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俺が異世界転移して貰った祝福は食っていくには困らない。  作者: 犬やねん
0章 俺が異世界に転移した経緯
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プロローグ1

「おい、朝焼けを見ながらコーヒーを飲む為に山行くぞ」


 高校から友人の健太が、顔を合わせるなり突然そんな事を宣った。

 色々端折り過ぎてて、よく分からないことを言う。

 また何かに感化されて、情景を浮かべながら脳内で計画を練るうちに、俺の参加と計画の実行はすでに決定されているのだろう。いつもの事だ。


「結論から話題を切り出すなよ。なんで行きたいのか理由から、実際どういうプランを考えているのかまで、とりあえず話せ。」


 健太が言うにはバラエティ番組で登山をする企画があり、山頂からの雄大な景色を背景にして、朝日を見つめコーヒーを啜りながら登頂の喜びを噛み締めている姿に感動し、自分もやりたくなったらしい。

 凄く下らない。


 テレビの放映翌日に芸人の真似をして、ギャグや一発芸を連呼する小学生かお前は。


「ついでに遊ぼうぜ。淳史君も誘って」


 淳史君も高校時代からの友人だ。

 健太と淳史君は中学時代からの付き合いらしい。一学年上だがノリが良く、面白い人だ。

 誘えばホイホイついてくるし、車も出してくれるだろう。

 俺と健太と淳史君は同じ大学に通っている。

 俺や健太でも入れる程度の偏差値だったってのも有るが、淳史君という知り合いがいるという安心感も在った。

 そして地元を離れ、俺は一人暮らしと進学を決めた。



「登山をして、川でBBQもやって・・・」


 健太が言うには、素人が山ごもりしている動画で見た情報を参考に、ココからほど近い、自然の豊富な山に入り、朝から登山。

 河原でBBQ、川で遊びながらカレーを煮て、出来たカレーを持って山頂目指してまた登山。

 山頂についたらテント張って、晩飯にカレーを食って、まったりと喋ったり仮眠したりしながら夜明けを待って、朝焼けを見ながらコーヒーを飲む。

 朝食にインスタントラーメンでも食って、帰りにはまた川に寄って遊んで、焼きそばでも作って食って撤収するつもりらしい。


 ソレ、盛り込みすぎじゃね?

 2日でやる予定じゃないと思うんだが。

 登山して遊んでメシ作ってとかムリ臭くね?

 お前の言うこと全部実行したら相当な大荷物じゃね?


 様々な思いを言葉にして吐き出したいが、心の中に押し込める。


 やる気になったコイツに言っても意地になるだけだ。

 その中の一部分だけでも実行できたら満足するだろう。

 全部を成功させる必要はない。河原でBBQしただけで満足して帰るかもしれんしな。

 それはともかく一番おかしい部分をツッコんでおく。


「河原でカレー作って、それ持って登山とかムリだろ。コケてだば~するわ。」


「いやいや、お前なら両手でナベ持ってでも行けるんじゃね?

 まぁ、ムリでもタッパーにでも移して登山すりゃいいじゃん。」


 面倒くさいからレトルトカレーでもよくね?

 と、思わなくもないんだが、おそらくキャンプで手作りカレーをやりたいだけだろう。

 何も、その二日間に無理やりねじ込まなくても、別の機会にやれば良いんだろうが、言っても聞かないだろう。

 汁物抱えて登山なんか絶対にやりたくないので、BBQの時にカレーの材料をこっそり食っちまおうと決意しつつ、健太に問う。


「お前は俺を何だと思っているんだよ」


「山登りなら慣れてるっしょ。」


 確かに、山を登るだけなら普通の人より慣れている。家業が林業だ。



 俺は幼い頃から家の仕事を手伝っている。親父がちょっと古い考え方で、ウチではそれが普通だったんだ。

 恵まれた体格と、昔からやってる力仕事のお陰で、同級生より筋力と体力がある。


 要するに健太は俺を荷物持ちにさせたいんだよな。


 俺は山に登るのが嫌いだ。幼い時から仕事でやっていたからこそ、嫌っている。

 お金が貰えるから、仕事としてやっていただけだ。態々趣味で登りたいとは思わない。



「お前の実家はとんでもないからなぁ。」


「変なこと言うな。とんでもないのは土地がだろ」


 笑いながら言う。言葉足りてねぇよ。ウチをオカシイ一家みたいに言うな。


「うちの実家に顔出してからヒロの実家に泊まり込みに行くってのも良いんだけどな」


 俺の実家はど田舎だ。いや、ちょっと一般の人には伝わらないくらいの山奥の秘境である。

 健太と淳史さんは夏によく泊まりに来てた。また遊びに来たいんだろう。

 俺が夜に川で獲ってきた鮎や鰻を食べるのが、健太は好きだからな。偶に 川に網を張るのを手伝ってくれたりもするが。

 解禁日以降しか漁は出来ないから、お盆過ぎ無いとダメだけどな。


「健太にとっては楽しいかもしれないが、俺にとっては見飽きた風景なんだよ。

 こんな遠いとこからBBQする為に、あんな秘境まで行くのは勘弁だ。

 それにバイトを長期間連日休む予定で組むのも困るしな。

 大学入ってまだ半年も経ってないからな。来年帰ればいいだろう。」


 正直田舎に帰るのは面倒くさい。

 家から一番付近の、田舎の町に出るだけで一時間は掛かる。そんな山奥なんだ。


「BBQはあくまでもついでだ!雄大な景色と夜明けのコーヒーの為だっつうの!」


 盛り込みすぎて、もう何がメインだかわからない、苦行に成ってる気がするんだけどな。

 そんな俺の心情を汲み取ったのか、誤魔化すように健太が言う。


「ま、もうすぐ夏休みだ。

 近場の山なら動画見た感じ、人もよく立ち入ってるみたいだし、俺から淳史君に連絡しとくわ。

 バイトの休みを合わせて、三人で相談して必要なものを詰めよう。」


「そうか。山で迷子になって山狩りとかシャレにならんからさ。

 俺は事前に通販とかで取り寄せるのに日にちが掛かる、必要になりそうな道具とか揃えておくわ。」


「テントとか、寝袋とか?」


「いや、その辺は相談してから決めよう。

 そもそもキャンプとかしたこと無いから、そういったキャンプ道具はわからん。

 俺が住んでいたトコは、家から出て数十秒で川。

 裏手に回って数十秒で山。

 ど田舎っ子は大自然の中で遊んでも、寝るなら家に帰ればいいだけだからな」


 BBQコンロなんてウチでは室内で使うものだったからな。

 下に新聞敷いて。普通に考えたらアブねぇよ。

 室内で火を炊く道具じゃねぇよ!

 河原ではそんなもの持っていかずに、石を並べて上に焼き網を乗っけるだけだ。高さは石の大きさで調整して平衡をとる。

 そんなのが普通だったから、俺の常識がズレてる可能性がある。無難に皆で相談した方がいい。


「それもそうだ。じゃぁ何買うんだよ?」


「鉈とかコンパスとか、そういうのだな。俺が使えれば良い、有れば便利なそういった道具。」


「あぁ、そういうのはわからんから任せるわ」


「おう」



 行ったことない土地の山に登る。



 全然胸がときめかない。むしろ面倒くさい。

 お金も貰えないのに山なんぞ登りたくない。

 心情としては、付き合いでいく部分が大きい。


 まぁ、しかし、友達と遊びで山に登るなんて初めてだ。

 行ってみると案外楽しいのかもしれない。

 せっかく時間作って行くんだし、料理を作るのは結構好きだ。

 そっちを楽しみにしておこう。


 こうして俺が登山に参加することが決定された。





 あっという間に時が過ぎ、計画当日に成った。

 まだ薄暗い中、片田舎の道を淳史君が運転する車で走る。

 朝早い。いや、深夜と言っても時間に出発したから、道はガラガラだった。

 高速を使わなくてもかなり速く来れた。


 東の方は白んでいる、もうしばらくすると朝日が昇ってくるだろう。

 周囲はまだ民家が多い。ナビには少ししたらコンビニが在ると出てる。

 そこで朝食と、BBQ予定地までに歩くうちに飲む飲み物を皆で買う予定だった。


 ココまで来たらもうそんなに時間は掛からないだろう。


 着いたら、淳史君は長距離を一人で運転して疲れてるだろうから、駐車場で朝食を食べながら休憩して、それから歩いてBBQ予定地まで移動だな。

 駐車場からBBQ予定地の上流の河原までは結構距離がある。

 だがそんなに厳しい道程ではないと思う。

 川沿いに道路が在る。道も緩い傾斜だ。歩きやすい道が続く。


 ただ、不安はある。


 大荷物になったんだ。予想通りというか、予想以上と言うか。


 準備を昨日まで行っていたんだが、大変だった。





 準備は半月ほど前から始めた。

 バイトのシフトの調整は、他の休みの日と変わってもらって、すんなり済んだ。


 次に鉈を買うことにした。地元で使っていた鉈は置いてきた。

 大学に行くのに、愛着のある鉈だからとコッチまで持ってくる奴はいないだろうしな。


 元々使っていた鉈は、小学生の時に親父から新品の鉈本二本を並べて選べって言われて選んだ奴だ。

 一本は比較的短くて、肉厚で幅のある重い鉈。

 もう一本は長めで幅は大きくは無い、比べると細長い印象を持つ、比較的軽い鉈。


 俺が使っていたのは細長い方だ。


 理由としては、まだ山を登るのに慣れていなかったから、少しでも軽い方が良いと思った。

 それだけだ。

 鉈は斧と一緒で重い方が木を切るには楽だ。自重で叩きつけるようにして切るからね。


 だが、今回は別に木を切りに行くのが目的じゃない。

 登山をする時に邪魔な枝を払ったり、下草を払ったりすることに使う予定だ。


 普通の鉈はすでに持ってる。実家に行けば重いのも軽いのも在るし、実際に使ったりもしてる。

 折角だから、珍しいのを買おう。そう決めた。



 どんな鉈があるのか?ネットを検索してみる。


 剣鉈。日本刀に鉈の柄を付けたような見た目だ。

 っていうか、コレもう日本刀じゃね?そう思ってしまう。

 刃物を持ちたいって人には良いかもしれないが、自分の中で鉈はコレジャナイ感が強い。

 肉厚にして日本刀とは違うとか、そういう差別化が在るのかもしれないが。



 鎌鉈。刀身の6,7割位までは普通の鉈だ。

 刃先の方に向かってやや幅が広がっていってるが、残りの3,4割で内側に90度に近い角度で、刃がカーブしている。峰の方は円を書くようにカーブして刃先に合流している。

 刃先は鋭角だ。


 コレは鎌の特性に近いだろう。

 草の束を左手に持って、根元の方に鎌の刃を引っ掛けて、引き切る。そんな使い方なんだろうな。

 鉈の部分が使いづらそうだし、木を叩くには向いてなさそうだ。

 コレなら鎌で良いんじゃね?とも思う。俺には合わなさそうだ。



 鰻鉈。面白い。鎌首をもたげた鰻に見える見た目をしてる。

 細身で長い刀身で内側に少しだけ湾曲している。

 で、刃先が内側にキュッと曲がっているのだが、鎌鉈との大きな違いはその比率だな。

 鰻鉈の刀身は9割以上は緩やかな曲線で、一割以下の刃先の部分だけがキュっと内側に曲がっている。2,3cm分くらいしか無いんじゃないかな。


 刃先は鋭角にはなってないのと、なっているのと在る。どちらも刃先の幅は細い。

 刃先が鋭角になっていない方は刃先を誤って気に叩きつけても、刃が潰れたりしない為にこうしてるんじゃないかな?コッチの方がより鰻っぽい。

 しかし、形の好みで言えば鋭角になってる方が好みかな。

 ホント、見た目だけの判断だけど。



 よし、鰻鉈にしよう。どうせ山仕事なんてもうやらない可能性が高いんだ。コレにしよう。


 折角だから一番刀身が長いのを探す。


 すると、300mmなんて在った。コレは長い。

 普通長くても270mm。よく見かけるのは180mmや210mm位だ。

 肉厚で幅が大きい鉈なんかは刀身が135mmしか無かったりする。

 いや、短いほうが扱いやすいんだよ。重心が手元に近くなるから。


 でも、刀身が長いとそれだけ立ったままで下の方から草が刈れる。

 屈まなくても刈れるとしたら、今回の場合には道具として合ってるとも思う。

 刀身が微妙にカーブしてるのは、刈る時に振るだけで自然と刃の滑りでスパッと切れるようにしてあるからだろうしな。

 そう思いつつ値段を見る。



 三万六千円。



 思い付きで買う値段じゃないな、コレ。

 ま、まぁ、職人さんが一本一本作ってるみたいだし?当然やもしれん。



 少し悩む。



 よし、決めた。買おう。


 買う理由?勢いだよ勢い。普通のを買っても面白くない。半端なのを買って後悔するくらいなら、一番最大限突っこんで爆死する方がいい。話のネタにもなる。


 こうして持っていく鉈は決定した。




 次に選んだのはシューズだった。

 仕事ではスパイク付きの地下足袋を履いていた。今回は却下だ。

 もう二度と登山はしないだろうから普段使いも出来るような靴にしよう。


 そう思い、無難にトレッキングシューズに決めた。

 足首まで在るタイプにした。靴の中にゴミが入るとうざったいんだよ。


 本音を言えば地下足袋みたいに脛まで在ると楽なんだがな。

 ブーツは問題外だな。重くて疲れそうだ。

 地下足袋は楽なんだが、今回は水場に行くのと、普段使いできないのがダメだ。

 一回履くだけの為に買うのももったいない。



 トレッキングシューズは一万三千円程だった。鉈に比べたら安いもんだ。




 あとは着ていく服だな。

 登山と仕事で登る山は違うが、同じノリで選んで良いんじゃないかな。

 かと言って作業着とかはありえない。


 ポイントとしては、枝とかに引っ掛けても破れない、体を傷つけない、丈夫で通気性がよく、軽いのがベストじゃないかな?

 で、考えてみる。



 軍服とか良いんじゃないか?迷彩服とか普段使いしている人もたまにいるし。

 早速検索してみる。そんなに高くないな。


 ピンきりだな。安いのは安いし、高いのも在る。

 選び方がわからないから、陸自のレプリカで上下で八千円程の奴にする。

 安い奴を買って破けたとか困るからその値段にした。


 ミリオタの人からすると失笑モノだったりするのだろうか?

 わからん。ついでに帽子も迷彩柄の陸自の隊員が被ってそうなのを買っておく。


 個人のものはこんな程度か?

 あとは計画を詰めながら必要なものをおいおい揃えていけばいいだろう。




 ココからは連絡を取り合い、話し合いながら実際どうするか決めた。

 俺としては実質荷物持ちになるから、実現可能な範囲に計画を止め、少しでも荷物を減らしたい。

 かなりの重量を担げるからって、わざわざ辛い思いはしたくない。


 筋肉が在っても重いもんは重いんだ。


 面倒くさかったのはココからだ。健太が悪ノリして、淳史さんが茶化す。ウザかったわ。




 登山キャンプBBQ計画の素案はこうだ。


 あ、登山キャンプBBQ計画の安直なネーミングセンスには触れるなよ。

 言っても無駄だからスルーした。

 お前が良い名前付けろよって言われてもだるかったし。



 河原にいってBBQ。

 河原でついでにカレーを煮る。煮ている間に川で遊ぶ。

 カレーを持って山頂まで登山。

 山頂に着いたら飯盒でご飯を炊きカレーを温めて飯を食う。

 夜明けまで待つ

 夜明けと同時に皆で景色を見ながらコーヒーを飲む。

 コーヒー飲んだら朝食にカップ麺を食う。

 食ったら下山。河原まで戻る。

 河原で焼きそばを焼いて食う。余裕があったらまた川で遊ぶ。

 飽きたら撤収。



 こんな感じだ。

 とりあえず最大の問題点はカレーを山頂まで運ぶのと、山頂での水の調達。

 焼きそばに入れる肉が翌日まで置いとくと痛みそうな予感がする件。


 その辺を伝えた返答がコレだ。


「カレーはタッパーに入れるって決めただろ!

 水は河原でペットボトルに詰めてお前が運べばいい。

 焼きそばに入れるバラ肉は~、どうしよ?」


「初日に河原で焼いて、半分はカレーに入れて半分は肉載せてたトレーに乗っけて、ラップを掛けるかビニール袋に入れるかすれば良いんじゃないかな」


「お、淳史君さすが、それ採用!はい論破~。」



 うざい。俺が運ぶ事で解決はなんか違うだろう。

 しかし悲しいかな、多数決では負けてしまう。


 そんな流れで計画を圧縮する事はなかった。むしろ運ぶ荷物は拡大した。



 昨日の食料品の買い出しの一例を上げてみよう。


 焼きそばに入れるキャベツを買う。

 当然の権利のように一玉をカゴに入れようとする健太を止め。


「一玉も要らんだろうが。半玉に切ってあるのがそこに在るやろ。」


「いやいやいや。足らんかったら困るし、余ったら別の料理に使えばいいじゃん。

 ちぎって塩キャベツにしたり、浅漬けにして翌日食べたり。

 ウインナーと一緒に煮て、適当に味付けて、翌朝のスープにするのも良いな。」


「おいコラ、無駄に計画を増やすな!」


「あ、もうコレ決定ね」


 そして逃げる様に先に進む。



 行く先々で同様のことを繰り返しながら、調味料の売り場へ。


「焼肉のタレと~・・・あ、塩も要るな!」


 と、言いつつ食卓塩1kgを手に取る。


「ちょっと待て塩なんぞ要らんだろうが。」


「はぁ?キャベツにいるやんけ」


「要らんわ!余分なキャベツ半玉ごと要らんわ!

 大体何で1kgやねん!そっちの小瓶でいいやろうが!」


「小瓶は割高やろ。キャベツを使うのは決定事項や。

 コレやから田舎もんは。金銭感覚がおかしくて困るわ。」


 こうして無駄が無駄を呼び、超理論でのゴリ押しを食らう。

 こういう時淳史君はと言えば。


「まぁまぁ、とりあえず買っていこう。一回やってみようぜ。」


 こう来る。その一回で散々な目に合わせて笑い話のネタにしたいのだ。

 タチが悪い。

 テンションが妙に上った上での悪ふざけ。


 山に登るとかじゃなきゃ、普段の俺なら一緒に悪ノリに付き合っただろうが、山を登る厳しさを多少は知ってる。

 その厳しさを一番背負わされるのは誰だ?俺だよ馬鹿野郎!



 色々と余分なものが増えた。

 その辺の紹介はこれからキャンプしていく中で紹介出来るだろう。

 どれだけコイツらがアホか披露したい。

 ・・・これからの俺の作業量と登山を思うとちょっと憂鬱だが。


 だいたい川で遊んだ後に登山って、とんでもない苦行になるぞ。

 泳いだらアウトだな。


 いや、むしろ登る気無くすぐらい川で遊ばせるのも手だな。

 健太に『もう十分に楽しんだし、河原でキャンプで良くね?』こう言わせたら勝ちだ。


 その時の気分で主張が変わる奴の事だ。

 反対するよりも、登山自体がどうでも良くなるように誘導したほうが成功するだろう。


 食料も皆河原で食っちまおう。

 悪乗りした風を装って全部焼いてしまおう。

 全部食うまで登らない。登った所で食料が余りない。いいんじゃないか?


 酒も全部開けちゃって、酔って登山して滑落したら危険だと言って引き止める。それもアリやな。

 米もコッソリ炊いて置いてカレーも河原で食っちまう流れにすれば良い。

 焼きそばも酒を飲んでる時に焼いてしまえば良い。

 翌日の食料も今日焼いてしまえばそれだけ撤収が早くなる。

 ・・・とんでもない量を食わないといけなくなるが、腹がパンパンで動けなくするのもむしろ都合が良い。


 そう考えるとちょっと楽しい。ココからは俺のターンだ。

 食いまくり、食わせまくり、登山を中止させるのだ!


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― 新着の感想 ―
[良い点] 鉈へのこだわりがいいですね! 私は鉈鎌って呼んでいるのが、ここでは鎌鉈だったのが新鮮な気分でした! 何にしても鉈って便利でいいですよね!
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