X-68話 ユウシの狙い
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「当然じゃよ。そもそも、ワシらを騙し通せると思われたことが不愉快なくらいじゃよ!」
はっはっはっは、と大きな声で笑いをあげる白衣の老人。しかし、その声はどこか、寂しげであり、乾燥しきっている。周りの空気と同化していくまでも、そこまで時間はかからなかった。
「でも、僕は本当にひどいことをした。命ある人を奪う炎を、その程度の威力があると知りながらも、発動してしまったんだ!」
ユウシの叫びは、涙という水分を含み、先ほど同様にすぐに発散していくことはない。その場に留まり、しつこいほど残響してみせる。
「確かに。あなたは許されないことをしてしまったわ。断罪されても仕方ないほどに。でも、それは行われるべきじゃないことを知ってる。命を落とした人も悲しみに包まれているけど、あなただって苦しんで出した答えがそれだったのだから、あなたを憎んでも仕方ないのよ」
「あなたのところは・・・確かお父さんが亡くなられたのか。ユウシよ。後悔に身を滅ぼされながら生きていけとは、わしは言わん。じゃがな、人は誰しも生きているだけで、人を傷つけることがある。この事実を今回のことでしっかり肝に銘じてほしい」
俺は——目の前で行われている事象を現実のものと認識できなかった。ユウシが行ったことは、容認できることではないという考えで間違いないだろう。命を落とした人も多くいる。例えそれが、抑圧された状態から解放するために、振われた力だとしても。
トモキのお母さんは、愛する人を失ったのだ。それを、彼一人に業を背負わせぬために、彼女だけでなく野営地にいる全員で彼を擁護しようとしている。この考えは、俺にはなかったものだ。一人を守るために、胸の悲しみや憎悪を押さえ込んで、誰かに接することは。
「ところで、ユウシよ」
「なんだい?」
白衣の医師が声のトーンを変え、ユウシに問いかける。
「お主が、わざわざカーブスのところまで近寄って、欲しかったものとはなんじゃ?」
しばらくの静寂。それを口にすることを躊躇っているかのようであった。
「再生の炎。これが、僕が夢みたものだよ。それに一番近づけるのが、あの犯罪者だって思ったんだけど。どうやら、あいつは僕をここにいる、クーリエさんを呼び寄せる罠として使ったようだ。この僕が、掌の上で踊らされるなんて」
「え? 俺を引き寄せるって、なんのこと?」
話の流れが見えない展開の中、突如として自分の名前が浮上したことに驚きを覚える。そして、なんとも情けない声がこの野営地に響き渡った。
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