七話 酒場
歴史の教本で見るような、中世時代の外国の建物が並ぶ道をだいぶ歩き。一つの大きな建物の前で足を止める。建物の傍に看板が、見た事のな文字で書かれていたけど、何故か
「集まりの酒場」
と読む事ができた。何で違う世界の文字を読む事ができるのか、かなり疑問だったが時間がないため、ひとまず中に入る。
「うはぁ、酒臭さ……」
昼間なのに大の大人が何人も顔を赤くし、ジョッキに入った飲み物を一気に飲み干し馬鹿騒ぎを起こす。従業員らしき人が忙しく動き周り邪魔にならないようにカウンターまで歩き一人の黒服を着た従業員に話しかけるが
「ここは女子供が来ていい場所じゃないぞ? 帰んな」
と顔を向けずに一言放ってグラスを磨く。女子供って……私はもうすぐ二十だって!! と文句の一つでも言おうとしたら後ろから気配がして。何人かの男が近づいていた。
「おいおい……ここには甘い物なんてないぞ?」
「冷やかしなら帰んな!!」
「それとも、俺らと遊ぶか?」
と完全に舐めきった態度をしてきたがいきなり銃を打っ放したい衝動を抑え、一応こいつらにも最近あった人が消えている事について情報はないか聞くが誰も知らないようだった。あ~あここじゃダメか……?
と残念がっている私に触れようとした男がいたので払い除けて外に出ようとするが他に奴らが私を囲んで進行方向を妨害してくる。
「おいおい、せっかくここまで来たんだからさ……」
「遊んで行こうぜ?」
酒臭い息を吐いてきて、気分が悪くなる。もうこいつら麻酔弾でやるか!! と思っていたら「やめろ」と突然二階から誰かが降りてきて男達に警告してきた。降りてきたのは、長身で赤い髪に赤いコートを着た男性だった。男達はその男性を見て何か驚いた顔をし、周りの客達も同じく動揺していた。
「ぼ、ボス……」
「それで俺を呼ぶな馬鹿」
赤髪の男が睨むと男達は一目さんに逃げた。あれはだだ睨み付けたわけじゃない……ほんの一部だけど、すごい殺気だ……
「やぁ、済まなかった……ウチのもんが手荒な真似を……」
殺気を消して、私に微笑みを見せ謝罪する。どうやら只者じゃない、久ぶりに体から冷や汗が出て手がいつでも銃を抜けるように構えて、手にも汗が出る。
「ははは、いきなりだったから驚かせちゃたか……お詫びと言ってはなんだが一杯おごろう、なんなら君が知りたいも……」
「!? ちょ、ま、待って!!」
いきなり手をつまられ、肩に腕を組まれ強引に上に連れて行かれた。突然の事だったから抵抗出来ず、かと言って暴れれば階段から落ちてしまうので仕方なくこの人についていく(抱かれて)事に。幸い酒を飲んでいない様子で息も臭くなく気分は悪くならない。
(まぁ、何かしてきたら打つけどね……)
外套の下にある、足につけている麻酔弾の銃を一瞬見てそのまま二階の部屋に二人で入った。部屋の中はベッドやタンス等特におかしな所は見られない物しかなかった。つか、この人いつまで私に触れてんだよ?
と睨みつけると私の視線に気づいて慌てて肩から腕を離して距離を置いた。
「いや、済まない……君の顔が妹そっくりだった物で……」
「そうですか……まぁ、助けてもらったのは感謝します。で、私の知りたい事って、何を教えてくれるんですか?」
「その、なんだ……よければこの後食事でも……」
「帰ります」
どうやら話しをする気が無かったのでそうそうに立ち去ろう。と部屋から出ようとするがいきなり男が私を止めに入る。
「ご、ゴメン!! ちゃんと話そう……消えた人が今どこにいるのかを」
真剣な目をして私を見る、そして
「消えた人達は今、この町の離れにる屋敷に閉じ込められている可能性が高い。そして、そこの主であるメダは、他国と通じて取引をしているのだが、証拠が見つからず、誰も手が出せない」
「それ本当?」
彼の顔や目、さらに動作を観察するが嘘をついている仕草がない。ならこの話は、そしてルナがいる所……
情報をくれた彼に礼をいい部屋を立ち去ろうとするが
「まて、まさか行く気なのか? 無茶だ」
「大丈夫……多分ね?」
根拠の無い事を口にして今度こそ部屋を出る。
余り時間をかける暇はない、なら
「今日の夜」
早速端末を出し、相棒に必要な物を出させた。