Rumor
Our Armed Life. の続きになります。
本編に入るので前回に比べると分量がだいぶ増えていますが、お付き合いいただけると嬉しいです。
「ここが新しい学校か……」
正門の前で4階建てのコンクリートの校舎を見上げながら俺は1人呟いた。
実は編入試験の際に1度来たことがあるのだが、あの時はまさか自分がここに転入できるとは思ってもいなかった。
元々男子校に通っていた俺は女子とは無縁の生活を送っていた訳で、出来ることなら共学の高校へ編入したいと思っていた。
そんな時見つけたのが紅葉橋高校だった。
なんせ全校生徒の9割……いや、ほぼ100%女子なんだぞ!分かるか、夢で終わろうとしていたハーレムが毎日味わえるんだぞ!ここで別の高校を選ぶなんて男じゃねぇだろ!!
まぁ確かに前の高校を退学になったのは俺のせいだけど……それにしてもこの状況はお釣りが返ってくるんじゃないか?
「よっしゃ!待ってろよJK!」
俺は意気揚々と正門をくぐり校舎の中へ入っていった。
銃痕や刀剣の斬り痕、さらには血痕までもが壁の至るところについていたような気がしたが、俺の頭の中にはJKしかいなかった。
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ひとまず俺は中央玄関を右に曲がって校長室へ向かっていた。どうやらそこで担任の先生と顔合わせをしてから教室に行くらしい。
そういえば、1つだけ気がかりなことがあるんだが……
『紅葉橋の連中には気を付けろ––––––』
去年創立したばかりの高校だというのに、その噂は真逆にある俺の高校まで伝わっていた。だが正直なところ噂は噂に過ぎない。紅葉橋の生徒がいくら危険視されていても、そもそも高校が離れていて会う機会がほぼないに等しかったから何とも言いようがないのだ。
だがよく考えてみてくれ。
1年生と2年生しかいないとは言え、全校生徒ほぼ100%が女子なんだぞ!先輩がいないのは少し寂しい気もするがそれでもここが楽園であることに変わりはない。
(もしかしたらヤンデレなのかもしれないな……)
そうだ、きっとそうに違いない。表面上は暴力的に見えるがきっと内面にデレ要素を兼ね備えているはずなんだ。さっきは見逃していたがやたらコンクリートの壁に銃痕やら血痕やらが多かったのも今では頷ける。あれは照れ隠しの結果ついたもの、だとしたら……
中身は普通の女の子なんだよな?
つまり所詮噂は噂、心配することなんかないんだよ!
「おや?誰かと思えば井上くんじゃないですか!おはようございます」
頭の中で結論が出てきたところで1人の男性に挨拶をされた。背中まで伸びた銀髪を1つに束ね、イタリア製っぽいグレーのスーツを着こなすこの人物は……
「あ、校長先生。お久し振りですね」
「こちらこそ!またキミと、今度は我が校の生徒として会えて嬉しいです♪」
紅葉橋高校の創設者であり校長の竜宮寺伸である。武器使いとしても経営者としても世間の注目を浴びているが、想像してたよりも人懐っこいというか、フレンドリーでスマートな人だと俺個人は思っている。
「フレンドリーでスマート……お褒めの言葉、確かに受け取りました!」
ただ1つ、心を読まれるのが解せない。
「校長先生……それ、困るのでやめて下さい切実に」
俺の妄想まで読まれた日には発狂して不登校になるしな。
すると校長先生は茶目っ気たっぷりに答えた。
「キミに限らず人の表情から何が言いたいのか探るのは楽しいですからねー……さてさて、からかうのはここまでにして、どうぞどうぞ!キミの担任はかなり短気なので怒らせると怖いんですよ〜」
校長先生に背中を押されて、俺は校長室に入っていった。
読んでいただきありがとうございます!
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