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設定4(魔獣と女神)

ちょっと蛇足かもしれない。

∇ホーンラビット


 聖地ソミソ周辺にだけ生息するウサギ型魔獣。


 額に生えた角が特徴の草食魔獣。

 繁殖能力が非常にに高く食欲旺盛で他種族に対し好戦的。

 しかし身体的特徴から魔獣としては非常に鈍重で、冒険者ギルドでは新人が最初に経験を積むのに最適とされている。

 ウサギに比べ寸胴で、人の手で握れる程度の耳が特徴。これは、鈍重すぎて音を気にした所で逃げ切れない為、退化した。


 そういった種族的弱点を異常な繁殖力でカバーしている。他の土地に放し増殖させたら飢饉まっしぐらの生体兵器である。だが、弱いから他の肉食獣にすぐに狩られてしまうだろう。だから他の地域では記録が残っていない程の昔に絶滅した。

 人の感覚するとその容貌は醜く、頭は太ってシワが多く頬は垂れ下がっている。地球で言えばブルドックとウサギを足したようなものである。


 ただ、弱いとは言ってもあくまでも『当たらなければどうということもない』という問題なだけで、攻撃を食らうとその質量を角に集中させて当身を食らわせてくるので、ホーンラビットが密集している地点に踏み入るのは危険。


 鈍重なのに大食漢であるため、毛皮と身の間には脂肪が多く、ウサギ系魔獣なのに獣脂がよく取れる。また肉質も柔らかく脂が乗っていて大変美味しい。それなのによく獲れるのでソミソ周辺では人気の食材。





・小話・【大地と慈悲を司る女神メルルドジュドゥグァ】とホーンラビット


 その昔、【大地と慈悲を司る女神メルルドジュドゥグァ】が、ブサカワイイと、ペット感覚で保護し、現在のソミソ周辺の草原に放ち、周辺の草原に自分の神力を触媒にして土壌に祝福を与えた。


 コレは他の神に隠れてコッソリと行われた。

 ホーンラビットは繁殖力が強い反面食欲が旺盛で、異常繁殖し、周辺の土地を食い荒らし、食い尽くし、大量死を引き起こす。


 【大地と慈悲を司る女神メルルドジュドゥグァ】に言わせるとその馬鹿っぽさも可愛いポイントなのだとか。全ての者に遍く慈悲を与えようとすると狂った感覚でないと無理なのであろう。


 ホーンラビットの大量死の対策として、食い尽くせない勢いで雑草が成長する肥沃的な土地が生まれた。


 その結果、本来淘汰されるはずだったホーンラビットの異常繁殖を引き起こし、生息状況が過密になり、草原から出ていかないように結界を張り『どうしよ、他の神々に怒られる!』と、あたふたしている所を、自らの眷属でありながら、森に住まわすことが出来ないフィールドウルフを連れ、良い生息地はないかと探していた【森と狩猟の神サリドギェディリァ】が見つけ、『コレは流石にマズいでしょう。何やってくれてんですかアンタ。』と、顔面蒼白にしながら頭を抱えた。


 異常繁殖したホーンラビットが大量に他の地域に流入すれば、蝗害のような事態が引き起こされるからである。

 しかも本来食い尽くしたら餓死からの大量死で減らせるはずが、祝福された草原から無限の補充を受けてしまう。


 この状態を野放しにすると地上の危機である。

 そして、他の神が管理している地域に被害が及んだら、大問題である。


 『ちょっと考えたら判るだろ何してんだ?』とは思いつつも、自分よりも上位神なので言わずに言葉を飲み込んだ【森と狩猟の神サリドギェディリァ】は、ちょうどいいとばかりに草原の周囲を全て森で囲み、森に生息するタイプの野生動物、魔獣を草食肉食問わず移住させ、ホーンラビットの間引きと管理の為にフィールドウルフを草原に放った。

 そして全ての群れを統括する大ボスを決めさせ、『知恵』の加護を与えた。


 これは、今度はフィールドウルフが増えすぎて・・・。なんて事態を起こさないためにフィールドウルフに自ら管理させる為である。


 その後、長い時間を掛けてフィールドウルフによりホーンラビットの生息数の調整が行われ、神の結界に頼らない、フィールドウルフによって自治された、二柱の神のペット小屋が完成したのである。





∇フィールドウルフ


 草原で生息するのに特化した中型~大型の狼型魔獣である。


 一般的なフィールドウルフは中型、野生の狼を一回りほど大きくした程度の体格で緑や茶色をした毛並みをしている。

 毛は春と秋に生え変わり保護色として、春に緑色の毛並みになり、秋には茶色に変わる。

 群れを作る。群れは数頭から、精々が十数頭ほどの規模だ。稀に強いボスが誕生すると50匹ほどの群れに発展する場合も有るが大変稀である。

 強さとしては中級冒険者のグループでも十数頭程度なら、群れと問題なく戦える。



 ソミソ周辺に生息するフィールドウルフは、他の地域の一般的な個体と大きく異なることで有名である。

 体格は大型で、ポニーほどから、体高が人の身長を越える(約2m)個体も確認される。毛並みは鮮やかな緑色で毛の生え変わりはしない。これはソミソ周辺の草原が年中青々と草が生い茂っているからである。

 異常繁殖しているホーンラビットを食って減らすために大型化し、そして豊富な栄養で毛並みも美しい。

 その毛皮は貴族を中心に、過去に王国が散々に苦しめられたことから、力の象徴として人気があり、非常に高価である。


 フィールドウルフの群れは5つ存在し、5つの群れのボスから、さらに全体を纏める大ボスが決められる。最も強い個体が選ばれ、世代交代が起ると改めて神から次代のボスに加護が与えられる。


 各群れはそれぞれ干渉しないように生息域を分け、一つの群れあたり2~300頭ほどが、草原の外周部を中心に狩りを行って生活している。

 群れは外周部を外から内に向かって巡回し、よく育ったホーンラビットをを食べ、若い個体は草原の内周へと追いやる。これは草原から外にホーンラビットを出さないようにと、神との太古よりの取り決めである。

 ソミソ周辺のフィールドウルフの群れは、神から賜った加護の影響で、代々の大ボスが長年を掛けて、フィールドウルフが全体的に賢くなるように教育を行っており、人間もホーンラビットの間引きの一装置と考えていて、無闇矢鱈に刺激させるような事をしなければ、人を襲いはしない。


 しかし、それはあくまでも群れの一員である個体に限り、はぐれ狼となった個体には当てはまらない。


 はぐれ狼は群れ内部でのボス争いに敗れた個体で、負けた個体は群れから去っていく。そして1~3頭でちいさなグループを作り草原の群れがやって来ない内周部を放浪する。そしてさらなる力をつけるとまた群れのボスに、ボスの座を争って決闘を仕掛ける。


 はぐれ狼の中には稀に積極的に人間を襲う個体が現れる。

 群れから出て力を求めるあまり、人と戦う経験さえも欲するのである。

 ボスを目指す程の強い個体であり、はぐれ狼と化した個体は大変危険である。


 しかし、同時に超一流の冒険者にとっては高値で売れる毛皮を唯一得る機会でも有る。

 毎年、自らの力を過信した、ベテラン冒険者が返り討ちにあってはいるのだが。


 ソミソ周辺の個体に限っては、群れのカーストで下位の若い個体が、たったの一頭でも非常に強力な戦闘能力を持っており、ベテラン冒険者のパーティでも戦闘になってしまうと仲間の犠牲を覚悟するレベルである。

 群れのフィールドウルフは、十数頭が最低数のグループで行動するので敵対すれば全滅するのが常識になるが。


 ソミソ周辺に限ってあまりにも強力で独特の生態になっている為、学会では別種とする派閥と、亜種であるとする派閥と、正統進化した結果だとする派閥に分かれて争っている。

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