6月1日 クーラーがクジラのやうに息を吐き
5時起床。
だらだらする。
11時今日は喫茶店で本を読もうと計画してたのだが、マンションのインテリア展示会が今日の9時からだったと担当者の方から連絡があった。
12時半からの予約を入れられるがどうしますかと聞かれたので12時半のインテリア展示会に行くと伝える。
12時半にインテリア展示会へ。
担当者は2人いて、以前打ち合わせをした人と新人のような方だった。
新人の方は少し空回りしてそうな女性で、最初の事前説明で書面をそのまま読み上げるだけなのに少しアドリブを入れようとしているからか、ひどく詰まっていた。
水回りのコーティング、エアコン、カーテンの各商材毎に担当者がいて説明を聞いた。
水回りのコーティングは妻からの強い要望があり注文することになりそうだ。
エアコンは四角い顔にめいいっぱいの笑顔が張り付いた看板のような男に話を聞いた。
最近のエアコンには自動清掃だのAIだのたくさんの機能があり、最近の家電はすごいなあなんて思ったがいかんせん最新家電というのは値段が高い、最新家電はすごいけどとても手が出せるような額ではないな、なんて思った。
また、いろんな機能が付いているからかとても大きい、私が知っているエアコンより倍くらい前に出っ張っており、サンプルとして壁に付けられていたエアコンたちはまるで鯨のように見えた。
最後にカーテンの説明を聞く。
正直カーテンなんてなんでもいいと思っていたので値段がどれくらいかだけ知れればいいかなと思っていたのだが、他に客がいなかったせいか担当者が続々と集まってきた。
こうなると値段だけチェックしてさあ帰りましょうなんて言うことは出来ず、どのカーテンが家に合うかしら、なんて言う店員に合わせて、床がこげ茶色なので重厚感があるものがイイですねーなんて妻は言っていた。
私は興味がなかったので妻の後ろについて回っていたのだが、その事を担当者に気づかれてしまい、あらダメよ旦那さん毎日使うものなんだからしっかり考えないと、なんて怒られてしまった。
別に毎日使うものだろうがカーテンの違いで生活にどのような影響があるのか教えて欲しいと思ったが、担当者たちはカーテンを売る職業であり話が好きなおばちゃんのようでもあったので、そんな事を聞くとたっぷりとカーテンの素晴らしさを話されると思ったので言わないでおいた。
おばちゃんに、まあまあ妻に任せているので…と言うと、じゃあ奥さんがカーテンを決めて旦那さんにはタッセルを決めてもらいましょう!とテキパキと言った。
タッセルとはなんだ???と思ったので、タッセルってなんですか?と聞くと、あら気になりますか笑、という顔を少しされ、タッセルとはカーテンをまとめる帯のようなものだ、と教えてくれた。
妻がカーテンを選び、それに合わせてタッセルを3、4本持ってきてもらった。
担当者が持ってきたタッセルは捻った紐に糸で作った玉をつけたようなもので、僕が知ってるカーテンをまとめるものとは違った。
カーテンをまとめるのにこんなものは果たして必要なのだろうか。
実家でも学校でも会社でも知り合いの家でもこんなものを使ってカーテンをまとめているのを見たことがない。
みんなカーテンと同じ布で作った帯みたいなのでまとめていたので、そのねじり紐と糸玉で作ったタッセルを見て、そんな仰々しいものでカーテンをまとめる必要はないんじゃないかと思った。
担当者に、さあどれがいいですか、と言われたので、どれも仰々しいですね、というと担当者たちから笑われてしまった。
恥ずかしくなったので、すぐに担当者が持ってきたタッセルの中から1本選んで話を終わらせることにした。
カーテンの見積もりは時間がかかるとのことだったので郵送となったが、どれも高いなあという印象だった。
それぞれ担当者は1月当たりだと非常にお得な金額であるとか電気代まで含めるとお安くなりますと言うが、買うときは一括で買うわけであるのでそんなお得を示されても困るのである。
とりあえず全てその場で即決はしないと伝えたら、担当者はやる気をなくしたのか、少し舐めた態度を取り始めた。
その場で即決をしたら5%オフで、8日以内ならキャンセルも可能ということで、とりあえず今日注文をして後で不要だと思ったらキャンセルの連絡を入れたらいいじゃないですか、という提案があった。
私は一度注文をしてしまうとキャンセルの電話を入れるのがめんどくさくなってしまいそのままズルズルとキャンセル期限を過ぎてしまうだろうなと思い、5%オフは惜しがそれでも即決はしないと伝えた。
すると担当者に、5%くらい大した額と思ってないんですね笑、と言われ、ちくしょうこのやろう!と思った。
しかし、担当者には長々と説明をさせてしまっていたので、担当者の方でも即決しない私たちに対して、ちくしょうこのやろう!と思っているかもしれないな、と感じた。
最後に見積もりやらカタログをもらってインテリア展示会は終わった。
長い説明な上、朝飯も夜飯も食べてなかったのでクタクタになった。
帰り道は歩いて帰る。
途中、スシローがあったので昼飯として入る。
最近ものをあまり食べないせいか何か食べるとすぐにお腹がいっぱいになってしまう。
そのため食べるものを慎重に選ぶようになった。
以前だと、回転寿司は注文はせずに流れてくる皿を気になったらとるというスタイルで、知り合いからは、回転寿司でこんなに流れてくる皿をとる奴を初めて見たよ、と言われるほどだった。
しかし、食べる量が減ってしまった今となっては流れてくる皿をとるというのはなんだかもったいない、という気持ちになるので遠慮した。
スシローはタッチパネル注文形式で寿司を何皿かとガーリックシュリンプ、ラーメンを注文した。
最近の回転寿司はサイドメニューが豊富だ。
スシローを出て歩いて家まで向かう。
妻が先日買った『白い巨塔』を読むために喫茶店を探す。
歩いていると個人で経営しているような喫茶店があったので中に入った。
扉を開けると、店内は薄暗くぬるく、埃の匂いがした。
テーブルは5つほどあり、椅子は革張りの椅子で長年使われたからか座る部分はヘコんでいた。
常連のようなおばさんと店主のおばさんが喋っており、僕らに気づいた店主が特になんの感情も湧いていない声で席を案内した。座席にはメニューどころか何も置いてなく、店の前にあった看板には軽食・喫茶と書かれてあったが何があるんだろうかと思った。
店主がおしぼりと水を持ってきて、注文はどうするか聞かれたが、メニューが無いので、これくらいはあるだろうとアイスコーヒーを注文した、妻もアイスコーヒーを注文した。
店内は埃臭かったので出された水も赤錆のような味がしたらどうしようと思いしばらくは水を飲むことができなかった。
注文を済ませた後、一息つき私と妻は本を読み始めた。
妻は『白い巨塔』、私は『ジョン万作の逃亡』だ。
店内は私たちの他には常連のおばさんが一人。
また、テレビが点けてあり音量が大きかった。
常連のおばさんは私たちに遠慮しているからか、店内に入った時よりも小さな声で話し、しばらくしたら帰った。
店主は常連が帰った後、アイスコーヒーを作るためにキッチンにこもった。
キッチンからはアイスコーヒーを作っているであろう、ガガガであったりゴポゴポといった音が聞こえてきたが、店主はアイスコーヒーを作るにしては非常に長い時間キッチンにこもっていた。
アイスコーヒーを持ってきた後、店主は話し相手がいなくなり暇になったからか私たちの席の隣の席に座った。
それからしばらく本を読んでいたが、突然店主がこちらに話しかけてきた。
「お兄さんたちこの人知ってる?」
店主はチラシを差し出し、チラシには若い男の人が写っていた。
「この人、シンガーソングライターなんだけど知ってる?」
チラシの男はたしかに売れてないシンガーソングライターのような顔だなと納得し、知らないと伝えた。
「私も知らないんだけどこの人どんな歌を歌うんかねえ」
と店主は言った。
衝撃だった。
本を読んでいる人にわざわざ話しかけるくらいなので、チラシの男は店主の親戚かなんかで、今度ライブをやるから聞きにきてね、というような話だと思っていた。
まさか話しかけてきた店主までがチラシの男を知らないとは。
店主はチラシをもらった経緯、野外ライブについてをどんどん話し始めた。
まさか誰も知らない男の話からこんなに話を広げてくるとは、と少し面白くなったが、話の内容は別段面白くはなかったので、店主の話を露骨に無視し本を読むことにした。
妻は気まずく思ったのか、店主の話に相槌を打っていた。
店主は一通り話すと満足したのか隣の席に座ってボーッとしだした。
私と妻は本を読み1時間半くらいで店を出た。
『ジョン万作の逃亡』の中の『ラジャダムナン・キック』と『ブンガク的工事現場』読了、『ラジャダムナン・キック』は旅ルポ風小説で細かい描写が良い、『ブンガク的工事現場』は工事現場にブンガクを見出す同人達の話で無さそうだけどありそうな話が面白い。
会計をする際、メニューが無くて値段がわからなかったので高かったらやだなあと思ったが、普通の値段だった。
帰り道、スーパーに寄って惣菜を買う。
帰宅。
夜飯、なし。
妻はスーパーで買った油淋鶏を食べた。
だらだら。
24時就寝。




