A girl under lock and key
少し間が空いてしまい申し訳ございませんm(_ _)m
持ちネタが少なくなってきたのでそろそろ設定集とかキャラ紹介で繋ごうかな…←
身の危険を感じたツインテールの女子高生女子高生は数歩後ろに後ずさりした。
「君は……転校してきた井上 くんだね?」
白衣を翻して桐谷 先生がこちらに来たので、俺は気を取り直して話を続ける。
「すみません、お取り込み中でしたら日を改めますが」
「いやいやそれには及ばないよ。海皇からの生徒さんと話せる機会なんてめったにないからね」
海皇は俺が前にいた高校の名前だ。全国的にも有名な中高一貫の男子校で……なんて説明してる余裕はねぇ!
それより意外といい感じじゃないか?俺は横を走り抜けるツインテールの子を一瞥すると、そのまま桐谷先生との会話に花を咲かせた。
「ところで……海皇の高等部なら授業ペースもさぞかし早いのでは?」
「そうですね、高1で高2の内容も半分叩き込まれたので」
「となると1学期は物足りなくなるかもしれないな……どうだ、個別添削をするのは」
「ありがとうございます。ぜひ」
「––––––––悪いが1学期は我慢しろ」
「ちょっと待って下さい!先程提案したのは先生の方…………って、え?」
話に夢中になって気付かなかったが、いつの間にか桐谷先生の首根っこは西園先生に掴まれていた。
その時何かが床を滑って桐谷先生の足元に置かれた。
「……監禁趣味があるとは知らなかったぜ」
背中から梓の声がしたので振り返って見てみると、後ろにはさっきのツインテールの子が裾を引っ張って隠れていた。
ものの正体は手錠。警察官が犯人を逮捕する時に使うあれだ。Mっ気の強い人なら喜びそうな道具だが……そんなこと俺に言わせないでくれ。
「理科室の薬品保管室にあったやつだ」
「今までの行動もバッチリ収めてまーす♪」
手錠の場所を教える大河、ビデオカメラを回している大希、そして周りを取り囲むクラスメート達に桐谷先生の顔色はみるみるうちに青ざめていった。
「お前ら……一体いつから……!?」
桐谷先生が苦虫を噛み潰したような顔で俺たちを睨む。というか俺もぶっちゃけ話が飲み込めていないんだが……要するに、新入生の女の子が1人になったところを狙って捕まえ何か良からぬことでもしようとしてたってことか?
「話は今からゆっくりと聞かせてもらう。……お前らは帰っていいぞ」
「「「へーい」」」
「待て!まだ私の質問に答えて––––––」
桐谷先生は西園先生にホールドされたまま引きずられて行ってしまった。
解散の指示を受けてクラスメート達も次々とその場を後にする。何事もなく、まるで下校時間を迎えて帰るかのように。
「さーて昼メシ食いに行こうぜー」
「どうするよ、ファミレスは出禁くらってるし……ラーメンにすっかぁ」
「……流星、お疲れさん」
周りが昼飯の相談をする中、大河が俺のところにやって来た。後ろには大希と美優もいる。
「さすが中学からのダチだけあるよなぁ、ドンピシャだったじゃんか」
「大河から聞いたよ!作戦成功したんだね!」
「あー……まぁな」
俺は反応に困って曖昧に答えてしまう。正直何かしたって訳でもないんだけどな。ただタイミング良く先生に話しかけただけだし。
「もっと胸張れよ流星!」
「そうだぜ!桐谷のヤツ、俺らの話なんかちっとも聞かねーからな……」
気が付けばまだ帰っていないクラスメートが群がってきていて俺を褒め称えていた。さっきまで女子じゃねぇなら来んなって貶してたくせに……一体どういう風の吹き回しだ?
「まぁまぁ無事可愛い後輩も救えたことだし、早く昼食べに行こーぜっ!」
大希に背中を押され、俺は大河と美優、そして合流した理玖、蓮、陸人と一緒に学校を出た。
それにしても何なんだこのクラスは……学校の不祥事を未然に防ぐなんて普通するか?風紀委員じゃあるまいし……何か裏がありそうだぜ全く。