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第20話 酒とツマミ

本日投稿二話目。


酒が飲みてぇなぁ(ダメ人間)

 さて、手軽にすぐ食べられるものって事でウインナーを焼こうかな。

 よくスーパーとかにある二袋がテープで一纏めにされてるやつね。


 ウインナーって言ったらこの二袋纏めて括られてるテープが邪魔なんだよな。袋にマジックカットで、どこからでも切れますって書いてたりするけど、それならこのテープを簡単に切れるようにしてくれって思ってしまう。


 でもこのテープ、ちゃんと意味があって付けられてるんだよ。

 不活性ガスが袋の中に注入されてるんだけど、最初からガスでパンパンにするよりも、袋にある程度余裕をもたせた量を入れて、ベルトでズボンを締めるように、テープで余裕を付けた分を絞るために2個セットらしいですよ、奥さん。


 ま、ホントか嘘か知らないけど。



 コンロの上の雪平鍋を片付け、ティッシュボックスを出して何枚か取り、フライパンの水気を拭き取り、コンロにフライパンを置き、加熱する。


「ソレ何かしら?紙?」


 カップ麺を食べながらダルシャナが聞いてくる。目聡いな。食いながらでも、未知の物に対する貪欲さは捨ててない。


「ええ、ティッシュって呼んでるんですけどね。鼻をかんだり、水をこぼした時に拭いたり。

 食事中に言うことじゃないでしょうが、トイレで使ったりとかもこちらの世界では良いでしょうね。あちらの世界ではダメでしたけど。」


「どうしてダメだったの?」


「水に溶けないのですよ、この紙。

 まあ、食事が終わってからにしましょうか、それは。

 コレを差し上げますよ。」


 そう言って新たに2つ、女神様に補充して貰い、ダルシャナとラジャスに一個ずつ渡す。二人は俺が新品を開ける所を見てたのか、口の所のミシン目が入った厚紙をペリペリと捲り、ラジャスは早速豪快にチーンと鼻をかんでた。

 ラーメンとか湯気で鼻の通りが良くなるからね。仕方ないんだけど、後ろを向いてかんだりとかしてくれないかな。こっちを向いて堂々と鼻をかまれてもね。

 美人なのに男前すぎて残念なんだよなぁ、この子。と、思いつつもバックパックからビニール袋を一枚出して『ゴミはコレに入れてね。』と、渡すと、ちゃんと従ってくれる。


 ダルシャナはダルシャナで。


「へぇ、この紙のたたみ方で、一枚抜き取ると下の紙が釣られて半分頭を出すようにできてるのね。上手いこと考えるものね。」


 と、シュッシュッシュっとティッシュを抜いている。

 おーい無駄に抜くな勿体無い、とは日本人的気質で一瞬思うが、ま、無限補給されるから良いか、と放っとく。


 フライパンにオリーブオイルを少量引き、キッチンバサミを出してウインナーの袋の頭を切り取り、二袋とも中身をフライパンに投入する。


「コレは腸詰めかしら?」


「そうですね、ウインナーって呼んでます。コッチでは腸詰めをソーセージって呼んでて、その一種ですね。食べたことはありますか?」


「私が食べた事があるのはもっと黒かったわ。美味しいと言えば美味しいけど、ちょっと癖が強かったわね。

 魔獣の肉の方がよく出回るから、肉用の家畜って高級品で貴族や王族、富豪くらいしか食べれないのよ。

 家畜を飼おうとしても、魔獣に襲われてしまうからコストが掛かっちゃってね。」


 食べたのは血のソーセージってやつかな?

 魔獣が家畜を襲う、この世界ではそういう事情があるのか。態々手間を掛けて育てるくらいなら、勝手に育つ魔獣を食べればいいって感覚か。そんな感覚だから、せっかく育てた家畜を隅々まで使い切って食べようって感覚もない。で、一部の家畜を潰すような牧場がひっそりとソーセージを作ってるって感じかな。

 そして食べる為に人間に都合よく育てられて、年月をかけて血統として出来上がった家畜は少ないのか。

 それなら俺が持ち込んだ肉ってのは貴重になるかな。この世界の人の味覚に合うかどうかは分からんが。



 火を弱火に落としてフライパンを揺すり、ウインナーたちに油を纏わせたら放置。偶に揺すってじっくり万遍なく火を通し、皮をきつね色にパリッとさせて、皮が熱膨張で裂けるまで焼く。

 ウインナーは茹で派と焼き派で分かれるだろうが、俺は焼き派だ。油でカリッと香ばしく焼きたい。




 さて、ウインナーと言ったらビールだ。これは外せん。


「お二人はお酒は飲まれますか?」


「飲むわよ。ラジャスは底なしね。」


「酒は好きだぞ。」


 ラジャスはスゲー飲みそうだな。

 それはさておき、一旦酒や飲み物全部なくしたいんだよね。重いから。


 ビール三本とワンカップの日本酒、ウイスキーのポケット瓶、チューハイの梅と杏、コーラとサイダーの1.5Lペットボトルを取り出す。


「コレは金属?コッチはガラスよね?こんな透明なガラス見たことないわ。それにこの小さい瓶はガラスに模様が有る。コッチの大きいのは瓶かと思ったら柔らかいわ。これはなにかしら?」


 そのウイスキーのスキットルみたいな瓶、国内の有名メーカーのブランドの奴だからちょっと高かったけど、瓶も小さいくせに亀の甲羅のような模様が入ってるんだよな。

 相変わらずキラキラした目で聞いてくるが、説明してるとキリがないからまた今度な。っとそんなことを伝えるとムッとする。

 仕方ないじゃん。全部説明してるとウインナー焼けちゃうもん。とりあえず簡潔に流していこう。


「この金属の筒は缶って言います。密封されてて、年単位で保存できるようにされた容器です。まずコレはビールですね。ビールはありますか?」


「ビールってなんだ?」


「・・・説明するより飲んでもらったほうが早いですね。」


 そう言ってマグカップを3つ持って、窓から中の水を捨て、戻る。

 ビールを封切ろうと缶を手に持つと、ダルシャナに止められる。


「それ開けるの私にやらせて!」


 ってことで開け方を教える。まぁ、プルトップ起こして戻すだけだしな。

 プシッ!っと音が鳴り、二人が驚きビクっとなる。


「何で音がなったの?」


「中で逃げ場のなかった炭酸が、口を開けた事によって出てきたからですよ。」


「炭酸って?」


 ダルシャナからビールを受け取っ、て空いたマグカップに注ぐ。

 余り泡だらけにならないように、コップの縁に沿うようにして泡が1cm程度の層になるようにする。


「エールみたいだな。」


 エールはあるのか。エールってビールのことじゃないか?あれ?


「その泡を生み出してるのが炭酸ですね。あまり味合わないように、ゴクゴクと飲み下すようにして飲んでみてください。」


 ゴクっと一口飲むと、ラジャスは驚いた顔をしてから、そのまま一気に飲み干す。プハーっとやりながら。


「コレはエールとは全然違うな。苦味が強く、刺激が強くて爽やかな香りが高い。冷えてて美味いな。コレに比べるとエールは水っぽくって貧弱だな。」


 うん、まぁ、密閉容器があまりなさそうだし、それだと炭酸もアルコールも飛んじゃって少なそうだしね。


「ちょっと、全部飲まないでよ。」


 ダルシャナがそう拗ねる。


「まだ缶にコップに入り切らなかったのが残ってますよ。」


 そう言って残ってたビールをコップに注ぎ、ダルシャナに渡すと一口飲んで。


「ナニコレ!凄く苦いじゃない、たしかに香りは良いし、刺激は強いけど全然美味しくないわよ!」


「ビールは味わって飲むものじゃないですからね。その刺激の強さが炭酸が多く含まれているかによって代わるのです。

 炭酸は密閉容器にいれておかないと、空気に逃げていっちゃうんですよ。

 次のお酒を飲んでみてください。」


 空いたコップ2つにチューハイの梅と杏をそれぞれ入れて二人に渡す。

 二人は二口程飲んでは、お互いのコップを交換して二種類の味を飲み比べた。


「コレはどっちも甘くて爽やかで美味しいわね。甘いお酒なのに炭酸が後口を爽やかにしてくれるわ。

 梅っていうのは香りが爽やかでよりさっぱりとしてるわね。

 杏は香りも甘くて良い匂いだわ。私は杏のほうが好みね。料理には梅のほうが合うのかしら?」


「俺にはどっちも甘くてコレはコレで好きだな。でも料理と合わせるならビールの方が良いな。」


「そうですか、じゃあダルシャナさんはチューハイを、ラジャスさんはビールを飲んでください。無くなったらまた出しますので言ってくださいね。

 他の飲み物は、ウインナーを食べながら試してみましょう。」


 そう言って残った日本のビールの内一本をラジャスに渡し、缶に残ってるチューハイをダルシャナに押し付ける。


 俺のチートは飲み放題、肉喰い放題。こうしてみると、宴会部長にはもってこいだな。

 異世界に来て宴会部長に成れる能力ってかなり微妙な気がするが。



 さてさて、二人に酒の試飲をしてもらってる間に、こまめにフライパンを揺すってた中身がこんがりときつね色に仕上がった。



 俺は晩飯を一口もまだ食べてないからな。

 さっさと食べたいんだよ、ウインナー。

 評価ブクマありがとうございます。この場をお借りして感謝を。


 もう一話書こうかと思ったけど、ちょっと無理そうかな(ビールってどんな味だったっけ~、うへへーって飲んだら眠い)頑張れたら投稿します。


 今日中にもう一話投稿できたら、読者様が感想を書いてくれるんですね?(ネタ振り)

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