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10話 【成島隼人は通り過ぎる】~成島視点~

※注意

この話は1話より前の出来事となっております!!

 二年生になったオレはすごぶる調子がいい。

 自分がクラスの中心人物としてようやく輝く時が来た。そう実感している。

 一年の時はクラスにあの真波太陽(まなみたいよう)がいた。


 まあアイツのお陰でオレもそれなりに目立つことはできたが、所詮は太陽の二番手だ。それじゃダメだ。

 というか、アイツがいなければオレはもっと目立つことだってできたはずだ。


 サッカーでも一年の時から活躍しやがって目立ちやがる。

 今年は太陽の二番手じゃないことを証明する年にしよう。その為にはまず二年三組のリーダーにオレがなり、纏め上げる必要がある。


 ただ、その作戦を実行するに、一つ気掛かりなことがある。それが綺堂朔夜(きどうさくや)の存在だ。

 今年も同じクラスになったわけだし、警戒しておいて損はない。何か仕掛けてくる可能性もある。


 ……いや、待てよ。

 仕掛けられるのを待つより、こちらから仕掛けるべきじゃないか。

 先に手を打って脅威を取り除ければ、オレが安心してリーダーをすることができる。


「……だが、どう仕掛けるべきか」


 綺堂朔夜の弱点を的確に突いていきたい。

 だけど、アイツの苦手な物なんて何もピンと来ない、テストの点数で勝つとか運動で勝つとかそんな幼稚なことじゃダメだ。


 モヤモヤとした状態のまま、オレは部活をサボる為に体育館裏へと歩いていく。

 部活は大切だが、練習してばかりでは成長しない。

 ただサボっているわけじゃない、そういう理論があってオレは休んでいる。


 体育館裏というのは、太陽が差し込まないこともあってか常に薄暗く、先生も生徒もほとんど立ち寄ることはない。

 最高のサボりスポットと言えるだろう。


 誰かに見られてチクられると面倒なので、十分に周囲を見渡してからオレは突き当りを右に曲がる。

 だが残念なことに、今日は先客がいるようだ。


「……お前らここで何してんだ」


 だらーっとサボっている男三人に話しかけた。

 一人がオレの声に反応してこちらを向く。


「おっ、成島じゃねえか。サボりか?」

「それはこっちのセリフだ」


 バスケ部の奴らだ。内田と高井、それと横河がいる。

 体育館ではバスケ部が練習していたし、休みというわけじゃないだろう。


「さっさと部活行けよ」


 体育館を指差して言うと、横河が腕を組んで首を横に振った。


「俺たちはサボりじゃなくて普通に休憩してるだけ。今日は顧問来ねえから休憩し放題、パラダイスってわけ」

「それを世間一般ではサボりって言うんだよ。で、何してたんだ?」


 こいつらの様子を見るに、ただサボっているわけじゃないだろう。ゲームでも持ち込んできたのだろうか。

 三人は顔を見合わせた後に横河がオレを手招きして呼び寄せる。


「……ちょっと面白いゲームを思いついたんだ。どうだ、お前もやらねえか?」

「ゲーム?」


 やっぱりそういう感じか。

 と思っていると、横河が何かを思い出したように言葉を付け足す。


「あ、別に携帯ゲームやろう、っていう話じゃねえからな」

「どちらにしても、オレはそういうのあんま興味ねえよ」


 そんなことより綺堂を潰す方が優先度が高い。

 オレはこいつらの話から逃げ出す口実を考ええていると、横河が不敵な笑みを浮かべて言葉を続ける。


「そう言うなって、お前は夢咲萌花(ゆめさきもえか)って女知ってるか?」

「……誰だ、そいつ」


 聞いたことないな。

 ただ顔を見ればわかるかもしれない。


「んまあ、その夢咲って奴が同じクラスなんだけど、すっげーしゃしゃってうぜえわけよ。で、俺たち三人、お前も入れたら四人でゲームをやって負けた奴が罰ゲームで夢咲に告白するってゲーム」

「それ、付き合ってどうすんだ?」

「今はまだ何も決めてねえ。ただ恥をかかせてやりたいんだよ」


 ……恥か。

 綺堂にもそういう目に遭わせられたらいいんだが。


「そんなにウザいのか、夢咲って奴は」


 尋ねると、横河が食い気味に大きく首を縦に振った。


「そりゃもう、とんでもなくウザい奴なんだよ。自分のこと可愛いって勘違いしててよぉ、二年になってから髪も金髪にして、陽キャ女子みたいな雰囲気出してんだよ。ブスのクセにな」


 他の二人もこくこくと頷いて同意している。

 こいつらがそこまで言うほどの奴らか、ちょっとどんな女なのか興味がある。でもこのゲームには参加する気は起きない。


「あいつに教えてやらねえと。自分の立場って奴をな」


 横河の言葉にオレは納得した。

 綺堂に自分の立場を教える。そうか、なるほどな。

 ……でもどうやってアイツに。


「ん? 成島?」

「ん、あー、別になんでもない。言っとくが、オレは参加しない」


 くるりと踵を返してオレはここを後にする。


「ちっ、残念だなぁ。成島なら参加してくれると思ったんだがな」

「オレはそんなことより、たった今やらなきゃいけないことができたからな」


 綺堂朔夜には幼馴染がいたはずだ。

 その幼馴染と付き合えば、あいつに何かしらのダメージを与えられるはずだ。

 確か名前は、早川蛍だったか。

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