第21話 カリッと焼いたウインナー
本日三話目の投稿です。
ウインナーが食いてぇなぁ(粗挽き)
10/15 卵を焼く周辺の表現を修正。
ウインナーには何付ける?
俺は味塩こしょうなんだよ。何にでも味塩こしょう。いやシンプルに美味いんだ。
新しく紙皿を数枚取り出す。
一枚にはケチャップ、もう一枚に粒マスタード、最後に味塩こしょう。ガスコンロの横の皆の手が届く所に3つ並べる。
「ダルシャナさん、ウインナーを刺せるような物出しましょうか?」
「大丈夫よ!私もすぐに箸を使えるようになるわ!」
そう言って俺の方に箸を向ける。ラジャスがあっさり使えたのが悔しいんだろうな。
上手く摘めなくて落としても、シートの上ならそんなに気にしなくてもいいだろ。
そんな風に気にしないでおく。
自分のビールをプシッっと開けて準備はできた。俺がやったらラジャスもビール開けてた。
「それじゃあまずは、何も付けないでそのまま食べてみましょうか。」
フライパンからウインナーを一つ摘み、一口齧る。
パキッと皮が破れて、カリカリに焼かれた皮の香ばしさの後にすり潰された豚肉の旨味と調味料、香辛料によるコクと香りが広がる。
そのままでも十分に美味いんだよなぁ。
噛むとあらびきにされた肉の食感を感じる。たまに当たる完全に火が通って柔らかくなりつつも自己主張する軟骨の感触が、また良い。
「これは凄いわ!全然癖がないのね。肉の臭みがなくて香ばしいわ。」
「繊維を感じない肉料理は初めてだ。肉の味だけじゃない、複雑な味がする。美味いな」
ラジャスはそう言って、ウインナーを一本掴みポイッと口に放り込みムシャムシャと噛み、飲み下すとビールをグビグビ、プハーっとやって、空き缶をタンッと俺の前に置き。
「ビールに最高に合う!ヒロ、おかわり。」
あー、うん。良い食べっぷり、飲みっぷりだと思うよ?男前やね。
女神様にビールの補充を祈って、バックパックから6缶パックを取り出し、ラジャスの近くにおいて、ミシン目を切って取りやすくしておく。
「次はこの赤いの、コレはケチャップと言います。これを付けて食べてみてください。」
ペトッとケチャップを付けて食べたダルシャナが満面の笑みで。
「この調味料素晴らしいわ。甘みとコクの有る酸味がウインナーを引き立てているわ。」
そう言う。ラジャスは黙々と食べて飲んでる。
ウインナーにケチャップは王道だよな。俺はコレにスクランブルエッグが欲しいな。
作っちまうか。いや、面倒臭いから簡単に卵を溶いて焼く程度で済ませようか。
ケチャップを付けたウインナーを齧ってビールを一口飲んでそう思う。
「ちょっとウインナーを皿に移しますね。次はその黄色いのを付けて食べてみてください。粒マスタードって言います。」
そう言いながら紙皿にウインナーを移し、二人の前に置いておく。ラジャスが結構食べるから、もっと何か作らないとすぐに無くなっちまうな。
「この粒マスタードもいいわね。酸味が強くてほのかな辛味が肉料理をさっぱりと食べさせてくれるわ。」
「このマスタードの方がビールには合うな。」
そんな言葉を聞きながら、使ってないマグカップを水で濯ぎ、そこに卵を三個ほど割り入れてかき混ぜる。味付けは味塩こしょうを少量入るだけで済ます。砂糖やコーヒーフレッシュを入れようかとも思ったけど、バターが無いからしっかり作ろうと思っても無理だしなー。
「それじゃぁその味塩こしょうも試してみてください。」
俺も一回手を止めて、チョンチョンと味塩こしょうをウインナーにつけて食べる。シンプルな塩気と胡椒の辛さが、ウインナーの旨味を際立たせる。俺はコレでご飯が食べたくなるんだよ。
「今度の調味料は、ストレートに塩気と刺激的な辛さと爽やかな香りなのね。複雑さはないけど、その分ウインナーの美味しさがよく分かるわ。」
「このすぐに引く辛さがビールによく合うな。」
ラジャス、ちょっとお前飲むペース早くないか?もう四本目だぞ。
ツッコミたいけど、上機嫌に飲んでる分には良い。どうせタダ酒だし。
それにガンガン食われて料理が間に合わなくなるから、ビール腹を膨らましてくれた方が都合がいいか。
フライパンを強火で熱し、オリーブオイルを少し足す。
フライパンを温め、油を全体になじませたら、溶き卵をよく混ぜながら一気に入れる。
フライパンを揺すりながら、卵を箸で混ぜるんだけど、今回はそぼろを作るわけじゃないので、大きな帯を作るように箸をゆっくりと混ぜて、混ぜすぎないようにする。卵の全体量の半分ほどが固まってきたら、フライパンを煽ってひっくり返す。
オムレツっぽく作っても良いんだが、ちゃんと形にしようと思うと面倒臭いからな。火を入れすぎないように、でもドロッと卵が垂れない程度に火を入れる。
紙皿2つに分けて入れ、上にケチャップを掛けて二人の前に置く。
「どうぞ、ケチャップには卵が一番合うと思います。食べてみてください。」
ダルシャナが箸で卵を割いて、ケチャップに付けて食べる。大分箸使いが上手くなった。ダルシャナも覚えるのが早いな。
「ケチャップの酸味を卵が受け止めて美味しいわ。卵とケチャップのコクがよく合うわね」
「卵とウインナーとケチャップを同時に口に入れて食べても美味いな。」
「ああ、ケチャップと粒マスタードをウインナーに一緒にかけても美味しいですよ。」
そんなことを言いながらアレコレ組み合わせを変え、食べて飲んでをしつつ、卵をかき混ぜるのに使ったマグカップを再生成して、ウイスキーを指一本程度入れて。
「このお酒を飲んでみてください。キツイ酒なので舐める程度にしておいた方が良いですよ。」
ダルシャナに渡す。そして言われた通りにチビっとだけ口を付け。
「うわっ、凄くキツイわね!香りも苦手だわ。コレどうやって作ってるのよ?」
「まぁ、ソレはまた別の機会に話しますよ、ラジャスさんも一口飲んでみてください。」
ラジャスはゴクっと一口飲んで。
「強い酒だな。俺はビールの方が良いな。」
そう言ってマグカップを返してくれる。
「ラジャスさん、さっきビールを容れるのに使ったコップはもう使いませんよね、コッチに貰ってもいいですか?」
「使わないな。ほら、どうぞ。」
空のマグカップを受け取って、水で軽く濯ぎ、外に水を捨てて、コーラを入れる。
「今度はコレを飲んでみてください。コーラって言ってお酒ではない、甘いジュースです。」
そしてまたダルシャナに渡し、一口飲む。
「不思議な味だわ。甘いのに爽やかね。炭酸が凄く強いわ。真っ黒だから本当に飲み物なのかって思ったけど、後を引く味ね。」
そう言いながらラジャスに渡す。
コーラはカラメルっぽい香りと柑橘っぽい香りかなぁ?炭酸にごまかされてるけど結構甘いよなぁ。
ラジャスはゴクゴクと一気に煽って、ゲフっと息を吐き。
「美味いな、喉にガツンと来るが、ソレが良い。熱い日中に飲むとスカッとするだろうな。」
うん、言いたいことはわかったけど、君はもうちょっと女の子らしくしような~。
ゲップの風が俺の顔に直撃したぞ?咄嗟に息止めたけどさ。反応に困るからヤメてくれよー。
ラジャスがコーラを飲みきったので、そのまま今度はサイダーを入れる。
「今度のはサイダーって言う名前のジュースです。コーラとはまた違った味ですね。飲んでみてください。」
そしてラジャスはまた一気に飲みきり、ゲフッとやってから。
「コレも美味いが、俺はコーラの方が好きだな。」
うん、また風が来た。一回注意した方がいいのかなー。でも、それでまた変な地雷踏んで殴られたりしたら怖いしなー。
今回うっかりちょっと嗅いじゃったけど、美人でもゲップはやっぱ臭いのなー。しかも酒臭いんだ。
ちょっとゲンナリしながらコップにサイダーを足すと、またラジャスが飲もうとするので慌てて止める。
コイツ全然酔ってないように見えるけど、実は密かに酔ってないか?
コップをダルシャナが奪い取り、飲む。
「これも炭酸が強いのね。でも香りがスッキリとして味わいもより爽やかだわ。私はサイダーの方が好みだわ。」
「そうですか、では一旦コップを返してもらっていいですか?」
ウイスキーの入ったコップにコーラを注ぎ、ビールくらいのアルコールになるようにウイスキーを少し足す。そしてサイダーの入ったコップにもウイスキーを注ぎ、コークハイとハイボールを作る。
普通のレシピよりもウイスキーが薄目かな。
「コーラの方がコークハイ、サイダーの方がハイボールです。試しに飲んでみてください。」
二人はまたチューハイの時のように交互に飲み比べをする。
「どちらも美味しいわ、でもハイボールの方が好みね。
ウイスキーはジュースと混ぜると飲みやすくなるのね。ジュースがキリッと引き締まった感じでなかなか良いわ。
今まで飲んだ中ではやっぱりチューハイの方が好みだけど、それはあえて順位をつけるならね。」
「俺はコークハイが良いな。でもやっぱ一番はビールだな。」
「そうですか、できればこのジュース飲みきってしまって欲しいので、お酒と混ぜてでも、そのままジュースとしてでも良いので、ドンドン飲んでもらえますか?」
そう言って、もう一本ウイスキーの小瓶を補充し取り出して置く。
俺一人で3Lもジュースは飲めない。バックパックに入れてても1kgの負担だからな。酒の勢いで飲んで貰って処理した方が良い。
「わかったわ。優先して飲めばいいのね。」
「わかった。ドンドン飲むぞ。」
「あ、ジュースにどのくらいウイスキーを入れるかは、自分の好みで飲みながら調整してください。それと、お二人はまだ食べられますか?」
俺、ラジャスの勢いに押されて余り食べれてないなぁ。自分の部屋に戻ってから、何か作ればいいだけなんだけど。
「私はお酒を飲みながらチョコチョコ摘める程度ね。」
「俺はまだまだ喰えるぞ。」
そうか、じゃぁもう一品作るか。
次は豚肩ロースの厚切りを焼こう。
ブクマありがとうございます。この場をお借りして感謝を。




