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Our Armed Life.  作者: 水龍
転入編
9/11

After the accident

毎話1000字前後で収めたいと思っているのにどうしても長くなりますね(オイ)

今回は日常色の濃い1話なので、のんびり読んでいただければ幸いです。

学校から駅に向かう途中にある、ちょっとオシャレなカフェへ俺たちは足を運んだ。時間帯的にはピークをちょうど超えたところで、7人がまとまって座れるスペースはなんとかありそうだった。


「先に席取っとくね!」


「いつものやつでいいよな?」


「うん!よろしくね〜」


美優(みゆう)大河(たいが)にそう告げると、軽い足取りで窓際の席に向かって行った。頼むものが決まっているってことは、このメンバーの行きつけの店といっても過言じゃないようだ。なんつーかオシャレだな都心の高校生……普通駅前のマックとかファミレスじゃね?行くとしたら。


流星(りゅうせい)ひょっとして、高校生がなんでこんなとこに来てんだーとか思ってるだろ!」


注文待ちの列で並んでいると、大希(だいき)がニヤけながら聞いてきた。悔しいが図星だ。


「華のJKが一緒だからね〜」


すると理玖(りく)が俺の疑問に答えてくれた。なるほど、美優のことを考えてのチョイスなんだな。よく見れば確かに客の年齢層は女子高生(JK)やOLなど若い女性が多く占めている。カップルは別として、男が来ようとは思わないところだな。


「大河も粋な計らいしてくれるよなぁほんま」


「ばっ……バカ言え!そんなつもりじゃねぇよ!」


(れん)の一言に注文中の大河が振り返って大声を出す。おいおい動揺しすぎじゃねぇか大河?まぁ気遣いは大事だとは思うけどよ。(ちなみにその間に陸人(りくと)がさっさと注文を済ませていた)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


注文を終えたところで、俺たちはナンバープレートを持って美優が待つ席に向かった。


「流星〜歓迎会も兼ねてるから真ん中座りなよ〜」


「いいのか?」


「もちろんだよ〜ほら、早く早く」


理玖に促されて俺は1番真ん中の席に座る。しかもさり気なく美優の目の前じゃねぇか……!思わず心の中でガッツポーズをした。


それから他の奴らも適当に座って、先にレジで受け取っていた飲み物を片手に乾杯をした。(もちろん周りの迷惑にならないように声は抑えて)


「それにしても大河と流星が同中だったとはな……」


俺の斜め右前に座っている陸人が、アイスティーにミルクを注ぎながら言う。


「いやぁオレも最初大河から聞いた時は驚いたぜ。てっきり友達ができなくて紅葉橋(もみじばし)に来たのかと」


「悪いなお前ら。来たら先に食べててくれ、ちょっと外すわ」


「冗談ですごめんなさい」


両手を上げて小さく縮こまる大希に対して、大河は軽く舌打ちをして自分の席に戻っていく。さっきも思ったが大希の奴、大河の扱いに慣れてるな……あの誰にも指図を受けない大河がこんなに踊らされているのは初めてだ。


「ところで大河は流星くんが来るって誰から聞いたの?」


確かに美優の疑問はもっともだ。誰かが転校してくることなんて、普通は転校生本人が黒板の前で紹介されるまで分からない。今日から新しい学年での新学期だし、去年の担任が言う訳もない。ましてや校長が直々に教えることもないはずだ。


それなら一体誰が…………


「んなもん1人しかいねぇだろ」


「「「え?」」」


みんなが頭上に疑問符を浮かべる中、左隣に座っている理玖だけは様子が違った。


「なるほど〜さすが(あずさ)だね」


理玖の答えに大河はため息を漏らすが、アイスコーヒーを一口飲んで続けた。


「俺もなんでそんなこと知ってんだって聞いたけど『そこから先は企業秘密だ』ってはぐらかされた」


つまるところ、俺が紅葉橋に転校してくるという情報がどういうルートで梓に伝わったのかは謎に包まれているってことか。


それにしても一体何者なんだ梓は?桐谷(きりたに)先生を捕まえる作戦の指揮を任されたり、高校生がどう足掻いても入手できないような情報を知っていたり……ただ者でないことは確かだ。


「そーいえば、流星は梓に会っても大丈夫だったみたいやな」


ハンバーガーやパスタなどメインの料理が揃ったタイミングで蓮が言った。


「全く……お前らがビビらせるようなこと言うから身構えてたけど、普通に良い奴じゃんかよ!」


出会い頭に()られると思って攻撃したけどな。ここでは伏せておこう。


「ほらね〜僕が言った通り〜」


「怒らせると怖いのは事実だけどな」


理玖の言ってたことは本当だと思うし、一方で陸人が言ってることも分かるような気がする。転校初日で圧倒的に知らないことの方が多いが、まぁこれから徐々に分かっていくだろう。


俺はひとまず目の前にあるハンバーガーにかぶりついた。

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