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10話 模擬戦〈 VSフラン〉

「あー疲れた。凄い緊張したな……しかし、国王様様は凄く優しかったな。てっきり俺の力が危険視されて処分する為に呼ばれたのかと思った」


本当にそう思ってた。


漫画とかラノベでよくあるパターンだから…。


「なに、国王様はむやみに民を葬ったりはしない。それより、模擬戦の事なんだが……本当にやるのか?」


「当たり前だろ!やるに決まってる。それよりどこでやるんだ?早く案内しろよ」


アレキスは苦笑しながら、俺をある建物へ案内した。


建物の中へ入ると、そこには3人の男女と模擬戦を見にきたのか、数十人のギャラリーがいた。


その中から、金髪の一人の男が前に出てきた。


「よお、アレキス。……その子がヴァリスか?本当に小さいんだな」


その男は爽やかな笑顔で微笑んで、


「初めまして、ヴァリス。俺はフラン・サイ・アーサー。俺のことはフランとでも呼んでくれ。君のことはアレキスから聞いてるぞ。今日はよろしくな」


……イケメンだ。アレキスもなかなかの方だが、そんなアレキスと比べるのも失礼なくらいに。


「こんにちは、フランさん。ヴァリス・エルドリクスです。俺なんかがフランさんの相手なんて力不足の気がしますが……お手柔らかにお願います」


アレキスとフランがキョトンとしたような顔をしている。


「おい、なんだその丁寧な言葉は?」


「ははっ、謙遜しちゃって」


アレキスが不満を漏らす。

フランさんはイケメンだ。



「ところでフランさん、今日の模擬戦のルールは?」


「おい、無視をす……」


「そうだね、どうするか。魔法ありにしてもいいんだけど、俺の後に魔法騎士が控えてるからな。使っていいのは身体強化だけね。使えるよね?」


「おい、ちょ……」


「はい、使えます。じゃあやりましょう。どこでやるんですか?」


「なあ……」


「そうだなぁ、身体強化できるとはいえ、魔法無しだからな……。よし、あの広場でやろう。木刀は持ってきてるよね?」


「はい!」


「オイコラァ‼︎二人して無視するなよ!なんだ?打ち合わせでもしていたのか⁉︎」


俺とフランさんは顔を見合わせる。


「いやいや、フランさんとは今日初めて会ったんだぞ?打ち合わせなんて無理だ」


「そうだよ、アレキス。にしてもヴァリス君、君、アレキスの扱い方上手だね」


「フランさんこそ。そうだ、俺のことはヴァルと呼んでください」


アレキスがなんか呆けている。


果たしてそれは、二人の自分への扱いからか、ヴァリスが自分だけ特別と言った呼び方をあっさりフランにも呼ばせたからか、はたまたその両方か。


アレキスの目の端にきらりと光るものが見えた。



広い広場の中心にヴァリスとフランが立っている。周りは観客でいっぱいだ。


そしてその観客は皆、ヴァリスに嫉妬の目を向けている。


それは当然であろう。


『六柱』は普段訓練所の方には来ないのである。


なのに、その『六柱』の第一席が、事もあろうに6歳ぐらいの子どもと模擬戦。


殆どの兵士がヴァリスに嫉妬の目を向けるのも仕方のない事だ。


「……少しやりにくいですね」


ヴァリスが眉を顰めて言う。


「すまんね、うちの兵士達が。でも、観客がいた方が盛り上がるだろ?」


フランが軽い調子で答える。


「おい、二人とも、準備はいいか?」


アレキスの問いに、同時に頷く。


「ルールは魔法は身体強化のみ、相手が降参したら終了とする。それでは、始め‼︎」


その瞬間、目の前からフランが消えた。


背後に微かな気配を察知して、横に大きく跳ぶ。


「おお、流石だね。最悪これで終わることも考えていたけど、もっと楽しめそうかな?」


後ろを振り返ると、そういいながら笑うフランがいた。


「フランさんも身体強化使えたんですね。少しびっくりしました」


「まあね、だけど使えるのは身体強化だけだから、魔法騎士を名乗ることは出来ないけどアレキスも使えるんじゃない?」


「うちのアレキスもつかえますが、フランさん程ではないです」


そう言って、ふたりしてアレキスを見てにやりとする。


「おいコラ‼︎まだ始まったばっかりだぞ!早くやらんかぁ‼︎というか、その目やめろ!」


「まあ、アレキスもああ言ってるし、続きやろうか」


「そうですね」


そう言って、試合を再開する。


今度は俺から仕掛けた。


さっきのフランのように背後に行き、木刀を振りかぶる。


フランはそれを読んでいたのか、半身になって避け、カウンターをしてくる。

俺はそれを木刀で受け流し、さらに追撃してこようとするフランの背後に回る。


「またそれかい?同じことを何度もやっても意味ないぞ!」


フランは振り向きざまに木刀を横薙ぎに振り払う。しかし、その木刀は空を切った。


俺はフランの背後に回った後、素早くフランの上を飛び越え、背後をとったのだ。


後ろを向いているフランの首筋目掛けて突きの形で木刀を振るう。


首筋に届くまであと数ミリ。


勝った、そう確信した瞬間ーー


「チェックメイトだ」


コツン、と頭を叩かれた。


「え?あれ?」


さっきまで目の前にいたはずのフランが、背後で俺の頭に木刀を当てて微笑んでいた。


「最後の動き、なかなか良かったね。少し焦ったよ。どうする?まだヴァルは降参してないけれど……」


「続きをやるかって?まさか、俺の負けですよ」


「そうかい?俺としては楽しかったからもう一度やりたいんだけど」


「ははっよく言いますよ、手加減してたくせに」


フランは少し驚いた顔をした。


「あれ?バレちゃったかな?」


「貴方ともあろう人が、何度も背後を取られるわけがないでしょう」


「なるほどね」


アレキスが結果を大声で発表して、観客が盛り上がっているなか、俺たちは楽しく談笑していた。

戦闘シーン難しい……

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