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 翌日から授業が始まった。最初はクレアと一緒の授業からだ。応用講義とは言え1年生限定のもののため、予定の上ではそんなに難しい授業ではない。受講を予定している生徒達は思ったよりも平民の生徒達が多かった。それもあってなのか初日の今日は実力テストが行われることになった。このテストが厄介だった。私は既に学習している範囲のため手こずることはないのだが、1学期の末に行われた試験より難しい。基本的な事項に始まり、応用問題。さらに一ひねりした問題、そこから発展した記述問題まであった。授業時間の大半を使って行われたそのテストによって今後の授業のレベルが決まるらしい。話に聞いていた通りだ。だからこの授業を選択したのだ。

 そもそも応用講義を選択する生徒は意欲のある平民の生徒が多い。それと一部の官僚を目指すような貴族生徒だ。そのレベルに合わせた授業となると必然的に、当初の予定よりレベルの高い授業になりがちだ。だから実力テストを実施してくれる授業は学習意欲の高い生徒にとってはありがたい授業なのだ。そんなに学習意欲の高くない生徒は初回で脱落していくから、残るのは意欲の高い生徒とレベルの高い授業というわけだ。これなら1年生限定の授業といえど上級生の基礎講義以上の内容の授業を受けられる。



 


 事前にしっかりリサーチしただけあって、午前中に受けた講義はどれも興味をそそられるものだった。今はクレアと合流して食堂でランチをとっている。

 今日のBランチは貝のフライだ。とても身の大きな貝を使っていて食べ応えがある。濃厚な味がするので、ソースをつけなくても塩だけで十分だ。今度料理長に頼んで屋敷でも出してもらおう。クレアはCランチの生ハムのクレープを食べている。ロール状に巻かれた生ハムのクレープをナイフフォークで切り分けて食べる姿を見つめていたら、クレアが気づいた。


「ルーチェ?どうかした?」


「ううん。美味しそうだなと思って。その生ハムのクレープ。」


「美味しいけど、ちょっとボリュームが足りない気もする。軽食を追加しようかな。

 ルーチェはどう?その貝のフライだけで足りる?」


「言われてみればなんかもう少し物足りない気もする。」


「オッケー。じゃあなんかもらってくるね。」


 そう言ってクレアは料理をもらいに行った。戻ってきた時、クレアは両手にミートパイとキッシュとデザートを持っていた。よくそんなに持てるな、とクレアのバランス感覚に感心する。4枚のお皿を起用に机に置きながらクレアは言った。


「ちゃんと切り分けてもらってきたよ。

 デザートも美味しそうだったからついもらってきちゃった。果実のパイにあったかいカスタードクリームがかかってるやつ。ルーチェ好きだったよね。今は秋の果実になってるみたい。」


 ありがたくミートパイとキッシュを取り分けてもらってからクレアにお礼を言う。


「ありがとう。授業初日だからか自分でも気づかなかったけれど、結構お腹がすいてたみたい。」


「午後はダンスもあるでしょ。ちゃんと食べとかないともたないよ。」


「そっか、ダンスがあったか。あのレイナルド殿下とアドレアン様とお兄様と一緒の授業ね。」


「そうそう。順番に踊るみたいだからみんなと踊るチャンスがあるかも。必修だしカタル様も逃げたりできないでしょ。」


「そうね。必修だものね。クレアも踊るんだからね?」


「あー、失敗したな。せっかくだからってルーチェたちと同じコマのダンスとっちゃったけど、そうなると私も踊らなきゃいけないんだよね。王子殿下とかカタル様と踊る勇気ない。

 でも毎年王子殿下とかと踊れるダンスは大人気だから、こればっかりは履修変更できないらしいよ。運よく王子殿下たちのいる時間に当たればラッキー、違えば残念ってことで王子たちの履修がわかる前の初日に履修登録を締め切ってるんだって。登録し忘れたらどこか適当な王子たちのいない時間に割り振られるらしいよ。」


「そうなんだ。たしかに先にわかってたらすごい倍率になりそうだものね。」


「だから先に情報を得ていたルーチェはすごいと思う。」


「だってレイナルド殿下が教えてくれたから。」


「うん、すごいと思う。」


 クレアはぱくぱくとミートパイを平らげていくと、キッシュにフォークを伸ばしている。


「そういえばクレア、お兄様が気にしていたけれど武術大会には出場するの?」


「私?もちろん出るよ。

 辺境伯家たるもの強さは大事だからね。剣術部門も体術部門も出る。ちなみに今年はオル兄は出ないってさ。」


「え、オルファス様出ないの?去年も一昨年も両部門優勝したって聞いたけれど。」


「去年一昨年だけでなくその前もだよ。ウィル兄がいた頃は体術の優勝はウィル兄だったけど、その頃も剣術はオル兄が優勝してた。私は見たことないけど。」


「そうなの。見られなくて残念だわ。

 お兄様がクレアの戦うところが見られるのは楽しみって言っていたわよ。」


「男女混合だったらな。クリストフ様とも戦えたんだけど。」


「クレアなら男女混合でもいいところまでいくんじゃないの?」


「うーん、くじ運次第かな。カタル様がいるから。」


「アドレアン様、やっぱり強いの?」


「オル兄のお墨付き。このまま鍛えていけば強くなるって。」





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