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第75話 イリアとマリアンヌと清丸と

いつも読んでいただきありがとうございます

 清十郎とバングリーが笑い合っている頃、イリアとミーニャは買い物に来ているが今のイリアは何を言ってもにこにことし機嫌は最高に良い。おそらく何を言っても許されるのではないかとミーニャは思っている


「清丸ちゃん美味しい?」


 イリアが優しく聞くと清丸はコクコクと頷きながらケーキを頬張る


 イリアの機嫌が良い元は目の前の子供にあることはだれが見ても明白だろう

 なぜ清丸がいるかというとイリアとミーニャのお供にと清十郎が護衛代わりについて行かせたのだ

 清丸は清十郎をそのまま小さくしたような感じの子供で見た目は5、6歳児にしか見えないのでイリアの母性はくすぐられまくりデレデレ状態になっている


「うふふ。清丸ちゃん。ほっぺにクリームがついてますよ」


 椅子にすわり足をプラプラさせながらケーキを頬張る清丸の頬につく生クリームをイリアは甲斐甲斐しくハンカチで拭いてあげている

 清丸は一瞬、嫌がる顔をするが目を細めてイリアのなすがままにされている

 拭き終わると再びケーキを嬉しそうに頬張り始める清丸の姿にイリアは抱きしめたくてうずうずしているのだがそれは人前もあって我慢している状態だ


「ほんとイリア様は清丸ちゃん大好きなんですね~」


 あまりにも普段のイリアと違う様子にミーニャも苦笑いだ


「だって、可愛いんですもの。ねー清丸ちゃん」


「どんだけですか・・・」


 語尾にハートが付きそうなイリアの話しっぷりにミーニャははぁーとため息を吐いた時、黒いドレスを纏った人物がイリア達に近づいてきた

 その人物はイリア達のテーブルの側に立つと青い瞳でじっと清丸を見つめる


「・・・その子、清十郎さんの子供?」


「え、ええ。あなたは?」


「私はマリアンヌ」


 どこまでも澄んだ声にイリアは思わず返事が遅れあらためてその人物を見る

 薄く化粧を施し赤い紅を唇に引いた顔に白に近い金色の髪を襟足あたりで切り揃えヘッドドレスをのせた姿はまるで人形のように綺麗だ


「で、その子は清十郎さんの子供なのね」


 マリアンヌが改めて聞くのでイリアは違うとも言えず頷く


「そう・・・。ならその子は私の子供」


「はぁ?」


 思わぬマリアンヌの発言にイリアの口から決して上品でない声が飛びだし思わず立ち上がる

 表情に乏しいマリアンヌと眉根を寄せたイリアが睨み合う


「清丸ちゃんは私と清十郎様の子供です」


「いいえ。その子は私と清十郎さんの子」


 お互いの視線が交差しバチバチと火花を散らす。その時二人の裾を持ち清丸が首を振る


「あ、ちがうのよ。このお姉さんと喧嘩してないのよ」


「そうね。私たちは友達。大丈夫」


 それまでの態度が嘘のようにコロリと変わりイリアはマリアンヌと顔を合わせると笑顔になりマリアンヌもわずかに微笑みを浮かべ清丸を見る

 それに満足したのか清丸は満面の笑みで椅子に座り直すと残りのケーキを頬張る

 あまりの可愛さにイリアはだらしないほど顔は緩みマリアンヌも普段は滅多に笑わない顔がにこやかに微笑んでいる


「あなたのことは気に入らないけどあの子に免じて許してあげる」


「あら。奇遇ね。わたしも同じことを思っていたわ」


 二人の間で休戦協定が結ばれマリアンヌを交えて四人でお茶とケーキを楽しんだのであった

 主にイリアとマリアンヌは清丸を見て楽しんでいたが


「ん?お主ら、ここにおったのか」


 用事を終えた清十郎がやってくると清丸は椅子からぴょんと飛び降りると清十郎に引っ付いた


「おー。清丸、大儀であったな」


 優しく頭をなでてやると清丸は目を細め気持ちよさそうにしている


「ところで・・・」


 清十郎の目がマリアンヌに向く


「そなた何をしておる」


「その子の母親は誰かでイリアと言い合っていた」


「えっ!マリアンヌそのことは言っちゃダメ!」


 慌てるイリアに清十郎は苦笑いする


「イリア殿、そやつ男じゃよ?」


「え?」


 清十郎はミーニャに視線を向ける


「お主、面白がって黙っておったな?」


 それまで静かに紅茶を口にしていたミーニャがプルプルと震え出す


「・・・ぷ、ぷははは!もうだめ!イリア様、必死になりすぎ!」


 大笑いしテーブルをバンバン叩くミーニャにイリアの思考は理解が追い付いていない

 次第に状況が飲み込めてくるとイリアの顔は赤くなっていく


「イリア殿、ミーニャ殿ははなから知っておったのだよ。おそらくアンガス辺りに儂の話を聞いているはずじゃ。アンガスのイタズラは有名らしいしのう」


 やれやれと嘆息する清十郎

 イリアがミーニャに対し怒髪天をつきかけたその時、イリアの手をそっと握る小さな手があった

 清丸がイリアの手を握りもう片方の手は清十郎とつないでいる


「清丸ちゃん・・・」


 その瞬間、ミーニャの怒りなどチリ紙に等しくどこかに飛んでいった


「うむ。ならそろそろ屋敷にかえるかのう」


「はい。そうしましょう」


 満面の笑みでイリアは頷く


「マリアンヌ、またな」


 清十郎は清丸と手をつないだままその場を去っていく

 その後ろをミーニャが付いて行く


「いいわね。私も子供ほしくなっちゃった」


 清丸が清十郎とイリアと手をつないで歩く後ろ姿が本物の親子のように見えてうらやましくなるマリアンヌだった



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