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6話 居候生活の開始

目が覚めたら、そこは知らないところだった。


いつもの家じゃない。


「お、起きたか。…何だ? 泣いているのか?」


「…泣いてない」


実は少し泣いていたのだが、アレキスは気づいてないふりをしてくれた。


「そうか、ははっ、まぁ良い。お前、年は幾つだ?」

「…6歳」


「ほう、その歳であの剣の腕か」


その言葉で思い出し、俺はアレキスの肩を見る。


そこには、少し血の滲んだ包帯が巻いてあった。

「その傷…」


「あぁ、これか? 今日は王国の治癒魔法使いが居なくてな。取り敢えず応急処置として巻いてみた」


「お前は治癒使えないのか?」


「おい、俺は年上だぞ。俺はアレキス・レイ・サンドレイクだ。この王国の騎士だ。アレキスさんと呼べ、アレキスさんと。…それに、治癒など使えるか。そんなもの使えたら魔法騎士になっている。いつもは回復薬を飲んだりするが、これくらい大丈夫だ」


治癒魔法、普通は使えないのか。

エリスが普通に使っていたから分からなかった。

ということはエリス本当は凄い魔法使いだったのか?


「…包帯とって、肩見せて」


「何でだ?」


アレキスは訝しげにこちらを見ている。


「いいから早く」


包帯を無理矢理取った。


……めっちゃ血出てる。この人大丈夫なのか?


「おい!何をする⁉︎」


俺は黙って治癒魔法を発動する。


「お、お前、治癒魔法使えるのか?…しかも無詠唱で」


「治ったよ。逆に何で使えないの?」


エリスとか、普通に使っていた。


「何でって、お前なぁ。みんながみんなお前みたいに魔法使えるわけじゃないんだぞ」


……そうなのか。基本の火、水、土、風魔法はみんな使えると思ってた。


「俺には魔法の適性が無かった。言っておくが、魔法使えない奴なんてそこら辺にわんさかいるぞ。それに、魔法を使えても治癒魔法を使える奴なんて殆どいねえ。お前が特別なんだ」


「ふーん…」


「てゆーかスゲーな! 治るのがめっちゃ早い。ヘタすりゃ専属魔法使いより早いんじゃないか?」


「…魔法はイメージ。魔法の威力とか発動時間は頭の中で描いたイメージによって決まる」


「どういう意味だ?」


例えば、“火弾”を作るとする。


普通の人は詠唱などをして身体の中から魔力を放出し、具現化させる。

これでは時間がかかってしまう。


なので俺は、頭の中でファイアーボールが発動するのをイメージする。


イメージが明確であればあるほど発動時間短縮、魔力の節約が出来る。


というのをアレキスに伝えた。

するとアレキスは、


「スゲーな、お前!自分で考えたのか?…その話、国王様に話して良いか?」


「別にいいさ。俺はただ、あの長ったらしくて恥ずかしい詠唱をしたくなかっただけだ。ただ、分かったら出来るというわけじゃない。出来る奴なんて殆どいねえと思うぞ」


「詠唱を恥ずかしいからって…やっぱお前面白いな!これからよろしくな、ヴァリス!」


「ああ、こちらこそよろしく。それと…俺のことはヴァルで良い」


アレキスは一瞬驚いた様な顔をして、それから太陽のような笑顔で笑って言った。


「はははっ、そうかそうか!よろしくな、ヴァル!」


「いいか⁉︎そう呼んで良いのはお前だけだからな!決して他の人には呼ばせるなよ!」


アレキスがニマーッと笑い、俺はしまったと思い訂正しようとしたが遅かった。


「特別とは、嬉しいことを言ってくれるじゃないか!そうか特別か!ははっ、これからよろしくな、ヴァル」


「うるさい!調子にのるなよ!」


俺何と言おうとアレキスは聞かず、気持ち悪い笑みを浮かべている。

俺はもう駄目だと思い、別の話をする。


「なぁ、ここってお前の部屋だよな?俺の部屋とかあるの?」


気持ち悪い笑みを浮かべていたアレキスが、思い出したように、


「あぁ、そうだったな。一応用意しているが、お前そんな小さいのに自分の部屋なんかいるのか?」


そうか、忘れてた。


転生して精神年齢こそは30歳だが、見た目は6歳。

普通は母親に甘えたりする歳だよな。


でもまあ普通に自分の部屋は欲しいので、


「絶対いる。お前と同じ部屋なんか絶対に嫌だ」


「俺、嫌われてるのか?俺お前になんかしたか?」


アレキスは、なんかぶつぶつ言いながら俺を部屋へ案内してくれた。


「まぁ、何にもないが好きに使ってくれ」


「…本当に何も無いな」


その部屋には、窓、机、ベット……しかなかった。


「仕方無いだろう?今までずっと空き部屋だったんだ。ベットと机があるだけ有難く思え。お前の部屋だ。好きに物置いて良いからさ」


…まあ良いか。これから俺好みにしていけばいいんだし。


「…そういえば、本とかはどこにあるんだ?さっきの部屋にも無かったが…」


そんな事を聞いてみたらアレキスは慌てたように、


「い、いや、俺も本は読むんたぞ?本は全部書斎にあってな…」


これ以上追求したらかわいそなので、後で案内して欲しいとだけ言ってその事には触れないでおいた。


「…で、他に何かはあるか?」


「余っている本棚とかないか?」


「無いな」


…即答。


「じゃあこの家の近くに林とか無いか?」


「すぐそこにあるが…何をするんだ?」


「いいから案内して」


アレキスは、少しくらい教えてくれてもいいだろう、などとぶつぶつ言いながらその林があるところに連れて行ってくれた。


重要人物一人目!

アレキス・レイ・サンドレイク

赤髪赤眼で高身長

それなりにイケメン


前話を少しだけ変えました。

ストーリー的にはこのまま読み進めて頂いても大丈夫です。

気になる方はぜひ読んで下さい。

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