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最凶不遇と呼ばれる灰色カードのステータスカード持ち冒険者が真のヒーローに至るまで~  作者: 朝倉牧師
第一章 冒険者始めました!! ステータスカード発行編
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第十話 初心者ダンジョン


 サイド虎宮(とらみや)真治(しんじ)


 放課後、俺はさっそく今日組んだ仲間と学院が管理している初心者向けダンジョンに挑戦していた。


 パーティメンバーは俺と紫峰田(しほうだ)、それと舞秦(まいはた)小谷野(おやの)だ。


 今日の目標は最低でもパーティメンバー全員がレベル三になる事。


 二色の小谷野(おやの)は楽勝だろうが、俺たち三色組は少し厳しいかもしれないな。


「俺と紫峰田(しほうだ)は事前登録組だけどダンジョンに潜るのは初めてだ。装備は多少マシだがな」


「私と虎宮(とらみや)くんは幼馴染なの。まさかもう一人三色持ちが出るなんて思わなかったけど。舞秦(まいはた)さんだったら当然かもしれないね」


 舞秦(まいはた)は勇者の子共だからな。勇者のクラスを持つ者はこの世に一人だけ、だから勇者になれなかったんだろうが……。勇者だったら無条件で五色持ちの筈だしな。


 俺は青・黄・黒でダークグリーンの三色。紫峰田(しほうだ)は赤・青・白でパステルパープルの三色だ。


 紫峰田(しほうだ)小谷野(おやの)は同じ赤青の紫系で、スキル振りの参考にできればと思って仲間に入るのを認めたんだが……。正直、最初の計画通りに神崎(かんざき)を誘っておいた方が良かったかもしれない。


「三色持ちは羨ましが、二色だってたいしたもんだ。レベルアップが早い分、役に立ってみせるぜ」


「ステータスは運だが、スキルポイントは固定だぞ。ステータスにしてもスキルポイントにしても、レベルアップ以外にあげる方法はあるがな」


「あるんですか!!」


「あるのさ。あまり知られてないけどな」


 ステータスポイントを増やす魔石やスキルポイントを増やす魔石はあるし、ダンジョン内で入手できる食べ物なんかもあるらしい。定期的にそういった食糧の話が出て来ては、誰かが確認して嘘だってバレるんだよな。


 そういった希少なアイテムはこんな初心者向けダンジョンだとドロップなんてしないが、高難易度のダンジョンでドロップする事があると聞く。


 超が付くほどのレアドロップで、うちの情報網で調べてもそれぞれ五つくらいしか調べられなかった。


 レベル一の冒険者なんて一般人と変わらないし、スキルも使えないから本当に慎重に行動をしなければこれが最初で最後の探索になっちまう。


 だからレベルが低い内は初期ステータスが高い奴がかなり有利なんだが、神崎(かんざき)の奴はおそらく同学年の中でもダントツだろう。特に運が異常にいいって話だ。

 

 灰色だったのは不幸だが……。


「それじゃあ、ステータスカードの色も何とかなったりするの?」


 舞秦(まいはた)は幼馴染の神崎(かんざき)の心配をしてるのか?


 確率は低いけど普通は何とかなる。


 残念ながら灰色はもうどうにもならないが。


「灰色じゃなかったら希望があったんだけどな。一応一色までだったら色は増やせる。ただ、灰色の奴が色を増やせたって記録はうちにもないんだ」


「それ以外の人は色が増やせるんですか?」


「かなり値は高いが、増色の魔宝石が売られている。成功率はかなり低いけど、確認されているほとんどの色のどれかを対応した魔宝石の存在もな」


 その時、手に入るのは色だけじゃなくてレベルリセットの権利なんて物も手に入るそうだ。それを行使すると、ステータスはそのままに、レベル一からもう一度成長し直す事が出来る。


 つまりそれまで稼いでいたステータスポイントやスキルはそのままに、今度は一色分プラスしたポイントを稼ぎながらレベルアップできるんだ。


 元々の成長分がプラスされるんだから同じ色数でもそりゃ有利だろうぜ。


 増色に関しては他にもいろいろ噂みたいなものはある。もし仮にどれかが本当だったらすごい発見なんだけどな。


「そんな話より、とりあえず今日の目的良いかな?」


「レベルアップだろ? 多分俺が一番早いよな?」


「三色組が全員白か黒混じりだから俺達がレベル二に上がる時はお前はレベル三の筈。そこまで稼げるかは時間と遭遇率次第だが、出来れば俺達もレベル三まで上げたいところだ」


「時間が足りるのか?」


「あの、私はあまり遅くなるのはちょっと……」


 寮住まいの紫峰田(しほうだ)はともかく、舞秦(まいはた)は最初からあまり遅くまで活動できないとか言ってたしな。


 冒険者をする以上、下手をすれば日を跨ぐことも覚悟して欲しい所だが……。


 こいつは確か学院から少し離れた場所にある実家から通っているそうだし、そのあたりが原因なのか?


「きっちり七時前には切り上げる」


「すみませんが、お願いします」


「仕方がねえか。俺は何時でも構わないぜ」


 誰もお前の心配なんてしていない。


 こいつは深夜どころか何日ダンジョンに籠っても平気そうだしな。


「レべルが上がるまではスキルが使えない。だからできるだけ早くレベル二まで上げるぞ!!」


「俺がレベル二になったら派手な魔法を覚えてやるよ」


 ……こいつの知力はどのくらいあるんだ?


 牛頭(ごず)ほど馬鹿とは思わないが、知力の差で魔法の威力も変わるし使える魔法の回数も変わるからな。


 パーティメンバーでもステータスを聞いたりステータスカードを見せて貰うのはマナー違反だ。


 だから昼間も神崎(かんざき)の奴は牛頭(ごず)に向かってあんな聞き方をしたんだが……。


「紫だとレベルが上がって覚えられるのは【ファイアバレット】か【アクアバレット】のどっちかだ。どっちも単体攻撃用だぞ」


「二色だとスキルポイントが四ポイントもらえる筈だ。レベル三の魔法に派手なのがある筈だろ!!」


 自分で調べりゃ済むだろうに。こいつ、冒険者になっておきながら自分の持つ色の魔法やスキルすら覚えてないのか?


 失敗した。やはりこいつはパーティに入れるべきじゃなかったな。


 ありとあらゆる可能性を先に考慮して動くのが冒険者だ、自分で調べる事もしない奴に先なんてない。


「青を捨てて赤に絞ってもギリギリだ。それにその条件だと覚えられるのは赤のレベル三スキル【ファイアーボール】だけだ。そのまま赤を伸ばしていくのが正解かもしれないが」


「二スキルを覚えられるのに、一色諦めろっていうのか?」


「割とよくある話だ。両方覚えて中途半端な状態より強くなれる可能性は高い」


 実際、二色持ちがどっちか一色に絞るのはよくある話だ。スキルポイントが足りないからな。


 三色でも俺達みたいに白や黒持ちだと、最優先で白や黒を覚えたりするしな。


「そんな事言いながら、お前らはどうするんだよ」


「俺は黒優先だな。黄も少しくらいは覚えるかもしれないが……」


「お前もそうするつもりなのかよ。よし、俺は赤最強を目指すか!!」


 強いスキルを覚えてもこいつの知力だと生かせそうにないが。


 それに、ステータスを伸ばすと自然に覚えるスキルがある。確か筋力・氣力・速力のステータスを各二十まで上げる事で習得できる剣術と、知力・賢力・速力のステータスを各二十まで上げる事で習得できる魔術だ。


 覚える事が出来ればできればそっちにもポイントを振りたいんだけど、そんな余裕があるかどうかも問題だ……。




読んでいただきましてありがとうございます。

楽しんでいただければ幸いです。

誤字などの報告も受け付けていますので、よろしくお願いします。

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