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1 異世界に来たら俺は農業をやっていた

 


 ユウスケは下の何かを取る様な姿勢で、何度か瞬きをして周囲を見回した。

 そこは、草原で今までいた場所と全く異なるため、不思議に思い辺りを見回していた。

 そんな時に声をかけられる。



「おい、何でそんなとこで突っ立ってっんだ? 続きやらんのか?」



 その声がする方を向くと、麦わら帽子を被り体には泥が付いており首にタオルを巻いたオッチャンがいた。



「えーっと....え?」

「なんだその表情は? 太陽にやられたか?」



 そう言って近寄って来るオッチャン。

 ユウスケは恐る恐る聞いた。



「あの....ここどこですか? それにあなたは....」



 その問いかけにキョトンとするオッチャンだったが、すぐに何かを理解したのかユウスケの背中を叩いた。



「なるほどな! 今日はそう言うコミュニケーションだな! お前は面白いな!」

「いでぇぇ....で、どこなんですか?」



 ユウスケが聞き返すと想像もしてない答えが返って来た。



「ここは、南の村〈ハマラジ〉だよ! そしてあんたは、この村の農家長ことユウスケだろ!」

「南の村....農家長....え、え....」



 突然の事に理解できないユウスケは、何とか理解しようとしたが頭がパンクし直立に立ったまま、白目になっていた。


「さっ! ユウスケ、早く戻って畑耕そうぜ!」


 オッチャンは颯爽と来た道を戻って行った。

 主人公は未だに直立不動していたが、すぐに膝からに崩れてorz状態になり地面に向かって叫んだ。



「何が! どうして、こうなったんだ――――!!!」




 ――――遡ること数時間前



 ユウスケは家に戻る道を歩いていた。


「あーあ。タケルの奴、遊びに誘ったのに今年の夏は家にこもると言いやがって。ユウスケもいい夏過せよってなんだよ....」


 ユウスケは道端の石を蹴ってボヤいた。


「高校生になって、2回目の夏休み何だから何かやろうぜって思わないのかな〜」


 石を蹴り続けていたが、そう呟いた時道から外れて無くなってしまった。


「あっ....まぁいいか。もうすぐ家着くし。」


 そう言って家まで一直線の道に出ると向かいの方から麦わら帽子を被り、長い綺麗な髪をなびかせた女性が歩いて来ていた。


「あ〜....」


 ユウスケは遠いながら一瞬見とれてしまった。

 だが、すぐに冷静な顔を作り背筋伸ばして歩き出した。

 そして女性とすれ違った瞬間だった。

 女性が大勢を崩しユウスケ側に倒れて来た。


「きゃっ!」


 それにユウスケは反応出来ず、肩がぶつかり合った。

 その時ユウスケの肩に痛みが走ったが一瞬のことだったので気にしなかった。


 そうして、ユウスケは肩で女性を支え、手も出したが、その手が使われる事なく倒れる事を防いだ。

 女性はすぐに大勢を戻し、お辞儀をして足早に去って行った。



「あっ....行っちゃた」



 ユウスケは少し残念そうに呟いた。


「でも、倒れて来た時すごくいい匂いしたな〜」


 鼻の下を伸ばしながら少しニヤついて、そのまま帰路に着いた。

 家に着いてからは、自分の部屋で漫画を読んでいた。


「あぁ〜あ、俺もこの漫画みたいにタイムリープできたら未来とか過去に行ってみたいなぁ〜」


 そう呟き、立ち上がってポーズを取ったり、剣を振り回す行動をしたりしていた。



「この先俺が、異世界転移してたりしないかな〜....ありえないか」



 そう言って床に置いた漫画を片ずけようとした時だった。

 肩の辺りが突然と光り出し、一瞬でユウスケはその光に飲み込まれた。


 次の瞬間、見たこともない草原に下から何か取る様な姿勢で立っていた。

 そうして冒頭の状態になっていた。



 --------



「あ――――――――」



 ユウスケは体育座りして、数分ずっとただただ声を出していた。


「全然整理できねぇ....さっきまで部屋にいたのにいきなり草原って....それに南の村ってどこだよ。でも、日本語話してたし、日本だよな....」


 体育座りをいながら状況の整理をし出した。


「そういえばあのオッチャン、俺を知ってたな。ここで考えてても、しょうがない気がして来たし、あのオッチャンに正直に言って教えてもらうか....」


 ユウスケはそう決めるとすぐに立ち上がり、オッチャンが去って行った方に歩いて行った。

 数分歩くとそこに小さな村があった。

 目を凝らすとさっきのオッチャンがいたので駆け寄って行った。


「な、オッチャンちょっと聞きたいんだけど?」

「どうしたユウスケ?」


 オッチャンはクワを置いて話を聞いた。


「俺ちょっと記憶喪失みたいで、何でここにいるのか分からないんだが、知ってる事あるか?」

「なんだって!? 大丈夫なのかユウスケ!」


 オッチャンはユウスケの言葉を聞いて慌ててユウスケの両肩を掴んで揺らす。


「大丈夫だから....それより....何か....」


 揺らされながらも問い続けたユウスケ。


「大丈夫ならいんだ。だがな、すまん! ユウスケ、俺もお前のこと詳しく知らないんだ」


 手を自分の頭においてユウスケの問いかけにオッチャンは答えた。


「そうか....」


 ユウスケは手がかりが無いことに落ち込んでいたが、次の言葉に再び食いつく。


「でも、お前がつけてるって言ってた日記を見れば分かるかもな」

「ほ、本当か!? それはどこにあるって言ってた?」

「それは、あそこに見えるお前の家じゃないか?」


 オッチャンは指差してユウスケが住んでいた家を指した。

 それを見て走り出すユウスケ。


「サンキュー、オッチャン!」


 一瞬振り返って感謝をしてすぐに一直線に家に向かって行った。

 そこにオッチャンの知り合いがやってきた。



「おや? あれはユウスケじゃないか? どうしたんだい、あんなに急いで?」

「ユウスケの奴、記憶喪失になっちまったらしいんだ」

「そりゃ、大変だな....」



 ユウスケの後ろ姿を見ながら2人は話し続けた。



 --------



「はぁ、はぁ、はぁ....ここか....」


 ユウスケは息を切らしながらオッチャンに教えてもらった自分の家の前に到着した。

 そこには看板が立ててあり、自分の名前が書いてあった。



「間違いないな....よし」



 息を整えて、家の扉を開けた。

 そこにはベットとキッチンがあり、端に机があるシンプルな部屋だった。


「思ってたより質素な部屋だな」


 ユウスケが部屋に入って物色していると端にあった机の前で止まった。


「これは....」


 そこにあったのは、日記だった。

 ユウスケは椅子に座り読みだした。



 ------


 5日目

 今日から日記をつけることにした。

 今俺は、南の村〈ハマラジ〉という場所で農民をやっている。

 何で農民をやってるかと言うと....


 ------



「何で変なとこで切れてんだよ、俺!」


 ユウスケは自分の日記を読んでツッコンだ。


「一旦休憩して書くの忘れたな、俺....」


 そう呟き、次のページをめくった。



 ------


 7日目

 昨日は畑耕して疲れて書くの忘れた。

 てか、何で俺は農民をやってんだよ!

 あーこれも全部あの時の選択を間違えたからだ!

 もう疲れたし思い出したらイライラしてきたか今日は寝る!!!!


 ------



「おいおい、何があったんだよ俺....てかマジで農作業やってたのかよ」


 そして次のページに目をやって続きを読みだした。



 ------


 たぶんこの世界に来て1年くらい経った。

 あれから、農作業に打ち込んでいたら村の農家長を任された。

 必要とされて何かを任されるなんて初めてでマジで嬉しかった。

 村の人も見ず知らずの俺を受け入れてくれてマジで優しい人達だ。

 でも、ふとあの時の選択が頭をよぎる事がある。

 高校2年の夏の終わりどきに出会った『調整者』と名乗る奴に異世界に行き何になりたいと言われた時の選択だ。


 ------



「....何だよそれ....じゃ俺は、異世界にいるってのか?」



 ------


 その時俺は、戸惑ってしまい言葉がすぐ出なかった。するともう1人いた奴が、勇者になりたいと言ったんだ。

 それにつられ俺も遅れて言ったが、早い者勝ちと言う事で俺は勇者になれなかった。

 そして俺は、そのまま異世界に飛ばされ、気付いたら森の中にいた。

 そこから歩き続け、南の村〈ハマラジ〉にボロボロになりながら着いたってのが1年前の出来事だ。


 ------



「....これは夢か? ....イヤイヤ、にしてもリアル過ぎる。....ここに書いてある事が本当なら、俺は自分で選択して異世界にいることになる。しかも1年以上....」


 ユウスケは少しの間呆然としていた。

 その後ゆっくりと深呼吸をした。



「一回落ち着け俺....この展開は俺が望んでたものじゃないか。異世界に行きたくて、来れたんだから夢が叶ってるんだから喜ぶべきだろ。」



 そう自分に言い聞かせたが、気持ちは何故か上がらず椅子に座ったままだった。



「....なんか思ってたのと違うって言うか....理想と現実のギャップの差がデカくて、どうすればいいんだ....」



 ユウスケは、机に片腕をついて頭を抱えた。


「もっと異世界ってのは、キラキラしてるもんだと勝手に思ってた。こんなんじゃ、元の世界の方がよっぽど楽しいなぁ....」


 ユウスケは自分の現状を受け入れ、こんな生活を続けていく自信もなく、元の世界に帰りたいと考え始めた。

 すると、日記の次のページの上と下が折れ曲げられていることに気づいた。



「これは、よく俺がやるノートの目印」



 ユウスケはすぐに次のページをめくった。

 そして、そこに書いてあった内容に自分でも驚いた。


「これは....」


 そこには、今後やるべき事や新聞の一部を切り取った物がいくつか貼られていた。

 そして一番目立つ箇所に二重丸をつけてある言葉が書かれていた。



 ------


 勇者をヤる為に、あの選択の時に戻る!!


 ------



 それを見て、その周りにいくつかの言葉が書かれていた。


「後悔」、「現状維持はマイナス」、「勇者としての人生」、「選択をやり直す」


 それを見てユウスケは、隅々までこのページを読み込んだ。

 そしてそれは、その後何ページにも及んで書かれておりその全て読み込んだ。



「なるほど、異世界ならこれがあっても不思議じゃない....」



 ユウスケは、日記書かれた計画を理解した。


「ふふふ....凄えよ、俺。ここまで考えるなんて....」


 ユウスケはここに書かれた内容は、未来の自分が書いた事に笑ってしまった。

 それは普通の人が見ればブッ飛んだ内容で、おかしいと思われる内容だったが、ユウスケ自身はこの内容を読みこれを使ってある事を考えつく。



「よし、決めた! 俺はここに書かれたタイムリープってのを使って過去の俺に戻る!」



 この時のユウスケはただ元の世界に戻ることのみを考えていた為、それ以外に思いつくことはなかった。

 そしてユウスケは日記を前のページに戻して、立ち上がった。



「まずは、この世界の中央王都〈セント〉に向かって、西の魔女って奴の情報を集める事だな」



 するとそこに、入り口の扉を叩く音が部屋に響いた。



「おーい、ユウスケ。どうだ、何か思い出したか?」



 その声は、初めて声をかけてくれたオッチャンだった。

 だが、ユウスケはすぐに答える事なく黙っていた。



「そのだな....やっぱり心配で来ちまった。お前は、もうこの村にとっちゃ家族も同然な存在なんだ」

「っ!」


「こんな事、恥ずかしくて言った事ないが、お前が困ってんなら力になりてぇんだ! お前さんは俺達の事をたくさん助けて来てくれた。だから今度は俺達がお前の力になりてぇんだ!」



 扉の向こうでオッチャンが力強くユウスケに訴えた。

 それにユウスケは、扉の所まで歩き扉を開けた。

 するとそこには、村の人達が集まっていた。



「えっ....何でこんなに....」

「ユウスケ....そんなのさっき言ったろ。みんなお前の力になりたいんだよ!」


「ユウスケ、コイツから聞いたぞ。記憶喪失なんだってな。何か思い出せたか?」

「何か思い出すキッカケの物を持って来ようと思ってほら、写真とか持って来たよ。」



 ユウスケは村人達の何か助けになりたいと言う気持ちを受け、自然に涙が出ていた。


「えっ....え、え....」


 ユウスケはすぐに気付き、両手で涙を拭き始めた。


「ど、ど、ど、どうしたんだユウスケ!」

「どこか痛めたんじゃないのかい?」


 村人達は『オロオロ』とし出したが、すぐにユウスケは答えた。



「いや、何でそんなに優しくしてくれるんだろうって。みんなのこと全く分からないのに、何でそこまで出来るんだろうって思ってたら勝手に....」



 ユウスケは泣き、鼻をすすりながら答えた。


「俺はそんな大した奴じゃないし、何で、何でそんなに一生懸命に、自分のことの様に思ってくれるんだよ....」


 そのユウスケの言葉に、オッチャンがゆっくり近づき両肩を掴んだ。



「何言ってんだ、これはお前が俺達にしてくれた事と同じだよ」

「え?」



 ユウスケが聞き返すと村人達が答えた。



「アンタがこの村に来た時は、あんまり若い者もいなくて沈んでいたんだがな、アンタがみんなに優しくしてくれ、アンタと話すとこっちも楽しくなって来たんだよ」


「困ったら出来る範囲で助けてくれて、ダメなら出来そうな奴を探して来てくれて本当に助かった」


「ユウスケのお陰で、この村に活気が戻って来たんだよ! 忘れかけていた、村人同士の繋がりを思い出させてくれたしな!」



 それぞれの言葉に村人は大きく頷いた。

 そうして最後にオッチャンが話した。


「そんなお前が困ってんだ。次は俺達が助けるのは当然なんだ!」

「でも、それをしてきたのは今の俺じゃない......俺はアンタらが助けたいと思うユウスケじゃないんだ!」


 それに一度村人達は黙るが、またオッチャンが話し出した。



「例え、お前が俺達と一緒に時間を過ごしたユウスケでなくても、記憶を失っていても、どんな状態であろうと、今俺達の前にいるお前が今のユウスケなんだろ。そいつの力に俺達はなりたいんだ!」


「うぅ....うぅぅ....」



 ユウスケは下唇を噛みながら、涙を拭いて今の状況を村人達に全て話した。



 ------



「なるほどね、アンタは過去から来たユウスケで、元々はこの世界の人間じゃなくて、自分の日記を読んで元の世界に帰る方法を思いついたってわけかい」


 村人の解釈に間違いはない為、ユウスケは頷いた。


「そんで、どんな方法で帰るんだ?」

「タイムリープだよ」

「た、たいりょうぷーる?」


 その問い返しにユウスケは、一瞬コケそうになるが踏ん張りもう一度ゆっくり伝えた。


「タ・イ・ム・リ・ー・プ」

「そのタイムリープ......って何だ?」


 その返答は少し予想していた為、驚く事はなかった。

 とりあえず、ノートに書かれている通りに説明した。



「タイムリープってのは、時間を越えて瞬間的に過去や未来に移動するすごい力のこと。でも行けるのは、過去・未来の同一個体の自分の存在に依存するから、自分が生きている時までしか行けないんだ。」



 そのユウスケの説明に村人達は『ポカーン』としていた。

 それを見てユウスケが簡潔にまとめた。


「つまり、タイムリープって力を使えば元の世界に戻れるかもってこと」


 それには村人達も何となく分かったのか、ザワつき出した。


「で、そのタイムリープってのはユウスケは持ってるんか?」


 少し言いずらそうに、言葉を使って問いかけた。

 それにユウスケは首を横に振った。


「じゃ、どうすんだってよ?」

「このノートによれば、中央王都〈セント〉で西の魔女の情報を集めろってあるからまずはそれをして見ようと思う....」


 その返答に村人達は黙ってしまった。


「(あれ....俺、今変なこと言った?)」


 周りの雰囲気を察してユウスケは自分の言動がおかしかったのではと思ってしまった。

 するとオッチャンが、その空気を一変させた。


「何しょげてるんだ、お前ら! ユウスケはもうやる事を決めてるんだ、それを後押ししてやらんでどうする!」

「そう....だな....やる事が決まってるならすぐ行動に移すべきだぞ、ユウスケ!」

「で、いつ出発するんだ?」


 何か先程までと違い少しぎこちない感じで、村人達が話しかけて来ていた事に気付く。


「できれば、すぐにでも....出発しようかと....」


 その返答に多くの村人達が、動揺した。

 それを見てユウスケは、その理由が分かった。



「(そうか....中央王都に行くって事はこの村を出て行く事だから、みんな俺が出て行くのが嫌なのかな....)」



 ユウスケは少し自意識過剰的な考えをしていたが、この考えは外れてはいなかった。


 村人達は、まさか村を出て行く決断をしていると思っておらず動揺しており、送る出したらもう二度と帰って来ないのだと理解したためだった。

 するとユウスケが、目線を上にしながら話した。



「あ〜でもやっぱり、出発は明日にしようかな....急いで準備をするより、しっかり準備をした方が安全だしな〜....」



 その言葉を聞き、村人達は先程までと違い少し活き活きした感じでユウスケに話しかけた。


「そうか、じゃあ何から準備するか」

「地図とかも必要だろ。後うちにある使えそうな物持って来てやる!」

「今日は英気を養える様に、ご馳走を作ってあげるわ!」


 そして村人達は一斉に行動し出した。



 ------



 そこからは、村人達と一緒に出立の準備を行った。

 バックや地図から、役に立ちそうな道具などをそれぞれの村人の家に行ったり、貰ったりした。


 その日の夜は盛大なパーティーの様に盛り上がり、村人達との親睦も少し深めた。

 そして出立の朝。



「よし、荷台に乗りな。昨日言った通り、中央王都まで移動出来る、馬車が出てる村まで送って行くぞ!」



 村人の1人が馬を引き、荷台に乗る様にユウスケに言葉をかけた。

 するとユウスケは、荷台に乗る前に村人達の方を向いてお礼の挨拶をした。



「本当に、色々助けてくれたり、手伝ってくれたりしてくれてありがとう! 俺にとっちゃ短い間だけど、親睦も深められて良かった。」



 その言葉に少し涙ぐむ者もいた。

 するとオッチャンが一歩前に出て、ユウスケの肩を叩く。



「やるからには、諦めずに最後までやりきれよユウスケ!」

「もちろんだ、オッチャン!」



 ユウスケは力強く返事をして荷台に乗った。

 そして馬の手綱を引っ張って、出立した。



「ユウスケ! 俺達が付いていることを忘れるなよ! 何かあれば頼ってくれよ!」



 その言葉に続き、他の村人達もユウスケに叫んだ。

 そしてユウスケは、言葉を聞き大きく頷き立ち上がって両手を大きく振って答えた。



「みんなー、ありがとうーー! いってきまーーす!」



 ユウスケは村人達が見えなくなるまで手を振り、声を出し続けた。


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