第1話 異世界の女神より慈悲を込めて。
完全なる説明回。
ブクマありがとうございます。この場をお借りしてお礼を。いや、初ブクマがこんなに嬉しいものだとは思ってなかったので。
9/30 修正 見やすくしただけなので内容には変化なし。
倒れ込んでから一分も経っていないと思う。呆然とした後、首をひねって左右を見る。
うん、間近に草が見えるだけだね。柔らかい風に揺れている。
四つん這いだと見づらい。
いつまでもorzしてる場合じゃないな、と上半身を起こし膝立ちの状態に。
草原である。左右を見渡す。遠くに林も有ったりする。
ふと下を見ると、orzしてた時のお腹の下辺りの位置に紙が置いてあった。
プリントした地図でも落としたか?と、紙を持ち何の気無しに内容を見る。
『ようこそサガンジュヘ。
異世界の旅人よ、大地と慈悲を司る女神メルルドジュドゥグァが、
貴方を此方の世界に保護しました。』
ファッ!? 女神!? サガンジュ!? 何だソレ!
続きがある。
『貴方は、彼方と此方の世界線の間で迷っていました。
人が世界線に迷い込むと、彼方と此方の存在があやふやになり、悪い影響を及ぼします。
彼方と此方、2つの世界の神の中で唯一、貴方達の存在にいち早く気づいた私が、早急に対処しなければいけませんでした。
貴方達を観察していた私は、貴方が異世界の貴族の従者なのか、奴隷身分なのか、虐められている事に気がつけました。』
あの霧の濃い変な所は、異世界との境界線上に在ったっていう事かな?
で、俺達が邪魔だからどうにかしたかったと。
でも奴隷とか、虐められてるとか意味がわからんのだが。
『貴方は葉っぱを纏った泥だらけの粗末な衣服をまとい、大量の荷物を持ち、次元の穴を探すという危険な作業を先頭でやらされていました。
人命を軽視する、なんという所業でしょうか?
ジッとしていてくれれば、気がついた神の一柱が世界線より弾き出すというのに。
貴方一人を生贄にして次元の穴を探そうとするなんて!』
迷彩服は異世界の神様から見ると小汚い服なのか・・・。
サーセン、ジッとしていれば助け出されるなんて知らなかったんです。
っつか、次元の穴怖いな!
ニュアンス的にうっかり落ちたら死ぬっぽいしな。
『貴方の虐待されている光景を見た私は悩みました。
本来であれば、三人共彼方の世界に戻し、あやふやになった世界線を閉じ、封印して二度と人が迷い込まないようにするのが適切なのです。
しかし、貴方をそのまま彼方の世界に戻して良いものか。
そのように粗末で汚く、ひどい扱いを受けてる奴隷を私は見たことがありません。
彼方の神は一体何をしているというのでしょうか?
千年後に開催される彼方との交流会で、彼方の神々には、一言文句を言わなければなりません!』
これは酷い風評被害を見た。地球の神様すみません。
というか、奴隷制無いんだけど、勢い込んで乗り込んで文句つけまくって、事実を確認して、実はファッションでした、とかってなったりするのかな?
・・・想像すると怖いな。俺が原因で異世界の神様同士が険悪になるとか。
まぁ、千年後なんて俺生きてないから知らんけど。気にしないでおこう。
『慈悲を司る神である私は、不幸で惨めで小汚い貴方にも、たとえ異世界の民であろうとも、あまねく慈悲を与えるべきだと感じました。
異世界の神が機能してないのを見た私が、不幸で惨めで小汚い貴方を保護し、見守ってあげるべきだと。』
小汚い小汚いとまぁ、コレほどこき下ろされると凹むわ。
なんか段々、書きながらヒートアップしてないか?
『これまでよく頑張りましたね。貴方を虐めていた傲慢な貴族も、此方の世界には追いかけて来れません。貴方はもう、自由ですよ。
尚、彼方の世界に返してあげた人たちは、記録を参照した所、今より四時間ほど前に行動していた地点より、世界線に迷い込んだみたいでしたので、その手前の地点に返しておきました。
封印も完了しているので、二度と迷うことはありませんし、こちらの世界に万が一にも来れないように、タグを付けておきましたので、安心してくださいね。』
うーん、どうも三叉路の辺りから迷い込み始めていたようだ。
しかしすごい念の入れようだな。
扱き下ろして優しくする。信者を集めるテクニックかな?
いや、そう考えるのはひねくれた見方か?
『さて、貴方を虐める酷い世界から、貴方を切り離すことが出来ましたが、此方の世界で生活できなければ意味がありません。
貴方の持たされていた所持品を解析した所、彼方の世界の生活用品であると判断しました。
彼方と此方との人間の営みの違いもわかりませんし、そのように大量な物品を抱え、人気の比較的少ない山中を歩いていることから、彼方の世界の人間は、生きていくのにそのように大量の物資を必要とするのでしょう。
突然此方の世界に招き、彼方の世界の物が使えなくなるのは困る事態になるやもしれません。
彼方の世界でしか手に入らない食品を食べないと生命が維持できない、などという自体もあるやもしれませんから、貴方が此方に持ち込んだ物質全てに、加護と祝福を掛けておきました。
貴方の持ちこんだ物質は背嚢以外の全て、私に祈ることで、祝福された背嚢の中に祝福・加護が施された時の状態で生成されます。
祝福された消耗品に認定した物質は、祝福が施された時の情報を元に複製され、背嚢内に待機状態として生成されるように設定しました。
背嚢内に同一の設定品の待機状態が存在する場合は、祝福が施された時の状態に上書きされ待機します。
消耗品に設定された物質は、背嚢から取り出すことによって待機状態から外れます。
待機状態から外れた設定品を再度背嚢に戻しても、待機状態にはなりません。
装備品に認定された物質は再生の加護が掛けられ、背嚢で再生成される際には古い方の物質は世界のリソースを回収する為に、私の神力に分解、吸収されます。
再生の加護は、加護が施された時の状態を目指して、常に緩やかな速度で修復していきます。基材が一定以上失われると再生が出来なくなります。その場合は背嚢内での再生成をしてください。
今回この処理をするために起点を背嚢と祝福・加護を施した時、言葉を変えると、貴方をこの世界に招いた時に設定しました。
背嚢を起点にする為エラーが起こらないように2つの背嚢を生贄に、一つの背嚢に統合し、私の神力から祝福と加護を与えました。
背嚢に施した祝福・加護は容量が元の三倍、重量が入れた物質の三分の一、不壊の付与魔法による神の干渉以外からの不変、背嚢内での神による認定を受けた物質に限った生成です。背嚢から物質を取り出す際には、取り出したい物質を思い浮かべてください。
以上の処理を、アカシアの記録に入力し、常態化した事象だと世界に認められました。
また、貴方自身にも翻訳の加護を掛けておきました。コレは私の神力単独で具現化した事象なので徐々に神力が薄れ三年ほどで効果が切れます。
積極的に此方の言語を見聞きしていれば自然と此方の言語を覚えるでしょう。
ただし、書くことだけは自力で覚えなくてはいけません。努力してくださいね。』
一気に小難しくなった、まとめると、異世界版アレルギーみたいなのや、持病みたいなのがあるかもしれないから、無難に、持ち込んだ物資は無限湧きさせて飲食の不安を解消、装備は壊れても直せるようにしておきましょうね-。ってとこかな?
そのプログラムを組むための条件付けをバックパックと異世界転移した時に設定しましたよっと。
で、バックパック内にて転移した当時の状態で物質を作れるが、バックパックが壊れちゃうとエラーを起こす可能性が有るため、壊れないようにして、ついでに魔改造しておいたよ。
でもその代償で2つのバックパックは消えたと。
で、トリガーは神に祈れと。○○が欲しいっ、とか、○○を作ってっ、とか?
装備品の再生成はたぶん、来てる服を再生成しようと祈ったりすると素っ裸になってバックパックの中に転移した当時の状態で服が作られてる、とかそういうオチなんだろうな。
ココだけ見るとこの女神様マジ有能だな。
バックパックがチートアイテムになった。
『消耗品・装備品認定されたリストは裏面をご覧ください。
貴方の此方での豊かな生活を願っています。
大地と慈悲を司る女神メルルドジュドゥグァ
PS.彼方の世界の地図はもう不要だと思いましたので、貴方を此方に招いた地点を中心に置換しておきました。』
「マジかー!」
胸元にぶら下がってる地図を見る。
更新されてました。
細かい所にも気がつく女神の鏡の様なお人やな。ありがたやありがたや。
しかし女神様、コレだけは言わせてくれ。
「彼方の世界の世界線の手前の地点に戻すのは、俺を含めた三人を戻すのが正解やったんやで・・・。」
もう少し話が進んだら設定公開してそっちで説明する予定。