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プロトタイプ  作者: 如月皐月樹
第一章
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第一章19 「再戦の行方」

 結果的にスタンピードの警報で倒れてしまったのは良かったと、レンは針を避けながらしみじみと感じていた。

 もしあそこで倒れていなかったら、■の『■』は聞こえず、自分の精神状態は、今よりももっとずっと、波のように不安定になっていただろう。


 バフォメットとの因縁は、それこそ三年前のあの日の出来事からできた。彼等に直接的な害を与えさせた訳ではないが、それでも十分トラウマになるぐらいの相手。


 故に、場合によっては、自分は使い物にならないただの木偶人形に成り下がっていた。そうならなかったのは、■のおかげなので、スタンピード自体に僅かばかりの感謝の念を抱かないわけでもない。

 つまりは、偶然の出来事が重なった結果、こうしてバフォメットの足止めをできているのだが……、


「いや、偶然……ではないか」


 今度はレールのように真っすぐ伸びてきた二対の角を剣の一振りで弾きつつ、今までの出来事を思い返してその考えを改め、今回のスタンピードの原因を考察する。


 他の冒険者や、聖騎士達、都市民には誠に申し訳ないが、原因の一端を担ったのは自分にあるのだろう。

 そう考えれば、とんだ自縄自縛(じじょうじばく)とマッチポンプだったと、レンは内心で自嘲気味に笑う。


 森の奥まで足を運ばなければ見つけられなくなった魔獣。それは言うまでもないが、森の奥の方まで魔獣が逃げていたことを示す。

 無論、レンが手前の方に生息していた魔獣を狩りつくしたとも考えられるが、それと同時に魔獣には生存本能が働いたのだろう。


 そうして森の奥は逃げた魔獣達で溢れ、飽和状態になった。その状態が続いたことにより、聖騎士や門兵の仕事が減って楽になっていたということで、今回の事態は多めに見てもらいたい。


 そんなどうでもいい私情は兎も角、満員電車の如く森の奥地が飽和状態になったのなら、何らかの些細な切っ掛けでスタンピードは容易く起きてしまう。

 それこそ、電車が止まってから、ドアに人が押し寄せるように。

 そんな状態でも、レンはグラミディアの森の奥深くに入って魔獣を狩っていたのだが……。


 とにかく、今回の場合は、現在レンを仕留めようと木の鞭を振り回しているバフォメットのせいで、スタンピードが起きた。……三年前のあれも、そうだったのだろう。


「――っ」


 過去の出来事を振り返っているレンを余所に、首目掛けて闇色の鞭がしなる。常人なら目で追う事も不可能なしなる()

 その尾に対し、レンはここまでの考察を頭の隅に追いやって、必要最小限の動きでその攻撃に対処しようと身を回した。


 高速で薙ぎ払われる三本の(つる)、その僅かな隙間を縫うようにして全て回避。

 空を切り地を打つ漆黒の鞭は、血が混じった暗褐色の泥を宙に打ち上げた。

 落下してくる泥、それすらもレンは()けて、バフォメットに接近しようとする。

 が――、


「――ちっ」


 舌を弾き方向転換。前に踏み出そうとしていた力を切り替え横に跳ぶ。

 先程までいた位置には、無数の針が通過していた。それは変な方向に目を向けているバフォメットが、口腔を開けて放ってきた針だ。


 多彩な遠距離攻撃を有するバフォメット。奴の攻撃パターンはある程度覚えているが、それでも攻撃範囲が広すぎて迂闊に距離を詰めることができない。それに――、


「ベル、まだか?」


『うーん、まだ時間はかかりそう。アイツの一度に受けられる許容量とか分かってないし。だからボクが使える限界まで振り絞るつもりなんだけど……」


「けど、なんだ?」


 言いよどんだベルに、レンはもったいぶるなと催促する。今この状況でも余裕な態度を崩さないベル。そんな彼女に対し軽くイラつくも、それを表に出さないようにレンは自重した。

 レンに催促され視線を向けられたベルは、己の髭を撫でつけ、


『ほら、ボクって結構凄い精霊だからさ、かなりのマナを扱えるんだよね。だから、まだまだ時間がかかるかな』


 己の力を自慢するかのように、溜息交じりに首を振ってそう言ったベル。最大火力と言っていたのでまさかとは思っていたが、やはり準備にはかなりの時間が必要なようだ。

 レンはベルの「仕方ないよね」といった物言いに、青筋を浮かべかけるも、これも抑え込んだ。


 時間が掛かるのなら、それを前提に立ち回ればいい。現状、レンとバフォメットを囲って聖騎士はこちらの戦闘の傍観及び監視に徹している。

 一抹の不安はあるが、この状態が続けばバフォメットが都市を襲撃することは叶わないはずだ。

 それに加え、不本意ではあるが、レンはバフォメットに近づけないでいる。ならば、焦らず勝機を探せば問題ない。


「――しっ」


 目の前にまで来ていた刺突に、レンは鋭い呼気と共に下段から剣を切り上げる。一見すると、その尾はただの木材でできているように見えるが、それは大きな間違いだ。

 その尾の硬度は鋼鉄並。まともに剣で捉えたというのに、切断するどころかギャリギャリと火花が散り、金属音が辺り一帯に響き渡る。


 やはり厄介な相手だと、レンは目を細めてバフォメットを睨む。相も変わらず、にやけ面のバフォメット。

 強大な力を持つ魔獣であり、今も厄介に感じてはいるのだが、レンの中には違和感があった。


 前回と同じように、長距離射程の長い尾と角を変幻自在に操り、唐突に針を放ってくる。物理攻撃の間合いの広さ、それが一番警戒すべき奴の特徴。

 それ以外にも、留意すべき点はあるのだが……、


「それは、問題ないだろうな。聖騎士も分かってるようだし」


 ちらと聖騎士へと視線を向けて自問自答しつつ、三方向から踊りかかる鞭をこれまた回避、迎撃した。

 このようにレンは立ち回っているのだが、三年前に戦った時ほど必死になって対処する必要がないのが、喉の奥に魚の小骨が引っかかったような気がかりを生んでいた。


 今もこうして、「そういえばこの世界で魚はまだ食べたことなかったな」などと浅く考えつつ、奴の攻撃を捌いて、様々な考えを巡らすことができるように、確実にバフォメット相手に余裕が生まれている。

 それ自体は嬉しい誤算。自分が以前よりも成長している証左なのだが、これだけでは納得がいかない。


「……いい加減、様子見は止めたらどうだ」


 人語を理解できているなどとレンは思ってすらいない。それでも、瞳を鋭くするレンは動きを止めて、ニタニタと気色悪い笑みを張り付けているバフォメットに問いかけた。


 明らかに、以前戦った時とは攻撃の勢いや物量が足りていない。

 まさかレンの事を舐め腐っている訳ではないだろう。あの角の傷は、他ならぬレンが付けた物なのだから。

 ならば、バフォメットのそれは警戒か、様子見か。


「――」


 レンの問いかけに返答など来るはずもなく、動きを止めた返礼に鞭が強襲。横一線に薙ぎ払ってきたそれを、レンは後退しながら易々と躱した。

 その攻撃に、ますます切れ長の瞳を細めるレン。今の一撃から、近づけさせないといった牽制を込めた意思が、明確に読み取れた。


 魔獣とて、ただの獣ではない。魔法と似たような攻撃手段を持ち合わせている為、無論考える脳みそは存在する。

 奴は『二つ名』、故に、他の魔獣と同列に考えてはいけない。もし、あの魔獣の警戒に値する者がいるとすれば――、


「……ベルがいるのに、気付いてるのか」


『あぁ、それはあるかもしれないね。なんたって、キミの持つマナとボクのでは全然違うから。アイツなら、ボクの存在に気付いていてもおかしくない』


「そうか、なら、それを存分に……っ!」


「生かそう」と言おうとしたところで、急にバフォメットの攻撃が激化した。慌ててのけぞり、それと同時に盾を生成。防御と回避、迎撃を一度にこなす。


 一つ、頭部を狙って伸びてきた角を回避。鼻先を掠めるも、なんとか躱せた。


 二つ、胴を串刺しにしようと突き出された尾。これをのけぞった勢いのままバク宙。サマーソルトではじき返す。尾の下側を蹴り、上空へと逸らした。


 ボキリと嫌な音が鳴る。足が二つに折れた感覚、痛みが足先から全身に伝わるも、顔を歪め歯を食いしばって耐えた。

 やはり、痛みというものには永遠に慣れることはないだろう。その痛みさえ、一瞬だけ我慢すれば、瞬く間になくなってしまうが。


 三つ目と四つ目は同時攻撃。両側から迫り来る暗黒の尾は、今度こそレンを両断せんと一段とスピードが上がっている。

 しかしそれは、宙を一回転しているレンには当たらない。ただ空しく空を切った。


 五つ目、頭上から突き下ろされる傷を付けた角。レンの体の中心を的確に捉えようとした致死の一撃はしかし、氷の盾に阻まれて一瞬動きを止める。


 僅かすぎる時間、だがレンにとっては十分すぎる時間。回転する威力を上乗せした剣戟。

 氷を貫通して空から降る槍の腹に刃を合わせ、横に逸らす。槍はそのまま見当違いの地点へ突き刺さった。


 ラスト、六つ目、両足を地面につけたレンに、百を優に超えている針が浴びせかけられる。

 だが、それも氷壁が障壁となって、レンへと到達する時間を稼いだ。


 分厚い壁を通り抜け、レンを蜂の巣にしようと飛来する針山。それに対し、レンは稼いだ時間を使って氷柱を創造。


 マナが展開し、周囲の気温が一段下がる。針と同じ数だけ創り出された極細の氷柱。

 その一つ一つが風の刃に包まれ、超高速で回転している。陽光を反射して輝く白い霧がレンの姿を包み隠した。


 一斉に放たれる氷柱。それは弾幕を張り、一寸の狂いもなく針の一本一本と真正面から衝突。威力は拮抗しており、互いに削りあって鳥類の金切り声のような音が鳴った。

 だがそれは長続きせず、氷柱は砕け、針は折れ、対消滅する。


「いきなりどうしたんだ、アイツ。今のは結構危なかったんだが」


『にしては、まだ余裕そうじゃないか』


 白煙のベールに身を潜め額の汗を拭ったレンは、眉を顰めて胸をなでおろす。突然の連続攻撃、急変したバフォメットの雰囲気に戸惑いを隠せない。

 先程までとは全く違う、殺意が込められた猛攻。それら全てを何とか防げたが、右足の甲を折られてしまった。


 あの骨が折れた音は、レンの余裕を鋭い観察眼で見抜いたベルにも、聞こえてしまっただろう。案の定、ベルは気づかわし気にそのことを言及してきた。


『そういえば、さっき骨が折れるような音が聞こえたけど、足……大丈夫かい?』


 この状況でも、彼女にはばらすわけにはいかない。ベルがそうであるように、レンもこの『力』についてはあまり他人に知られたくない。


 スノーなどは、あまりそういった人とは思えないし見えない。寧ろ逆の人種だろうが、それでも……。

 よって、ベルの目を誤魔化す為以外に何の意味も持たない治癒魔法を使いつつ、レンは右足でトントンと地面を叩き、ベルに健在をアピール。


「大丈夫だ、治癒は終わっている」


『そうか、直っているのなら、問題ないね。それはそれとして……準備、整ったよ』


 ニヤリと、人の悪い――ではなく、精霊の悪い笑みを浮かべて牙を剥き出したベル。その朗報に、レンは軽く頷く。

 というよりも、ベルの準備が整ったからこそのバフォメットの猛攻かと、レンは納得した。


 確かにベルに意識を向ければ、彼女が秘める膨大な魔力と強大な魔法の術式を感じる。

 流石にあの魔獣も、ベルのこの魔法は見過ごすことができないのだろう。


 ならば、今の攻撃でバフォメットは墓穴を掘ったことになる。自分の方から、ベルの攻撃が有効打になりうると、レンとベルに教えてくれたのだから。


 これで、バフォメットを倒せるかどうかの最大の憂慮は払拭された。

 それに加え、今この状況は、狙った訳ではないがレンにとって有利に働く。


 はぁっと、凍える空気に白い息を吐いて、レンはバフォメットを()()()()()為の策を、(おの)がマナと共に綿密に張り巡らせ始めた。



               ◇◆◇◆◇◆



 『悪魔』は濁った緋色の瞳をせわしなく回し、人の子と別の存在を知覚しようとしていた。


 『悪魔』にとっても因縁深い人の子。彼は今まで傷一つ負った事がないこの体に、初めて傷と呼べる物を付けた。

 己の誇り高きこの角に大きく残るこの傷は、『悪魔』にとって恥辱そのもの。


 この身、この体、この存在は、体毛の一本に至るまで全て、己を創造した■■の物。彼のお方の意思を受け継ぎ、遂行するための物。

 それを傷物にした人の子は、万死に――いや、億死(おくし)に値する。


 今、かつて己に傷をつけた人の子が、再び目の前に現れていた。以前は彼のお方がいらして、殺せなかった人の子。

 吉日だと、バフォメットは普段以上に笑顔を振りまく。


 気まぐれで追い立てた同胞、気まぐれで貪った同胞、そいつらについて来て、こうしてあの人の子と出会えた。


 吉日だ、なんて良き日だと、『悪魔』は感謝の意を込め、人の子達に死をもってソレを伝えた。数多(あまた)の人の子、数多(あまた)の同胞を食い散らかし、貪り尽くし、吸い尽くし、ぐちゃぐちゃのめちゃめちゃにして、いつも通りの黒木にすることで、彼等の血と肉と魔で満たされたこの体。


 そのうえ更に、憎むべき人の子まで己の糧にできるとは。


 ああ、なんて甘美で、酔いしれられる一日だろうか。高揚のあまり、いつもより余計に張り切ってしまい、自然と笑みも深まる。


 人の子を己のものにすれば、彼のお方からの寵愛をお受けできる。それを想像するだけで、更に笑みが深まる。


 ――だというのに、それをするのに、邪魔な存在がいる。


 忌避感、あり得ないほどの高密度な『魔』の気配。


 嫌悪感、本能に刷り込まれた、『抹殺せよ』という『声』に叫ばれている存在。


 恐怖感、アレは己を害するどころか、この世から消し去る可能性がある存在。


 『悪魔』の存在意義を揺るがすアレは、人の子に隠れているのだが、その『魔』が強大すぎて誤魔化せていない。


 アレがこの場にいることが許せない。せっかくの良き日だというのに、目の前の御馳走に全力で手を出すことができない。


 葛藤、人の子が欲しい、食いたい、飲みたい、貪りたい、味わい尽くしたい。

 恨み千万、遺憾千万、憎しみを、悲しみを、怒りを、――喜びを、『悪魔』が持ちうる全てをもってして、あの人の子を奪いたい。


 血液の最後の一滴まで、肉の一筋がなくなるまで、『魔』の最後の一絞りまで、人の子の全てを己の物にしたい。


 なのに、アレがいるせいで、手が伸びない、伸ばせない、近づきたくない、近づけたくない、迎え入れたい、迎え入れたくない。


 葛藤だ――葛藤が、グルグル、グルグル、巡り、巡って、廻り、廻って。


 逃げる、逃げない、逃げたい、殺す、殺さない、殺したい、食う、食わない、食いたい――食いたい、食いたい、食いたい、食いたい、食いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい、喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰いたい喰う喰う喰う喰う喰う喰う喰う喰う喰う喰う喰う喰う喰う喰う喰う喰う喰う喰う喰う喰う喰う喰う喰う喰う喰う殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れれれれれれれれれれれれれれれれ殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺――、







       屠・殺・し・ろ!!







 漆黒の一閃がグラミディアの森で悪逆非道な破壊衝動が重ねられて猛威を振るった。


 白い(もや)に隠れていようと、『魔』の気配は隠せていない。無意味だと、本能の衝動に赴くままに、『悪魔』の全てで人の子とアレを仕留めにかかる。 


 靄の中にはうっすらと人の子の影が見えている。同じ場所から『魔』の気配もする。

 その位置目掛けて、『悪魔』は靄を全て霧散させ、大気を割るほどの防御も回避も不可能な一撃を繰り出した。


 束ねた尾と角、黒光りする太い鞭は音すらも殺して大上段から振り下ろされる。

 尾と角に何か硬いものを捉えた感触、しかし、それは一瞬のこと。触れたと思えば、地を殴った轟音と共に既にそれは挽肉にされている。と同時に、『魔』が己の体に流れ込んできた。


「――」


 周りを囲う人の子の悲鳴と衝撃の声が空気を震わせる。白煙は晴れ、代わりに土砂の雨が天に降ってから落ち、土煙が立ち昇る。

 必殺の一撃――違和感。手数ではなく、力と速さに重きを置いた一――違和感。確実に何かに当た――違和感。


 ――違和感。


 今の一撃は確実に()()に当――違和感。


 ――違和感。


 ――違和感。


 違和感、違和感、違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和違和違和違和違和違和違和違和違和違和違和違和違和違和違和違和違和違和違和違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違違いいいっいいいいいっいっいいいいいいいっいいいっいいいいいいいいいいっいいいいっいいいいいっいいいいいいっいいいいいいいっいいいっいいいいいいいっいいいいいっいいいいいいいいっいっいっいっいっいっいっいっ――違和感。



 飛び出た紅色の瞳回り、廻り、廻り、回り、回り、廻、回、回、廻、回廻廻回回回廻廻廻回廻回廻回廻廻廻回回廻廻回回回回廻廻廻廻廻回回廻廻廻廻廻廻廻廻回回回廻廻廻廻廻廻――――『魔』


                    飛




      び


             出




         す



                      尾



        突



  き


               刺



         す



    角





「ああ、お前にはこんな小細工お見通しだろうな。なんせ、マナが駄々洩れなんだから。だからこそ、次の行動を確定させることができる」


『ははぁ、上手くやったもんだね、キミ。ここまでお膳立てされたら、決めるしかないか』


                  背


             後



 『魔』――『精霊』



「――ッ!」



 尾


       角



         引

     き

   戻

 し



「遅いし、無意味だ」


『それじゃあ――永遠(とわ)に眠れ、お・や・す・み』



         膨れ上がる



          『魔』



      白




      光










































 グラミディアの森に、笑いが……広がる。































 笑いが……広がった。

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