約束
「それじゃあね、パパ。
寂しくなったら空を見てね。
繋がってるからね」
何を生意気な、子供のくせに
そうではなかった
今日で20歳
立派な大人だ
だから僕ら夫婦は別れるんだった
いったい何が原因でこうなったのかさえ
忘れてしまったけれど
刑は執行されるんだな
歳をとってからの
ひとりぼっちは寂しいもんだな
運び出された荷物の後の
そこだけ白い畳の跡が
やけに時の流れを感じさせる
空でも見あげようかな?
そう思ってたら
娘からメール
「引越し先に着いたよ」
そうか、無事だったか
「窓を開けてみて」
心を見透かされたみたいでドキッとした
窓を開けると
一車線の道を隔てた
向かいのアパートの二階の窓に
手を振る娘がいた
「やっほー!パパっ!」
生声が聴こえる
知らず
涙が零れた