四十二話 空中城での最後の戦い
「くっ!!」
お腹の痛みで、暫らく立てない。頭のふらつきで起こすのもやっとだった。服を探り端末を探したけど・・・
「パルト!? まさか・・・」
傍にある椅子に捕まり立ちあって、周りを見る。ここはどこ? 気絶されてからどのくらい経つのか分からず、機械に囲まれた部屋を見ていると。一つの画面に目が止まる。
映像は王都ガイストだ。
「なにをする気なの・・・?」
今度は傍にある画面に別の物が写し出された。
地球と、何かの城が写し出され。何か書かれている。
青き星まで移動に必要なマナ、城の維持分しかなく不能。マナを補充必要あり、マナを吸収対象、今現在下にある大陸の生物全てで移動可能。
「青い星ってまさか、私のいた世界・・・?」
移動 マナ 吸収 これらのワードがつながって、一つの答えが浮かび上がった。
「地球に行くつもりなの!? そのために、今いる人間を全て!!」
機械をいじり、さらに情報を引き出した。力を使い無理やり命令し空中に画面が出て来る。
そこには、別の世界を創った際に実験として人間を作出した事。そして、人間を従属させて移り住む事等が書かれたいた。
さらに、エルフの血を元に造られた人間には。特殊な力と役目、神殿の守護等の役目を与えられ、それぞれに必要な物などが
「全部・・・全部エルフがやった事なの?」
命を作りだし、あまつさえ。その人間をこうして道具のように使う。
「ふざけるな!!」
念じて起動を停止させるが受け付けない。この城を止めるには動力をどうにかしないと!!
マップを出し、動力の場所を探り。この城の中央にあり、部屋の扉を開く。
「武器は・・・これだけか・・・」
何発か使ったハンドガンと、ベルトにあるワイヤー。そして首飾りだけだった。
武器が補充できず、これだけの装備で勝てる気はしない、けど止めなければ、人が死ぬ。
扉をくぐり、走る。その時、首飾りが光った気がしたけど、気のせいだった
▲
「なぜだ!! なぜ私を受け付けない!!」
巨大な卵。
いくつものパイプにつながれ、怪しげな機械音が流れる。
「ここに来て、命令拒否だと・・・!! どこまでも、愚弄しおって!!」
宙にあるディスプレイに何度も入力をするが、警告音を鳴らし沈黙する。
「だが、長い間私が何もしてないと思うな!!」
懐から五つのオーブを出し卵に投げつ、強烈なスパークが起こる。さらに、一枚の機械の札を出し、空中画面に通す。
「システムの解除など、既に解析は済んでいる!! それに、オーブを操る事も既に可能だ!!」
機械音が鳴り。画面には認証確認と書かれ変化する。
「マナ補充を急げ、城の下にいる全てのマナを吸い取り。青き星へ移動を・・・
」
パン!!
卵に何かが着弾し、さらに激しい音を出しオーブが飛び散った。ネロら入り口を見ると。銃を構えたアンが再び引き金を引いた。
「ぐっ!!」
頬にかすり血を出し、二、三発の弾丸を躱しながら。部屋の隅に置かれた機械の後ろに隠れた。
銃を向けながら、卵の前にいき画面を見る。既に命令は実行され大陸の図が生じされ、時間が表示される。
「どうしたら止まるのよ、これ!?」
銃で画面を撃ち抜こうと、視線を変えた時。アンの体が宙に浮かぶ。
▲
「余計な事をするな!!」
体に衝撃が走り、床にぶつかる。銃が手元から離れる。急いで取ろうと手をのばじたら、また首を掴まれた。
「っがぁ・・・」
「今まで散々、助けてやったものの・・これ以上、邪魔をされるのは厄介だ・・・体さえあればマナは確保できる。ここで大人しく死ね!!」
両手で力を込められ息が狂くるしくなる。目も暗くなって・・・
「と、とうさん・・・」
「あぁ・・・あの男のことか? 思うだけ無駄だ、既に死んでいるんだからな」
え・・・ 死んだ? 誰が、父さんが?
「う、そ・・・」
「あの男は既に病に侵されていたのだ。奴に依頼した時、貴様そ知る者だと嘘をついた時、奴は何も気づかずにほいほいと受けた。貴様がこの世界に来て、すぐに死んだんだよ!!」
聞きたくない・・・嫌だ!! やめろ!!
「安心しろ!! ここで貴様も死に、その体は永久にこの城の動力として使ってやる!!」
憎い・・・憎い!!
嫌な笑い声がどんどん聞こえなくなり、力が入らない。
本当に、死ぬんだ・・・私・・・
「死ぬな」
なんでさ・・・今までやって来たこと無駄だったんだよ? あんな奴にいいように使われて、しかもみんなを殺そうとしてる・・・私じゃ止められないよ・・・
「何もお前だけじゃない・・・仲間がいるじゃないか。お前には」
真っ暗になった目に光が灯っていく。そこにはさっきからする声が・・・とても久ぶりに聞く・・・
「アン」
目の前に父さんがいた。
「とう・・・さん?」
「真実を知っても、俺をまだそう言ってくれるのか?」
「あたりまえだよ」
何もためらわず答える。本当の親が嫌いと言う訳ではない。だけど、この人と血がつながっていなくても。私にとって親同然だ。
「・・・お前も本当に成長したな・・・これなら、もうお前も一人前だな」
そう言うと、どんどん上に登って行き、体が透けて行く。手を伸ばすけど届かない。
「なんで・・・行かないでよ!!」
「大丈夫だ、俺がいなくても・・・アン・お前にしっかりといるじゃないか
・・・仲間が」
視線が私の後ろに移り、振り返ると沢山人がいた。
赤と黄色の髪をした騎士二人
幸運亭の幼い子二人と、その店主
神殿で綺麗な歌声の巫女と、青髪の子
火山の島で、一人の男と、彼を慕う赤髪の子
反逆者として、平和を望んで戦う男と。黄色の髪の女性
雪山でさまよい、憂いを絶って再会した姉妹。
そして、私と同じ銀髪をもつ王女と姫。
「だから、行ってこい・・・最後の依頼を」
上に昇り光に包まれ後ろを向く。呼び止めようとしたけど、すぐに姿を消した。
「相棒」
今度は私の肩に、一匹の猫もどきが乗りしゃべる。
「みんな・・・」
改めて、顔を上げての後ろに立つ彼らに向く。
「こんな所で死にけてる暇はねぇぞ・・・さっさと戻って野郎を止めるぞ!!」
パルトが動き、首飾りに入り込む。そうだ、こんな所で、終わってたまるか!!
みんなのお礼を良い、出口に向かい走り。
そしてーー目が覚めた。
○
「っ!!」
首を今だ掴まれていて奴の顔が見えた。腰にあるワイヤーを出し、私の掴む手に巻きつけ引く。
「あ、あああぁあぁぁぁ!!」
鮮血が飛び散り、叫び声が響く。
「げほっ げっほっ!!」
咳き込んで座り込む、すぐに銃を取り右手を失って膝をついたネロに向け撃ち、足と腕さらに胴体に当たり呻き声を上げる。
「そうだ!! 止めないと!!」
「それだったら、任せろ!!」
首飾りから声がして、外して見た。その声はいつも傍にいた相棒の声ーー
「パルト!!」
「よぉ!! この城止めるんだろ!! この飾りをその画面に近づけろ!! 止めてやるぜ!!」
言われた通りに、首飾り飾りをかざす。画面が勢いよく動き始める。
「馬鹿め!! 今更遅い 「ドォン」 っ!!」
突然揺れ始めた。さらに天井に巨大なスクリーンが写し出された。そこには、宙に浮かぶこの城がドラゴンの群れに攻撃されていた。強力なブレスの攻撃で外装が燃やされる。
「馬鹿な、これは!?」
さらに、地上からも巨大な岩が飛んで城にぶつかる。それらの攻撃に城の揺れが激しくなって行く。
「良し、連中が妨害してくれたおかげで。起動が遅れた!! 行けるぞ!!」
「糞が!! やめろ!!」
傷ついた体に構わず、飛びかかる。画面から離れて血を流し狂気を出しす男。もはやコイツはエルフなんかじゃない。魔獣だ。
「これで終わらせる・・・」
銃に魔力を貯める。頭の中で蛇口をイメージ、壊れて水が流れ出す感じだ。
マナがあふれて出す。周りに飛び散ったオーブが私の周りを飛び
黒 白 緑 赤 黄 青 がそれぞれ輝く。
「や、やめろ!! これを破壊すれば、同族を復活させる事ができなくなるぞ!! 王として、やるべき事があるだろう!!」
巨大卵をかばうように立つ。だけど、既にやる事は決まってる・・・
「よし、吸収する昨日は停止させた!! このまま海に移動する!!
そいつをやっちまえ!!」
「や、やめろ!!」
私に向かってきて襲いかかる奴を見て、引き金を引いた。
銀色の巨大な光が進み、奴を包込みそのままこの城の動力を打ち抜いたーー
▲
天空の城が海の方に移動し始た時、銀の光が内部で起こる。大爆発を起ながら城は確実に海へとゆっくり落下していく。
「・・・あやつ・・・」
投石機の傍で、ティアが落ちていく城を見て呟く。そして隣りでは祈りを捧げるスノウがいて、ルナ達も黙って見つめた。
皆をまとめた、異世界の便利屋を思って。
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「・・・あはは、マナ使い過ぎたみたい・・・」
体に力が入らない、既に海に近づいているらしく。大穴から景色が見えた。
「たく、何全力でぶっぱなしてんだよ、ばか」
「何よ!! アイツぶちのめさないと、本当に気が済まなかったんだから!!」
いつものやりとりをして、心が落ち着く。今始めて依頼が、終わったんだ事に安心していると。
「相棒・・・いや。アンお疲れ」
「!? あんた、今名前!?」
「子共としての仕事は終えたんだ。いいだろう?
それと・・・誕生日おめでとう」
「え?」
実は今日が、元の世界でのお前の誕生日だったんだよ と言われ。はっ となった。そういえば、すっかり忘れてた・・・
「ははは・・・ありがとう・・・せっかく大人になったのに、このままじゃ海にドボンだね?」
「何言ってやがる・・・言っただろうが
・・・・お前は一人じゃないってよ」
大穴から一つの影が入る。それは大きな翼をもち赤い体をした
ぴぎゃ!!
どこかで見覚えがあるドラゴンだった。
「もしかして、ちび?」
私の言葉を理解したのか、首を振って肯定する。たった数日の間にここまで大きくなるなんて・・・
と考えていたら、口にくわえられ背中に乗せられる。既に不労で体が動かせないので抵抗できず、ちびは翼を動かし外に出た。
ドォォン!!
脱出したと同時に、城が爆発を起し一気に海に落ちる。
後ろを向いて、エルフの残した城を見て さよなら とつぶやき。やがてちびドラゴンが、人が大勢集まる所の中心に降りたーー
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この日、一人の便利屋により。大陸は救われ人々に喜び合った。
そして、暫らくしてーー