表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最凶不遇と呼ばれる灰色カードのステータスカード持ち冒険者が真のヒーローに至るまで~  作者: 朝倉牧師
第一章 冒険者始めました!! ステータスカード発行編
3/108

第三話 最凶不遇の灰色ステータスカード


 俺のステータスカードに冷たい視線が突き刺さる。


 というか、現場猫のやらかし案件の現場でもここまで冷たい視線は刺さんないだろうな。って、灰色? マジで?


 いやいやいや、今の流れは完全に四色以上だろ!!


 なんで灰色? 訳分かんねぇよ!!


「はい……、いろ?」


「灰色? マジか!! ちょ~ウケる!! あんなに光ったのに灰色かよ!!」


「ぶっちぎりのマイナス方面だけど、超絶レア来たぁぁぁぁっ!! ぶはははっ、灰色なんて初めて見たぜ!!」


「やっちまったな!! こりゃ当分話の種に困らない珍事だ。数年は語り草だぞ」


 そりゃ初めてだろうな、俺だって初めて見たよ。


 そこ!! バンバンと壁を叩きながら大笑いしない!!


 灰色のステータスカードなんて世界でも稀だって話だし、それも数年に一人出るかどうかってレベルだからな。


 ここに来る前にパーティでも組まないかって言ってた小谷野(おやの)の奴は既にほかの奴と交渉を始めてやがる。


 現金な奴だ。


神崎(かんざき)~。今だったら転校の手続きもできるぞ」


「ちょ!! 先生まで。平気ですよ、灰色でもレベルが上がれば冒険者はできますし……」


「灰色だとそのレベル上げがきついって話だろ? 次のレベルに必要な経験値は幾つだ?」


 以前、赤単の人に聞いた事があるけど、レベル二に上がる為に必要な経験値は十とか言ってたな。


 白黒二色だから普通に考えりゃ二十から四十の筈だけど……。


「に……二百? レベル二に上がるのに何でこんなに必要なんだ?」


「灰色も滅多に出ないが、過去の事例でも低レベル時の必要経験値が八十とか百超えも珍しくないって話だ」


「やったな、基準値の倍だ。必要経験値()()()多分クラスナンバーワンだぞ」


「いや。同世代でも一番じゃね?」


「ぷっ、無駄に高い必要経験値」


 レベル一から二に上がる必要経験値も色数や色によって違うらしい。白とか黒が混ざると何故か必要経験値が跳ね上がるとは聞いたけど……。


 一般的には基準値は百で、一色持ちが十分の一程度で格段に低いだけだったりする。能力差のせい?


 それにしても赤単の二十倍とか盛りすぎだ!!


「最凶不遇色の灰色が上がりにくいとはいえ、二百っておかしいだろ!!」


「そういうシステムなんだから仕方がないんじゃね? 俺は二色で紫だけど必要経験値は二十だぜ」


 二色持ちの低レベル時の必要経験値は確か二十。これが三色持ちだと四十になって、三色持ちで白か黒混じりだと必要経験値は六十って話だ。伝説の四色持ちは百らしい。


 四色は滅多にいないけど、いちおうその経験値百が基準値として認可されてるって話だね。


 で、なんで俺はその四色持ちの倍も必要な訳?


「パーティを組めば多少は楽にレベルアップが可能かもしれんが、その経験値二百を稼ぐには初心者用の低レベルダンジョンに出る魔物を百匹は倒す必要がある。そこまで付き合ってくれる奴が居ると思うか?」


「悪いな神崎(かんざき)。ステータスカードに登録できる正式パーティは四人までだ。他をあたってくれ」


「足枷確定の灰色を貴重なパーティメンバーに入れる奴はいね~よ。経験値を吸われるだけじゃねえか」


「レベル一の時はそこまで変わらないだろ……」


 俺のステータスカードに表示されてる能力値はこんな状態だ。


◆◆◆


 【名前】 神崎(かんざき)眩耀(げんよう)


 【性別】 男


 【種族】 人間


 【レベル】一


 【クラス】


 生命力 三十九/三十九


 魔力 三十四/三十四


 筋力 十三


 氣力 九


 知力 九


 賢力 八


 速力 七


 運  十七


 【次のレベルまでの必要経験値】二百


◆◆◆


 ……こうして数値にされると微妙だな。


 ただ、レベル一の時点で最高値が十八って聞いた事があるし、二桁がふたつもあるのは相当凄いと思う。特に運はほぼ最高値だぞ。


 なんとなくだけど、生命力は筋力、氣力、運の合計値で魔力は知力、賢力、運の合計値なのか……。


神崎(かんざき)は同年代のレベル一としては能力値がかなりいい。しかし、他の奴はダンジョンに潜った初日で最低でもレベルが一つは上がる。三色持ちでも能力はそこまで上がらないけど、生命力の上限は上がるし魔法なんかのスキルが使えるようになるのが大きいんだ」


「しかもお前がレベル二になる頃には、ここに居る半数はレベル五近くになってるだろうぜ」


「そうすりゃ、どんなに運が悪い奴でも能力値は歴然とした差がでる」


 レベルアップ時にもらえるステータスボーナスは本人の運しだいらしいしな。


 スキルポイントは固定という話だ。分かりやすく言えば単色でスキルポイントが二貰える。そして後は色数が増える毎に倍々にもらえるポイントが増えていくって形だね。


 単色がレベルひとつで二、そして四色持ちだったら十六。レベルひとつでこの差はエグイ。


「そういう事だ。転校を強要はしないが、冒険者を続けるのは厳しいかもしれんぞ」


「そんな能力だと配信してもつまんねぇ()しか撮れねえぜ。魔物から逃げてばっかのチャンネルとか流行んねぇしよ」


「スプラッターは需要あるんじゃね?」


「プチっとされるライブ配信だけだろ。そのシリーズ全員死んでんじゃねえか」


 ダンジョン内には魔物がいるし、当然ダンジョンで命を落とす冒険者は後を絶たない。


 会社を辞めたおっさんとかが一獲千金を狙って冒険者登録をして、そのまま帰ってこないパターンはかなり多いと聞く。


 なかにはものすごい能力を発揮する四十台元サラリーマン冒険者とかいるそうだけどさ。


 年齢が上がると体や魂に魔力や魔素を取り込んでの再生力というか能力の伸びとかいろいろと落ちて来るっていう話で、分かりやすく言うと生命力が元々百あるのに六十歳くらいになると最大でも六十位までしか回復できなかったりするって話だ。


 ヨボヨボの爺さんと若い俺達のステ―タスは同じでも、中身がやっぱり違うって事だね。


「真面目な話、半端な気持ちで冒険者をするつもりだったら転校を検討した方がいいと思うぜ。冒険者養成学校じゃなくて、普通の学校にな」


虎宮(とらみや)……」


 有名な冒険者を何人も輩出している名門虎宮(とらみや)家の次男坊虎宮(とらみや)真治(しんじ)


 悪い奴じゃないんだけど、言いにくい事をこうしてズバズバ口に出すのが得意な奴だ。


「うちは名門と呼ばれているけど、それでも親戚筋では何人もダンジョン内で命を落としている。十分な装備と能力を持っていてもワンミスで簡単に命を落とす場所、それがダンジョンだ。憧れとか楽に稼げそうだからとか、そんな気持ちで冒険者をするつもりだったらやめた方がいい」


「そんな事は欠片も思ってないさ。灰色上等!! ソロでも何でもして強くなりゃいいんだろ?」


「それが無謀だと分からないか? 死ぬぞ?」


「やってみなけりゃ始まんないさ。どんなにキツかろうが、これが俺なんだから」


 ステータスカードの再取得とかやり直しはできない。


 新しくカードを作り直したとしても、必ず同じ色のカードが出来上がるって聞いてるしな。


 灰色上等!! 一応これでも二色持ちだぜ。


「よ~し。四組に迷惑だからさっさとダンジョンリングとダンカを配るぞ。リングはステータスカードとリンクさせるからそこで説明を受けろ」


「……リング内の収納庫(インベントリ)はワンブロックだけか。レベル一だと全員同じらしいから仕方がない」


 確か知力と魔力が上がると収納スペースが自動で増えるって聞いたな。


 このリングはダンジョン内でしか使えないけど、これがあるから銃刀法とかに抵触せずに済むって話だ。武器とかの類はここに入れて、ダンジョン一階で装備に着替えるのが常識らしいし……。


 当然ダンジョンの外なんかに抜き身で刀剣類を持ち歩いてたら最悪冒険者としての資格を失う。一度目くらいは警告で済むらしいけどね。


 魔法の行使についても色々制限があるし、特に攻撃系の魔法については扱いがかなりシビアだ。


 身体強化系や移動系の魔法については犯罪に使用しない限り法に触れる事は無い。


「ダンカは専用のチャージカードか。ステータスカードと纏めてくれりゃいいのにな」


「ステータスカードが万能でも、流石に後付けのダンカ支払い機能なんて無理なんじゃない? スマホじゃあるまいし」


「んで、ダンジョン内通貨のダンカは五千か。受付で各国の通貨と変えられるけど、色々制限があるって話だ。逆も可能だけどな」


「受け取ったら全員さっさと教室に戻れよ~。間違ってもそのあたりの店に寄り道して買い食いとかすんな、職員会議で怒られるの私なんだから」


 ダンジョン一階にはいろんな店があるし、飲食物を扱う店も多い。入り口付近にも屋台とか結構並んでるしね。


 とはいえ、今はダンカで買い物をするには時間もダンカ自体も足りない。貴重なダンカをいきなり減らしたくないしな。


 諦めて大人しく教室に帰るしかないか。


 しっかし、強がってみたけど流石に灰色はショックだったよな……。



読んでいただきましてありがとうございます。

楽しんでいただければ幸いです。

誤字などの報告も受け付けていますので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ