四十一話 階段の先で
キィィ
建物の前にバイクを止める。あたりを見たが人の気配はない。
「ここから始まったんだよね・・・」
「あぁ」
古代の建物を見上げ、ここに来たことを思い出す。
父さんに端末と、オーブを渡されて。ここに何時の間にかついて、異世界での旅が始まった。
オーブも全て集まり、何度か私に指示をした人間がここにいる。
「行くよ・・・」
一本道を進み、かつて開かない扉のある空間までつくが、扉はなく代わりに階段があって降りる。
カツン カツン
足音だけが響いて、階段を下に、下にと下る。
「相棒・・・もし、やつが魔法具使ってきたらどうすんだ?」
「さぁ・・・鉛玉をプレゼントかな?」
「これはマジで聞いてんだ。もらった魔法具でどうにかなんのか?」
腰にある剣と、首元にある飾りを見る。
「剣はマナを貯めれば身体が上がる。飾りは未知の力を与える」
そう説明を事前に受けていた。まだ使った事がないが、二人から受けた話しはそれだけじゃ、無かった。
マナの使い方についてだ。
「確か、固定観念にとらわれるな・・・だったけ?」
思い出していたら、階段の終わりが見えてくる。
○
「よく来たな・・・王の娘」
広大で、鉄の素材で造られた部屋に入ると。中央にやつがいた。大剣を片手にもち、傍には台座がある。
「E・・・あんた、今まで私を利用してたわけ?」
「あぁ、膨大なマナと。王族のエルフにしか使えないオーブを操れるおまえにな可能だと思い、わざわざ異世界に逃れた貴様を探しこのロストに呼んだ・・・そして、今全てのオーブが揃い。再びエルフの世界が訪れるのだ!! さぁ、私と共に来い!!」
「ふざけるな!!」
奴は青い髪を軽くなでると、青から銀変色した。そして、金の光を出し大剣に注がれて、構える。
「なら!! その血をよこせ!!」
裏切りの騎士が吠え近づく。銃から弾丸が出てまっすぐ進むが、大剣を盾にしてはじかれ接近された。
ギンッ!!
大剣の横からの攻撃を、剣で防ぐ。が、すぐに後ろに吹き飛ばされた。
「それで終わりか!? 王の娘!!」
大剣の追撃を交わして、攻撃しようとするが。先に反応されてよけられる。明らかにあっちの方が大きいのを使っているはずなのに、私より早い!!
ギンッ!! ガン!! ザン!!
次第に、奴の攻撃が多くなり。反撃ができなくなって行く。そして、大剣のおお振りをしゃがんで避け、隙ができた所に。
「ハァ!!」
全力の一撃の突きを放ち、奴の胴体を貫くーー
「甘いな」
振り終えた大剣を離して、片手で剣を噛まれた。押しても引いても動かず。もう片方の手で首を掴まれた。
「ぐっ!!」
「安心しろ、殺しはせん・・・ただ、用はあるのは貴様の血だ」
掴んでいる手から離れようと暴れるが、突然腹部に強烈な痛みが走り目の前が真っ黒になった。
▲
「相棒!!」
アンから端末がこぼれ落ちる。気絶したアンを持ちどこかに去ろうとするネロ。
「てめぇ!! そいつを離せ!!」
「うるさい奴め」
ネロは大剣を拾い放り重力に引かれ刃が端末を貫いて地面に刺さる。
「あ、い・・・ぼ・・・う」
完全に破壊され、沈黙する。そのまま裏切りの騎士は奥の部屋に入りる。
「くはは!! どうだ!! 王族ども!? 私はこうして生き残り、貴様らが大事にしていた物を手に入れた!! 長きに渡る、我が野望。果たしてくれるわ!! 」
顔を歪ませ、目が狂気に染まり。そこには騎士としての姿は微塵もない。屋にある椅子に座り、アンを床に投げ捨てた。
「さぁ、人間など滅ぼし。再びエルフの・・・私の世界を!!」
空中にスクリーンが出て、何かが作動し振動が起こる。それは、地下だけでなく、地上にも影響が起こる。
古代の建物周辺。地面が突然割れ始め、一部が浮きはじめる。金属の何かが姿を表し、やがてその全体が空を飛ぶ。
金属の塊。入り口だった建物を天辺になり、その下は窓など一切ない小さな城・・・天空城。
天空城は動き始め、その進行先は王都だった。
突然の地震と謎の浮遊物で大陸中がパニックになる中。
「アンさん・・・」
一部の者達の髪が光る。