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Our Armed Life.  作者: 水龍
転入編
5/11

Mates

今回の話は区切れがちょっと悪くてだいぶ長くなっております、ご了承下さい。

(読む際はPC推奨)

井上流星(いのうえりゅうせい)……坊っちゃん高校の奴がどうしてここに……』


『しかも大河(たいが)と面識があるとかタダ者じゃねぇな』


『『『1度礼儀ってヤツを教えてやる必要があるか…………』』』


自己紹介を終えて俺は1番後ろから2番目の席に座らされたものの、クラスメイトほぼ全員から憎しみに満ちた視線を浴びていた。


てかどういうことだ!聞いていた話と全く違うじゃねぇか!!なんて言うかこう……教室中にシトラス系だったりフルーティー系の香りが漂う上品なのを想像していたのに実際はどうだ!


甘い香りがすると思ったら誰かが飲みかけているいちごミルクだぞ?ふざけるのもいい加減に…………



「……久し振りだな、流星」



ふと真後ろに座る奴に声をかけられて俺は我に返った。HR(ホームルーム)中にもかかわらず喋り声や呪いのような呟きが飛び交う中、俺は少し体を傾けて小声で応える。


「大河お前……連絡も全くよこさないから心配してたんだぜ?」


「悪かった、それについては謝る」


「いや別にいいんだ。ちゃんと馴染んでるみたいだし……」


先ほど俺を見て真っ先に声を上げたのは橋本大河––––––––俺が前にいた中高一貫校の中等部でよくつるんでた悪友だ。


当時少し浮いていた俺に真っ先に話しかけてくれた恩人でもある。いろいろ訳あって高等部に内部進学しないで別の高校に進んだとは聞いていたが……まさかこんなとこで再会できるとはな。神様も気まぐれなもんだ。


「つかそれよりこの学校に………………」


俺はそう言いかけてやめた。そして教室の外に全神経を集中させる。



タッタッタ…………



ローファーで廊下を軽やかに駆ける音が聴こえ、教室の前で止まる。



ガララッと後方のドアが開く。一瞬だけ教室が水を打ったように静まり返るが、すぐにまた皆駄弁り始める。



しかし俺はその遅れてきた人物に釘付けだった。




肩まで伸びた黒髪に整った顔立ち。黒いブレザーの袖からはチャコールグレーのカーディガンが覗く。膝上15cmの赤チェックに足元は黒のハイソックスとこげ茶色の革靴(ローファー)を合わせている。



紛れもなくそこにいたのは華のJKだった。



「……電車の遅延だな?黒崎(くろさき)


「そうです、遅れてすみません…………」


黒崎さん……っていうのか、彼女。そういえば俺が乗ってきた電車の1本後が車両点検か何かで止まったってアナウンスが流れてたっけ。彼女はその電車に乗ってたのかもしれないな。


「構わない。……始業式後は遠藤(えんどう)に任せている。奴の指示に従うように」


西園先生がそう言って教室を出て行くと、クラスメイト達の声が大きくなった。立ち上がっては仲の良い者同士で集まり、普通の休み時間の光景が目の前に広がる。


いやちょっと待て。


遠藤って誰だ?しかも今日は始業式以外に何か行事があるのか?


「あ!流星くんだよね?」


困惑する俺に後ろの方から天使の声がかかる。この声は…………まさか!?


「黒崎……さん?」


「あはは、美優(みゆう)でいいよ〜大河から話は聞いてるよ!中学一緒だったんだよね?」


名前キタァーーーーーーッ!!!!!


しかも……なんだって?大河が俺のことを話してくれたって?なんて良い奴なんだお前は––––––––


「待て大河!さてはお前、転校生が男だって知ってやがったな!?」


「なんで黙ってた!」


ところがクラスはブーイングの嵐に包まれていた。てか俺そんなに歓迎されてないのか?


「言ったら面白くねーだろ」


「「「そういう問題じゃねぇっ!!!」」」


大河の言葉に全員が綺麗にハモる。


「美優も大河から聞いてたとかマジかよ……」


「ごめんね、隠すつもりはなかったんだよ?」


「そうだ!美優は悪くない!」


「「「テメェは黙ってろ」」」


俺の扱いひどくねーかオイ。バカ正直すぎて傷えぐられるんだが…………俺の味方は誰もいないのか?


「まぁまぁみんな落ち着いて〜せっかく紅葉橋に来てくれたんだから温かく迎えようよ〜」


すると間伸びした声が割って入り、一気に場の雰囲気が和やかになった。


声の主はブロンドの天然パーマにクリーム色のベストを着た男子生徒だ。話し方もだが見た目もかなり穏やかな感じがする。


「はじめまして流星〜僕は村越理玖(むらこしりく)!こっしーでも理玖でも好きに呼んで〜」


「あぁよろしくな、理玖」


「はいはーい!オレは日向大希(ひゅうがだいき)!大河とは高校からツルませてもらってま〜す」


「流星、コイツは放っておいても大丈夫だ」


「ひでーな大河!お前のダチと仲良くしたっていいだろ!」


なるほど、春先の寒い時期でも半袖なのが大希だな。大河と一緒にいられるあたり、相当フレンドリーで人当たりの良いと見た。


「お前のバカ騒ぎに付き合う身にもなってみろ」


「なんだとぉっ!?」


「……仙道陸人だ。陸人でいい」


そして大希にピシャリと一言呟いたのが陸人。黒髪を後ろで1つに結んでいて何となく大人びた雰囲気を醸し出している。精神年齢の低い連中よりズバ抜けて冷静でいられそうだな。


「そういう陸人もワイの前では頭が上がらんやろ?」


「どうやったらそんな自信が持てるんだ?」


「まぁ〜この西園2号は置いといて……」


「ふざけんな!誰が2号だ!!」


「ワイは成宮蓮!生まれも育ちも大阪やけど、親の仕事の都合で高校からこっちに来たんや。よろしくな!」


怒り心頭の陸人をよそにマイペースに自己紹介をするのが蓮だな。紫と白の髪の毛が一際存在感を放っているが面白い奴だと思うぜ。


それから一通りクラス全員に自己紹介をしてもらい、俺のこともなんとか受け入れてもらえたようだ。前の学校の生徒より一癖も二癖もあるが、たぶん根は悪い奴らじゃないだろう。たぶんな。

ここまで読んでいただきありがとうございます!そしてお疲れ様です笑

次回も少し長くなりそうですが、作者イチオシの新キャラ登場なのでお見逃しなく!

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