉牧師
第一章 冒険者始めました!! ステータスカード発行編
35/108

第三十五話 パワーレベリング


 高難易度ダンジョンの地下五階。


 初めはここまで降りてくるつもりはなかったんだけど、地下四階までの魔物は俺がこの階に下りた瞬間本気で全力疾走して逃げるんだよ。


 しかも以前の時よりひどい。


 そりゃ、あの時に比べてステータスが倍近くになってるけどさ。


「本当に逃げていくのね。驚いたわ」


「そうだろ。俺もあそこまで逃げるとは思わなかった」


「バフの威力も異常だし、このことを知ったらみんなあなたとパーティを組みたがるわ。どうして私を助けてくれる気になったの?」


「そこまで怪我をしながら、友達を助ける為に冒険者を続けようとしてたからかな? それに、相手にされなくてソロの気持ちはよく知ってる」


 今は顔が右半分隠れてるし、その痛みのせいなのか表情も険しい。


 元々は美人だって話だけどね。


 さて、そろそろその傷を治してみますか。


桜輝(さくらぎ)さんのその怪我、治そうと思うんだけどどうかな?」


「え? ……よく考えれば、ここまで強い神崎(かんざき)君だったら治せるわよね。でもそれだったら……」


「それじゃあ行くよ。奇跡の再生!!」


 再生よりもう一つ上の回復魔法。


 傷跡はもちろん、身体で弱っている部分も確実に治す。


 更に言えば俺が使うと一万以上の回復魔法も同時に掛かるから、生命力なんかも完全回復だ……。


「……嘘!! 抉られて無くなってた私の耳が……。あんなに酷かった頬の傷まで!!」


「鏡はあるよ。見てみる?」


「ありがとう……。っ!! こんなに簡単に……」


「友達の足は桜輝(さくらぎ)さんが治してあげたらいい。俺が治すよりも喜ぶだろうしね」


 俺が治すのと、一緒に戦った仲間に治して貰うんじゃ意味が違うだろう。


 俺じゃ心の傷までは治せないしな。


「本当にありがとう……。あの、神崎(かんざき)君の下の名前って何だったかしら?」


眩耀(げんよう)神崎(かんざき)眩耀(げんよう)って名前だよ」


「いい名前ね」


「そう? 俺はこの変わった名前は割と苦手だけどね」


 さて、これで後は桜輝(さくらぎ)さんのレベルを上げるだけ。


 ところで、さっきから桜輝(さくらぎ)さんが小さな声で俺の下の名前を何度もつぶやいてるのがちょっと怖いんだけどさ。傷が治ったのがうれしいのか結構顔が緩んでるし……。


「そろそろ魔物を倒しましょうか。えっと、私が使える攻撃魔法はロックバレット位よ」


「白黄と他には?」


「青。だからさっきの緑の話はうれしかったわ」


 桜輝(さくらぎ)さんも緑が増やせる組み合わせだったのか。


 そんな事より、攻撃手段があったのがうれしい。


「でもとりあえず白をあげないといけないね」


「必要な白レベルは後四つ。仮に十まで上げても多分十分にポイントが残るわ」


「ここの魔物は強いからね。バフはまだ切れてないよね? 攻撃する前にファイナルアタックをかけるから言ってね」


「……本当に凄いのね」


「これでロックバレットの攻撃力が軽く千を超える。普通の魔物だったら一撃だよ」


 平均的な魔物の魔法防御力は百程度で、この辺りの魔物でも二百を超える事は絶対にない。


 で、この階層の魔物の平均的な生命力が五百程度なので、確実にオーバーキルだろう。


 大体全ステータスをプラス百したら、たとえレベル二の冒険者でも二色持ちのカンスト直前以上のステになるしね。


 さて、俺達が選んだ標的は……。


「あそこにいるギガントミノタウルスでいい?」


「そんなに気軽に戦う事を決めていい敵じゃないんだけどね。……ロックパレット!!」


 全ステータスプラス百の効果はすさまじく、かなり高スピードでギガントミノタウルスを捕えた石の塊は簡単にその体に大穴をあけた。


 豆腐とまではいわないけど、結構柔らかかったな。


「倒せた!! ホントに一撃で倒せちゃった!! 嘘!! レベルが上がったわ!!」


「おめでとう。えっと、ポイントは足りそう?」


「基本的に経験値が多い上にレベル差ボーナスが入ってレベル三十まで上がってるわ!! ポイントは……、ステータスポイント三百二十二とスキルポイント二百」


 それだけあれば賢力を百まで上げてもおつりがくるし、スキルポイントが二百あれば余裕で二色をレベル一から最大まで上げる事が出来る。


 基本五色はレベル一から十まで上げるのに必要なポイントが七十八だからね。


「それじゃあ、あそこにある魔石拾って帰ろうか。他のドロップは……、無いみたいだけど」


「お礼って訳じゃないけど、せめてその魔石だけでも受け取って貰えないかな?」


「わかった。それじゃあ帰ろう」


 帰り道も当然魔物の襲撃なんてなかった。


 というか、ずっと俺の後ろで何か呟いてる桜輝(さくらぎ)さんが微妙に怖い。


 傷が治った桜輝(さくらぎ)さんは美人だよ。うん、すっごく美人さんなんだけど、今は後ろを向くのが怖い雰囲気を醸し出してるんだよね。


 今日限りのパーティなんだけど、傷が治った桜輝(さくらぎ)さんだったらパーティの誘いは幾らでも来るだろうね。レベルも凄いし。


 桜輝(さくらぎ)さんは美人さんだけど、冒険者としてかかわるのはこれっきりにしておこうかな……。



読んでいただきましてありがとうございます。

楽しんでいただければ幸いです。

誤字などの報告も受け付けていますので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ