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第48話 蛇の呪印

いつも読んでいただきありがとうございます!

 腹違いの兄たちが幼い私を罵り足蹴にしている


(ああ、またこの夢だ・・・)


 嫌なことがあるとその度に苛立ちの捌け口にされる


(また、あの瞬間をみなければならないのか・・・)


 侍女や下女、下男に馬鹿にされ泣きながら家への道を歩いていく


(だめだ、行っちゃだめだ)


 幼い私が馬小屋より粗末な小屋に入っていくと痩せこけた女性が板場に藁を敷いただけのところに寝ている


「おかあさん帰ったよ」


 幼い私は家に入ると寝ている女性に近づいていく

 女性は目を開けると幼い私を見つめて優しく微笑んだ


(だめ!もうやめて!)


 やせ細った手を伸ばし幼い私の顔をなでるとその手が力なく落ちる

 

 幼い私はその時死んだとは思わなかった


(ああ・・・死んじゃった。お母さんがまた死んだ)


 小屋の中に下男の男たちが数人、入ってくると女性を荷物を持ち上げるように肩に担ぎあげ出て行こうとする。幼い私が必死に男たちの足にしがみつき、やめてと叫ぶが男たちは無表情で私を蹴り飛ばし


 そこで夢が覚める



「あ、あれ?」


 悪夢から目が覚めると目の前にはしっかりとした木で組まれた天井が見えた

 それにこの感触はなんだと身の回りを見てみるとふかふかとしたベッドの上に自分が寝かされていることに気づいた。衣服も意匠をこらしたネグリジェを身に纏っている


(これは夢?)


「うふふ。おはようかしら。もう陽がのぼっているからこんにちわ?」


 戸惑っていると優しい声が聞こえてくる

 慌ててそちらの方に顔を向けると窓際に青い髪のおっとりとした顔の女性が立っていた


「あなたは・・・」


 と言いかけて女性の服を見て背中に嫌な汗が伝う

 女性の服は青を基調にしたゆったりとした袖の丈の長いワンピースで真ん中に女性の横顔を金の刺繍で

あしらい両肩と両足にそれぞれ2本の金のラインが入っている


(間違いないマリカ教・・・。しかもあの刺繍と2本のラインは司教クラス!?)


「あら?どうしたのかしら?そう怯えなくてもいいわよ?ティリさん」


「なっ!?」


 ベッドの上で寝かされていた少女ティリは自分の名前を言い当てられて驚いた


「なぜって顔をしてるわね。私、あなたの事が見えるの」


 ティリの目の前の女性が優し気な微笑みを浮かべ近寄ってくる

 垂れ目で細い目が今は大きく見える


「や、やめて!」


 ティリは逃れようとベッドから起き上がろうとするがくらりと視界がゆがんで立ち上がることができない


「ふふ。あなた怪我をしていて血をだいぶ失ったから無理しちゃだめよ」


 近寄る青い髪の女性が徐々に自分に近寄ってくる恐怖に体が震えてくる

 必死で逃れようと手だけで後ずさるが後ろはベッドの端で行き止まりだ


 ティリの髪と同じ色の薄茶色の瞳を女性の青い瞳が覗き込んでくる

 ティリは自分のすべてが見透かされる思いがした


「かわいそうな子。小さい時にだいぶ苦労したようね」


 瞳を覗かれぽつりぽつりと女性から紡がれる言葉


「他の兄弟に虐められて、みんなからも馬鹿にされて・・・」


 その言葉にティリは夢の光景を思い出す。歯がカチカチと鳴り震え始める。だがなぜか顔を背けようとしても女性の顔から目を外すことが出来ない。徐々に心が絞られていくような錯覚を起こす


「も、もう、やめて・・・」


 ティリの懇願を無視して女性は口を動かし続ける


「ああ・・・だめ、お母さんが死んじゃう」


「あ、ああぁぁ」


 女性の言葉にティリの心は夢の光景をありありと映し出す


「可哀そうに・・・」


 ティリはカチカチと歯をならし自分を掻き抱くように抱きしめ顔は真っ青だ

 次第に涙がこぼれ全身から汗が噴き出してくる


「大丈夫よ。ここにはあなたを虐めるものはだれもいない」


 優しく優しくゆっくりと


「あなたはもう大丈夫。だからね・・・」


 言葉の毒をしみこませてゆく


「おかあさんに全部はなしてちょうだい。おかあさんがまもってあげる・・・」


 女性が言葉を紡ぐたびにティリの目がだんだんと虚ろになっていく


「おかあさん・・・」


 ティリはその言葉を最後に力が抜け手足がだらりとのびきり首がカクリと前に倒れる

 その顔は虚ろな目を見開いたまま口を半開きにし表情がない人形のようだ

 

 青い髪の女性ポーラはその様子をやさしく慈母の顔で見つめると言葉を紡ぐ


「ふふ。いい子ね。あなたはだれ?」


「・・・わた、しは、てぃ、り」


 ティリは呂律が回らない口で答える


「そう。ティリっていうのね。あなたは何をしにきたの?」


「わ、たし、は、黒・・髪・・ころ、ころしに・・・」


「大変だったわね。誰に命じられたのかしら」


「わ、わ、わた、し・・お・・おにい・・・う」


「う?」


 その瞬間、ティリが胸を掻きむしるように悶えながらその口から大量の血を吐きだした


「!?」


 ポーラがその様子に驚くとティリの胸を中心に真っ黒なオーラがティリを縛り付けるように締めあげていく。さらながら黒い蛇がティリに巻き付いているようだ


「これは蛇の呪印!?」


 ティリが声も出せず血を吐き出しながらのたうち回る

 ポーラはすぐに手を当てると魔力を集める。イメージするのは解呪


「ディスペル」


 ポーラの手から青い大量の魔力がマリカを包む

 やがてティリにまとわりついていた黒い蛇のようなオーラが苦しんでいくように消えていく

 次にポーラはヒールをティリにかけてやると容態は落ち着いていった


「蛇の呪印とはひどいことをするわね。でも、あなたをこのまま自由にするわけにはいかないの。ごめんなさいね」


 ポーラは黒髪、黒目の男のことを思いそう言い残すと部屋を出ていった


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